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finding of a nation online  作者: はちわれ猫
第十章 北西の遺跡の探索
63/144

finding of a nation 60話

お久しぶりです。この度は何の連絡もなく長期間投稿を休んだ上いきなり投稿を再開して申し訳ありません。実は思い切って有料販売のアドベンチャーゲームを作っていました。それが思いの他制作に時間が掛かり、こんなにも投稿の間隔が空いてしまいました。こんなにも期間が空いてまだ読んでくださっている方がいるかどうか分かりませんが、twitterの方にそのゲームや他に投稿している作品の情報が載っているいるのでよろしければ覗いてみて下さい。作者のプロフィールにtwitterのリンクが貼ってあります。あれだけ投稿の期間が空いておいて差し出がましいかもしれませんが、できる限り投稿を続けていこうと思いますのでどうぞよろしくお願いします。

 「さぁ、目的のエリアに着きましたわ。確か遺跡があるのはこの辺りのはずですわよね」

 「ああ……、ヴェニルの鷹の目の情報ではここから約半径10キロの範囲内のどこかに遺跡があるはずらしい。私もこのゲームも遺跡がどのようなものかは知らないので、一体どこに隠されているかは見当もつかん」

 「ふ〜む……、遺跡というからにはかなり大きな建造物のはず……。こんな開けた草原の真っ直中では探すまでもなく目に入って来そうなものですが……、まぁよろしいですわ。それでは皆さん適当にバラけてまずは遺跡のありかを見つけましょう。1時間にまたこの場所に集合ということで」


 ヴァルハラ城を出たナギ達は約二日を掛けて遺跡があると言うエリアの川沿いのすぐ近くにまで来ていた。現在は5月3日の午前9時、なるべく朝の内に遺跡の探索に入れるよう調整して進軍してきたようだ。ナギ達は早速手分けして遺跡を探すこととなった。


 「う〜ん……、一通り歩いてきたけど遺跡なんて見当たらないね」

 「こんなに視界が開けてるのに見つからないっていうのも変よね。本当にこんなところに遺跡あるの、鷹狩さん」

 「ああ、ヴェニルの鷹の目から得られる情報に誤りはないらしい。どの程度詳しい情報が得られるかどうかがヴェニルのレベルしだいのようだが、この辺りに遺跡があることは間違いないはずだ」

 

 “ヴェニッ!、ヴェニッ!”


 「ヴェニルも必ずあるから心配するなって言ってるにゃ、ナミ。だから遺跡があっても見逃さないよう目を凝らして進むのにゃ」

 「そうですよっ!。折角ここまで来たんですから絶対遺跡の財宝を手に入れましょうっ!。アメリーも瞬きせずに目を見開いて探しますからっ!(たくっ、ここまで来て無駄足なんて冗談じゃないわ。もし遺跡が見つからなかったらあのクソ鳥焼き鳥にして食ってやるんだから)」

 

 ナギとデビにゃんはナミとアメリーと一緒に川沿いの場所から南の方角を探索していたようだがどこまで歩いても遺跡のようなものは見当たらなかった。恐らく他の場所を探しているメンバーも同じだろうが、皆鷹狩の情報に疑問を持ち始めていた。端末パネルの能力の説明を見る限りヴェニルの鷹の目の情報に誤りがあることはないようだが……。つまりは必ずこの辺りのどこかに遺跡があるということだが一体どこに隠されているのだろうか。


 「そう言えばアメリーって僕と同じ魔物使いだったよね。見たところまだ1匹も仲間モンスター連れてないみたいだけど……、それで戦闘は大丈夫なのかい?」

 「……っ!。ああ、そういえば皆さんにはまだ紹介していませんでしたね。私の仲間モンスターならちゃんとこの中にいますよ。出ておいで、ドラリスちゃん♪」

 「ドラリスちゃん?」


 “モゾモゾ……”


 仲間モンスターのことを問いただされるとアメリ−は肩から背中の腰の辺りまで下げている少し大きめのバックをナギ達の前に差し出した。丈夫そうな革製で現実でもキャンプ等街から離れた場所に行く時に使用するショルダーバッグのようだった。そしてモンスターの名前と思われる言葉を口走るとバックの中で何かがモゾモゾと動き出した。


 “バッ……”


 「う、うわっ……!」

 「にゃぁぁぁぁぁぁっ!。バックの口から鶏の頭が出て来ちゃったにゃぁぁぁぁぁっ!」


 “ドケェッ!、ドケドケェッ!”


 「ど、どけですって……っ!。いきなり出て来たと思ったら何なのよ、この鶏は……」


 アメリーのバックから出て来たのはなんと鶏の頭だった。ナミも勘違いしているようだが出てくると同時に奇妙な鳴き声を勢いよく発していた。見た所普通の鶏の何ら変わりのない様子だったがこれがアメリーの仲間モンスターなのだろうか。


 「やだぁ、ナミさん。今のはドラリスちゃんの鳴き声ですよ。それにドラリスちゃんは只の鶏じゃあないんです。さぁ、ドラリスちゃん。あなたのその勇ましい姿を皆に見せてあげてっ!」


 “ドケッ!”

 “バッ……”


 「……っ!。こ、これは……」


 アメリーが合図をするとドラリスはバックの中から勢いよくナギ達の前に飛び出してきた。頭だけ見ている時とは打って変わってその全貌を見せたドラリスは通常の鶏とはまるで別物生物だった。羽はまるで竜の鱗を纏ったような翼と呼んだ方が相応しい物、更に尻尾に至っては同じ竜の鱗を纏い先にはその竜の物と思われる顔まで付いていた。頭と尻尾に鶏と竜、2つの生物が一つの体に共存しているようだ。


 「ア、アメリー……、これは一体……」

 「ふふふっ、驚いたでしょう。これが私の仲間モンスター、ドラトリスのドラリスちゃんですっ!。ヴァルハラ城の街で1500万円で売られていたのを他のプレイヤーの皆さんにおねだりして買って貰ったんです」

 「1500万て……。あんた一体何人のプレイヤーにおねだりしたって言うのよ。段々あんたの印象が悪くなって来たわ……」

 「あらナミさん。男の人達に色々貢いでいただけるのは女の特権ですよ。ナミさんもナギさんに高級なアイテム一杯買ってもらえばいいですか〜。って言うかナギさんが私に魅了されなかったのはもうナミさんっていう相手がいたからだったんですね。だけど残念だな〜。今まで例え他に女性の相手がいたって私が狙って虜にできなかった男性はいないのに……。必死に浮気を我慢するなんてよっぽぢ一途なんですね、ナギさん」

 「(な、なんかこの子の裏の顔が出て来たって感じにゃ……。まぁ、色仕掛けには掛からないだろうけど例に倣ってナギはかなりのお人好しだからにゃぁ……。変な手に引っ掛からないように僕がしっかり目を光らせておくのにゃっ!)」

 「もう勝手に言ってればいいよ……。ところでドラトリスって名前が似てるけど、やっぱりあのコカトリスと何か関係があるの?」

 「う〜ん……、よく分かんないけど多分そうだと思いますよ。ちょっとした亜種って感じじゃないですか。まぁ、そんなことはどうでもいいじゃないですか。それよりドラリスちゃんは今は小さいけど大きくなったら凄いんですよ〜。体がこの何倍も大きくなって、ダチョウみたいに主人を連れて地上を走り回るんですってっ!。しかも超高級の卵も産むようになってそれを売るだけでがっぽがっぽとお金が稼げるんです。アメリーったら本当に良い買い物しちゃいました♪」

 「買い物をしたのはあんたに貢がされたプレイヤー達でしょ……。あんたのその態度見てると本当にそのプレイヤー達が不憫で仕方ないわ。せめてちょっとぐらいは感謝の気持ちを見せなさいよね」

 

  

 ドラリスの種族名はドラトリスと言い、名前、姿形共に伝説上の生物であるコカトリスにそっくりだった。コカトリスは雄の鶏と蛇を掛け合わせたような姿をしているのだが、このドラリスは鶏とドラゴンが混ざったもののようだ。更に尻尾の先に竜の顔があり言葉も話すところはキマイラにも似ている。ドラトリスとはドラゴンとコカトリスを合わせた名前なのだろう。


 「さて……。結局南に10キロのところまで来たけど何もなかったわね。取り敢えず皆との集合場所に戻りましょうか」


 “ドケェッ!、ドケドケェッ!”

 “ラッコォッ!、ラッコラッコッ!”


 「前の奴が“どけ”で、後ろの奴は“らっこ”なのね。二人で合わせれば“ドケッ・ラッコォ〜”。ラッコが聞いたら怒りそうな鳴き声ね。一体なんなのよ、このモンスターは……」


 結局遺跡は見つからずナギ達は元いた場所へと戻ることにした。他の方角を探していたメンバー達も取り敢えず戻り始めているころだろう。果たして遺跡の場所を発見した者達はいるのだろうか……。







 「ええっ!。誰も遺跡のようなものを見掛けた者はいなかったぁっ!。これは一体どういうことですの、鷹狩さんっ!。遺跡が見つかなければ(わたくし達とんだ無駄足ですのよ。折角私がパーティの指揮を取っているというのに……」


 やはり他の者達も遺跡の場所を発見できなかったようで、この隊のリーダーを務めている不仲は激昂した様子で鷹狩をきつく問い詰めていた。鷹狩もヴェニルの能力では正確な場所までは把握できず、更にこのゲームの遺跡がどのようなものかまだ知りえない為流石に動揺してしまっていたようだ。


 「すまない……。私もまだこのゲームの仕様についてあまり理解できていないのだ。これだけ広大なマップとプレイヤーが数十万人もいることを考えると遺跡の建物もかなり巨大なものになるはずなのだが……。私もここまで来れば何もせずとも簡単に発見できるものと思っていたのだ」

 「そんな言い訳……」

 「あんまり苛々しても仕方ないよ、不仲さん。ヴェニルの鷹の目の情報には間違いはないはずなんだから根気よく探せばきっと見つかるはずだよ」

 「ナギの言う通りよ。ゲームなんて早々上手く事が運ぶもんじゃないじゃない。苦労して遠出しても何も成果がないことなんて行くらでもあるじゃない。見つかればラッキーって感じで軽い気持ちで探しましょ」

 「そんな悠長な……。そんな呑気なことを言っていてた他の国の方々にどんどん差をつけられてしまいますわよ。どうにかして早く遺跡の場所を突き止めなければ私達はずっとここで立ち往生……」

 「あの、不仲さん。そのことでちょっと皆に聞きたいことがあるんだけど……」

 「んん?。どうしましたのですか、シホさん」


 不仲のことをなだめてはいたが、確かにナギ達も遺跡が見つからないことにはこれからどうしようもない。内心では少しは不安に駆られていたはずだ。だがそんな時シホが後ろから現れて不仲に声を掛けてきた。何か役立つ情報を提供してくれるのだろうか。


 「実は私が連れて来たメンバーが一人見当たらないのよ。確かアクスマン君達と一緒に北の方を見に行ったと思うんだけど……」

 「あ、ああ……。確か彼女なら遺跡の場所について思い当たる場所があるとか言って先にこっちの方に戻って行ったぜ。俺も姿が見えなくて変だとは思ってたんだが……」

 「確かにそうですわね。こちらに戻って来ていたならどこへ行こうとも周囲の探索から帰還する私達の誰かと出くわしたはず……。残りはあの川は……はっ!」

 「も、もしかして水の中に……」


 “バシャァーーーッ!”


 「う、うわぁっ!」

 「ぷはぁっ!。あったわよ、皆っ!。川の底にバッチリとお宝が眠ってそうな遺跡がね」


 不仲の言葉に合わせてナギ達が川の方を見ると水面からいきなり何かが飛び出してきた。どうやらシホの探していたプレイヤーだったようだが、大きな声でナギ達に遺跡を見つけたことを呼び掛けていた。どうやら探していた遺跡は川の底にあったようだ。そのプレイヤーはゆっくりと川岸から陸へと上がって来た。そして水を少し払うように頭を振り、濡れた羽衣のようなスカートをギュッと手で絞っていた。


挿絵(By みてみん)


 「お、おお……っ!。なんと美しくスタイルの良い女性じゃ。濡れた体を払う姿がまた色気をそそる……まさに人魚姫じゃっ!。あのような美女がこの隊におったというのに気付かなかったとは……。あれがシホさんの言うとったプレイヤーか。一体名前はなんというんじゃっ!」

 「そんなに気合を入れて名前を聞かないでよ、お爺さん。彼女は……」

 「初めまして、皆。私の名前はローザヴィ。ロシア語でピンクって意味よ。皆はロザとかローザとかって呼ぶかしらね。そこにいるシホにはロザヴィって呼ばれてるわ」


 川から上がって来た女性の名はローザヴィと言うそうだ。ロシア語でピンク色を意味するらしくその名の通り桃色の美しい髪の色をしていた。全体的に少しパーマが掛かっているだろうか。職業は魔術師のようで、上半身は布でできたまるでビキニのようなものを羽織っているだけだった。


 「ほぅ、ロザヴィちゃんとな。可愛らしくも色っぽい名前じゃのぅ。わしはボンじぃ。この機会に是非わしとお友達に……」

 「ちょっとボンじぃっ!。今はそんなことより遺跡のことを確かめるのが先でしょう。この前もMMOプレイヤーとしての自覚があるとか言ってたんだから少しは欲情するの抑えなさいよ」

 「な、なんじゃっ!。今回は欲情しとるのはわしだけではないぞ、ナミっ!。ほれ、そこでナギやカイル達もロザヴィちゃんの濡れた姿に鼻の下を伸ばしとるではないかっ!」

 「えっ……」

 

 ボンじぃに言われてナミが振り返ると、そこにはナギやヴィンス、カイルまでもが頬をほころばせてロザヴィの姿に見とれていた。やはりロザヴィの姿は男性に取って刺激が強すぎたようだ。


 「ち、違うよ……っ!。あんまり大胆な格好だったからビックリして呆然としてしまってただけ。そうだよね、カイル」

 「う、うん……」

 「俺は正直めちゃめちゃ見とれてたぜ。あそこまで露出されたらいくらゲームの中でも男なら反応しちゃうよな」

 「ちょ、ちょっと皆……」

 「心配すんなって、ナミ。女っては濡れた姿の方が誰でも色気がでんだよ。お前もレイコさんとこで見た髪を下ろした風呂上がりの姿を見せればナギなんてイチコロだぜ」

 「誰もそんなこと心配してないわよっ!。それに色気で男を誘惑できても何も嬉しくなんかないわっ!」

 「キイィィィィィッ!。何訳の分からない会話ばかりしてらっしゃるのっ!。これ以上あなた達の無駄話には付き合っていられませんわ。それでロザヴィさん。本当に川の底に遺跡があったのですか」

 「ええ。この川中が凄く透き通っててちょっと潜ればすぐ底まで見渡せるようになったの。それでここから1キロぐらい先の川底にそんなに大きくなかったけど立派な遺跡が確認できたわ。今は肺活量を上げる魔法を使ってるだけだけど、水深200メートルぐらいだったから水適正を上昇させる魔法を使わないと辿り着けないわね。幸い襲ってくるモンスターは一匹もいないようだったわ」

 「水適正……。確か魔術師の方々が使えるアプカルルという魔法の効果ですね。分かりました。早速魔術師の皆様に魔法を掛けていただいて皆で向かってみましょう」


 ロザヴィのおかげでヴァルハラ国の西を流れる大きな川の底に鷹狩の言っていた遺跡があることが分かった。この川岸から1キロ程の地点と言っていたが、ここの川幅を考えると大分岸に近い位置にあるようだ。序盤なのでなるべく発見のしやすい場所に配置されていたのかもしれない。だが水深は200メートルととても川とは思えない程の水の深さだった。アマゾン川でも100メートルもないというのに。恐らく川の中心近くでは400メートル近くにまで達するだろう。一体この川の先にある滝からはどれだけの量の水が流れ落ちているのだろうか。現実世界ならば滝の流れ落ちた先の地面が崩壊してしまっているかもしれない。ナギ達はカイルを始めとする魔術師の職に就いているプレイヤー達に半魚人を意味するアプカルルの魔法を掛けてもらい川底へと潜って行った。






 「うっわぁ〜〜〜っ!。表面からじゃ分からなかったけど川の中は本当に透き通っているわね。まるで周りに水なんてないみたい」

 「確か北の山から霊水が流れて来てるんだっけ。もしかしたらその影響なのかな。小さい魚ばっかりでモンスターみたいなのは全くいないね」

 「それはまだ岸からそんなに離れてないからにゃ。川の中腹に近づけばワニやらピラニアみたいなモンスターとも出くわすんじゃないかにゃ。まぁ、ナギの言う通りこの川の水は霊水によって清められてるからそう凶悪なモンスターは生息していないはずにゃ」

 「それにしても水の中でも息ができるって変な感じじゃね。なんか首の横にエラみたいなのができててちょっと気持ち悪いよ。水圧もまるで感じくなってしもたしまるで水色の宇宙の中にいるみたいじゃけぇ」

 「本当だよな、馬子。ちょっと違うだろうけど多分無重力ってのはこんな感じなんだろ……っておおっ!。あの辺になんか建物みたいなのが見えてきたぞ。あれがロザヴィの言ってた遺跡か」


 アプカルルの魔法を掛けられたナギ達はまるで宇宙遊泳でもしているかのように水中を進んでいた。無重力に近い感覚だったが宇宙空間とは違い周りにある水を使って力の方向を常にコントロールできるようだ。会話も普通にできていて、まるで水の中を飛びスーパーマンになったようなものだろうか。そうして川の中を進んでいる内に川底にロザヴィの言っていた遺跡が見えてきた。ナギ達がいるのはまだ水深50メートル程の位置だったが、ここからでも遺跡と川底がハッキリ確認できた。ナギの苗字ではないが本当に済んだ川のようだ。


 「よしっ……。それでは一旦この辺りで川底まで降りてみましょう。そこから歩いて遺跡まで近づき入り口を探しましょう」

 

 遺跡を発見したナギ達はゆっくりと力を抜くような感覚で川底へと降りていった。川底に着くとそこは海の底のように硬い岩盤でできており、辺りには研磨されたように光輝く小石が散らばっていた。霊水が流れていると言うだけあって水中を泳いでいる魚達の鱗もそれは綺麗なものだった。ナギ達はまるでガラスで遮らていない水族館の中を歩くような気分で遺跡へと向かって行った。


 「……着いたぜ。なんて言うか確かにピラミッドみたいに豪華で厳かな雰囲気がある建物だけど、近くで見ると余計想像してた大きさより小さいことが分かるな。これじゃあ探索する必要なんて全くないんじゃねぇのか」


 レイチェルの言う通り川底に沈んでいたこの遺跡はこの広大な河川に比べると非常にちっぽけな大きさだった。造りこそ黄金のレンガでできていたものの、その面積は全部で50メートル程、建物の高さも20メートル程しかなかった。特に目立った装飾もなく、入り口の正面に階段、その左右にちょっとした石像のようなものが設置されているだけで後は四角い形のほこらになるようレンガが積み重ねられているだけだった。レイチェルが例に出したピラミッドもそうだが、遺跡と言うのは意外とシンプルな形のものが多いのかもしれない。


 「まぁ、探索の必要がないのであればいいことではないか。中にはしっかりと財宝が置かれているのであろう。これだけの建物の中にぎっしり財宝が詰まっているのなら大した量じゃ」

 「そんなにお宝で埋め尽くされてる保証はどこにもないけどね。宝箱一つ分ぐらいかもしれないし、それにもしかしたら地下に最奥に辿り着くまでのダンジョンが設置されてるかも」

 「カイルの言う通りだな。今までのゲームの経験上そんなに簡単に遺跡のお宝が手に入るとは思えないぜ。とにかく中に入ってみるしかないんじゃないか」

 「そうですわね。まずは少数で中の様子を確認して来て貰いましょう。見た所モンスターはいないようですが、偵察に向かう方々はくれぐれも遺跡の罠には注意してくださいね。遺跡と言えばプレイヤーを苦しめるトラップが仕掛けられているのが定石ですから」


 カイルとヴィンスに促されて不仲は少数のメンバーを選んで先に遺跡の中へと送り込むことにした。だがそこまで警戒したわりにトラップ等は全く、建物の中も広くなかったのか先発されたメンバー達はすぐ入口へと戻って来てしまった。だが何やら気になる物を発見した模様で、少し困惑した表情で不仲に中の様子を報告していた。


 「中に魔法陣……。部屋はその魔法陣が設置されている空間だけ……。他に財宝のようなものは見つからなかったのですか」

 「はい。中に入るとその魔法陣がいくつか置かれているだだっ広い空間が一つあるだけで……。一応その部屋の中はくまなく調べてみたんですけど特に隠し扉のようなものはありませんでした。魔法陣は転移用のものでしたので恐らくそれを利用して財宝のある場所に移動するのかと……」

 「ふむぅ……。それでは転移先にはやはり最奥に辿り着くために通らなければならないダンジョンがありそうですわね。……分かりました。取り敢えず私達も中に入ってその魔法陣を見てみましょう」


 遺跡から出て来たメンバーも一人はかなり真面目な性格だったのかかなり畏まった口調で丁寧に遺跡の内部のことを説明していた。

その話によるとこの遺跡の建物の中にはトラップもなければ財宝もなかったようだ。転移用の魔法陣のみが配置されているということだがそれを通って遺跡ある場所へと向かうのだろうか。それを確かめる為不仲を始めとしてナギ達も遺跡の中へと入って行った。


 「……確かに魔法陣以外は何もありませんわね。こんなに広い部屋なのになんて無駄な空間なのでしょう」

 「天上の辺りが暗がかってて遺跡っぽい雰囲気は出てるけどね。それよりあの魔法陣はどういうことなんだろう。何か分かる、デビにゃん?」

 「う〜ん……、転移用の魔法陣なのは確かみたいだけど詳しいことは僕にも分かんないにゃ。多分リアやマイも一緒じゃないかにゃ。こういう時はあそこに近づいて端末パネルを開いてみるのが一番にゃ」

 「なるほど。それじゃあ行ってみようか」


 ナギ達は取り敢えずその部屋の中央に設置されてある魔法陣を調べることにした。魔法陣は全部で10個、真ん中に2つ、その周りを円で囲うような形で残りの8つが配置されていた。転移用の魔法陣ということだが何故これだけの数が用意されているのだろうか。デビにゃんに促されたナギは早速魔法陣の前で端末パネルを開きデータを調べてみた。


 「えーっと……何々……。“この魔法陣は一つにつき8人ずつまでしか利用することができません。その8人が転移先に止まっている限り他のプレイヤーやキャラクター達は転移することができませんが、一人のプレイヤーが転移先から離脱すれば新たに一人のプレイヤーが転移を行えるようになります。例えば戦闘不能状態のまま蘇生できず死亡してしまった場合等です。10個の魔法陣は全て別々の場所に繋がっていますが、転移した先を進めば最終的に全て合流することになります。”だって……」

 「ふむぅ……。つまりはこの遺跡の攻略は最大で80名、しかも10組もパーティそれぞれ別のルートを進まなければならないというわけか。これは人選、更にはパーティのバランスもかなり考慮して編成しなければならないな」

 「わざわざあなたに言われなくともちゃんと分かっておりますわよ、セイナ。今私達のところに集まっているメンバーはちょうど80名、私が最も最適な組み合わせを導き出してご覧にいれますわ」

 「ええ〜〜、やっぱりあんたがパーティを決めるの〜〜。なんだか独断と偏見ばっかりの組み合わせになりそうで怖いわね……」


 やはりこの魔法陣はこの遺跡の最奥へと通じているようだ。ただし転移先にはそこに辿り着くまでのダンジョンが設置されており、当然モンスター達も配置されているだろう。しかも1つの魔法陣につき転移できるのは8人まで、つまりはどんなにプレイヤー達を集めて来てもこの遺跡の探索には最大80人までしか動員できないようになっているようだ。不仲の言う通り攻略には人選もさることながら各パーティの組み合わせも重要となってくる。今はナギ達の探索隊はちょうど80名しかいなかったが、それでもパーティの組み合わせを考えるのに不仲は相当頭を悩ませていたようだ。この様子ではナミの言うような偏ったパーティにはならないだろう。


 「……できましたわっ!。では皆さん私の送った組み合わせ表に合わせて分かれてくださいませ。ダンジョンに突入する前に多少の顔合わせは済ませておくように」

 「はいはい。分かりましたわっと。えーっと、それで私のパーティはっと……。まず私、武闘家・伊邪那美命ね。それから戦斧士の天だく……また天丼頭と一緒なのね。それからあとは……、機工術士・レミィ、魔術師のロザヴィ、聖術師の聖ちゃん、次からはまだ知らない人達だわ。えっと、ラスカルさんと同じ信仰者のターシャさん、優しいそうな女の人ね。結婚しててもおかしくない年に見えるけど、子供はいるのかな。次は戦槌士のハンマンさん。天だくの大斧に負けない大きさの槌を持った男らしい体格の人ね。最後は奏楽士のオーケスさん。天だくやハンマンさんとは正反対の爽やか系美男子ね。クールで知的な雰囲気で女の人はメロメロかも。……ってこれを見る限りかなり良く出来たパーティ編成ね。回復役も二人いるしちょっとあいつのこと誤解しすぎてかな。(本当はナギと一緒なら尚更良かったんだけなぁ〜……)」

 「こっちも中々バランスの取れたメンツだぜ。ヴィンスもカイルも一緒だしこりゃいい感じに連携も取れそうだ」

 「私はリアさんと塵童さんと一緒のパーティみたいで凄く頼もしいですっ!。足引っ張らないように頑張るのでよろしくお願いしますっ!」

 「よろしくね、アイナ。他のメンバーも良質そうなプレイヤーばかりで一安心ってとこね。塵童と一緒ってのがちょっと気掛かりだけど……」


 どうやら不仲の割り当てたパーティは皆の納得の行くどころかむしろベストとも思える編成だった。ナミを始めレイチェルや固有NPCであるリア達も不仲のリーダーとしての実力を認め始めていたところなのだが……。


 「ふふっ、皆さん私のパーティ編成にご満悦の様子ですわね。私の各メンバーの実力と特性の把握と判断力に抜かりはありませんわ。これならば遺跡の探索もスムーズに……」

 「誰がご満悦だってごらぁぁぁぁっ!。判断力に抜かりはありませんって……じゃあ私等のこのパーティ編成はどういうことなんだよっ!」

 「あ、あれは爆ちゃんじゃない……。どうしてあんなに怒ってるのかしら。ねぇ、聖ちゃん」

 「本当です、ナミさん。爆姉ぇっ!、不仲さんはちゃんとパーティを考えてくれてるのにそんなこと言ったら失礼だよ。リーダーの役割もしっかり果たしてくれてるだからむしろ感謝しないと……」

 「馬鹿野郎っ!、聖っ!。だったら私等のパーティの組み合わせを見てから言ってくれよっ!」

 「えっ……爆姉ぇのパーティ……」

 「そうですよっ!。何も知らないくせにナミさんも勝手なこと言わないでくださいっ!」

 「ア、アメリーも一緒なのね……」


 かなりバランスの取れたパーティが出来上がったと皆喜んでいたのだが、爆笑少女とアメリーが突然大きな声で不仲に対して文句を言い出した。どうやら自分達のパーティメンバーの構成に文句があるようだが一体どのようなメンバーなのだろうか。


 「そんなに怒るなんて一体どんなパーティメンバー……ってよく見たらナギもその中にいるじゃない。ナギがいるのに一体何が不満……ええぇぇぇぇぇぇっ!。ちょっとなんなのよこのパーティ構成はっ!。いくらなんでも酷すぎるんじゃないのぉっ!」

 「ほ、本当です……。これでは只の寄せ集めでパーティとしてまるで機能していません。個々の能力に関係なく職業のバランスが悪すぎますっ!」

 

 爆裂少女に言われナミと聖君少女も端末も端末パネルでそのパーティを確認してみたようだが、どうやら爆裂少女達が怒るのも無理ない構成のようだった。ナミ達の反応を見てレイチェルもすぐさま端末パネルのデータを見てみたようだが、その構成は驚くべきものだった。


 「そんなに酷いのかよ、ナミ。どれ、私もちょっと見てみようっと……。えーっと……おっ!、ナギにセイナもいるじゃーん。これのどこに不満があるだよ。他はアクスマン、アメリー、鷹狩、爆裂少女、ボンじぃ、リリスか……ってんん?。ちょっと待てよ……。ナギに鷹狩にアメリーってお前……魔物使いが3人もいるじゃねぇかっ!。しかも回復役もエロ爺ぃしかいねぇっ!」

 「本当ね。他のパーティの編成は見事なものだと思ってたけど……。これは一体どういうことなのかしら、不仲さん」


 なんと爆裂少女とアメリー達のパーティはナギと鷹狩を含め魔物使いが3名も集められていた。更にパーティは皆回復を行えるものが2名いたにも関わらずこのパーティにはボンじぃしかいなかった。これには他のメンバー達も疑問を抱き、リアが少し強めの口調で問いただしていた。


 「簡単なことですわ、リアさん。このパーティを編成するにあたってどうしても回復職に就いている者の人数が1つのパーティのみ1名になってしまうものだったのです。そこで吟味に吟味を重ねた結果、残念ですがそのパーティの方々には非常に辛い構成で戦ってらうことにしたのです」

 「だからっていくらなんでもこんな編成私達が許せると思って……」

 「あら、ナミさん。私の編成に不満があるようですけど現状この探索隊のリーダーは私ですのよ。貢献度勝負で負けた以上私の指示には絶対従ってもらいますわ」

 「そうだそうだっ!。不仲様の指示に従えないのならばお前がこの探索達から出ていけっ!」

 「全くもってその通り。あなたのような下っ端の単細胞女が不仲様に口答えていいと思っているのですか」

 「な、なによ……。あんたら……」


 ナギ達の前に必死に抗議しようとするナミの前に二人の女性プレイヤーが立ち塞がっていた。一人は女性にしては体格のデカイおかっぱ頭、もう一人はつり目にメガネ、インテリっぽい格好をしたお団子ヘアー。どちらとも不仲のことを“不仲様”と呼んでいたが一体どういう関係なのだろうか。


 「ふっ……。よくぞ聞いてくれた。私は不仲様親衛隊・第1号、貧島困子まずしまこんこだっ!。因みにこの名前は本名で、その名の通り生まれてからこれまで常に貧乏で困っている……」

 「私は不仲様親衛隊2号・賢機転子かしきてんこです。貧島と動揺本名で、これまた名前の通り賢くて機転が利く子であると自負しております。何卒お見知りおきを」


 不仲を庇うように現れた二人のプレイヤーはガタイのいい方が貧島困子、少しガリ勉っぽい方が賢機転子というようだ。共に不仲の親衛隊を名乗っていたが、2名とはいえもうそのような存在がいるとは不仲の影響力も中々侮れないものである。


 「し、親衛隊ですって……。まさかもうこんな腰巾着みたいな連中ができたなんて……」

 「そう言えば城門でてからここに来るまでもあいつらずっと不仲の後ろに付いて回ってたよな。あんな奴の親衛隊を買って出るなんてあの二人も相当性格悪いんだぜ、きっと。見た目からして根性ねじ曲がってそうだしよ」

「そうね、レイチェル……っ!。ってそんなことよりこんなふざけたパーティ組む奴の味方をしておいて何がお見知りおきよっ!。いいわっ!。そんなにお望みなら今すぐこの探索隊から出て行ってやるわよっ!」

 「そ、そんな……。待ってよ、ナミ。僕達なら大丈夫だから早まったこと言わないで」

 「ナ、ナギ……」

 「うむっ、ナギの言う通りだぞ、ナミ。私達のことならば何も心配はない。必ず財宝の在り処まで辿り着いてみせるから安心しろ」

 「セイナも……」

 「お、お前等にそう言われたら私も文句は言えねぇよ……。今回はこのパーティで我慢してやるかな」

 「ほほっ、わしも爆ちゃんやリリスちゃん可愛子ちゃん達と一緒でむしろ大満足じゃ。ナギ達のことはわしがしっかり面倒を見てやるから、お主は自分達のパーティのことに専念せい」

 「にゃぁっ!。僕達も皆に仲間モンスターの底力を見せてあげるのにゃっ!」


 “ヴェニッ!”

 “ドケェッ!”

 “ラッコォッ!”

 

 「ちょっとドラリスちゃん……。私はまだ納得したわけじゃあ……」

 「いいじゃないか、アメリー。折角の魔物使い同士、ナギと3人で色々情報を交換しながらじっくり遺跡を攻略しよう。ヴェニル達もモンスター同士で仲を深めたいようだしな」

 「私は別にあんた達なんかと仲を深めたくなんかないわよ……。(でもまぁ……、よくよく考えればナギさんやあのセイナさんに取り入るいいチャンスではあるわね)」

 「私もこのメンバーで構いませんよ。可愛いモンスター達に囲まれて癒される気分だわ。よろしくね、デビにゃんちゃん♪」

 「にゃぁぁぁぁぁぁっ!。あんたは要注意人物だって早速ヴェニルとドラリスに教えておくにゃぁぁぁぁっ!」

 「ふっ……、たまにはこういう逆境の中での戦いも良いだろう。心配せずともこのアクスマンがしっかり先導して……」

 「それではよろしくお願い致しますわ、ナギ様。隊の汚点を引き受けるのも副将の役目……。特にあのセイナの奴めがあなた方の足を引っ張るでしょうが……。それにしても本当に健気なお方……。魔物使いの職も他の者達が希望の職に就けるようわざわざ不遇と言われてる職を選ばれたのでしょう。その心遣い決して無駄にはしませんわ。必ず私達が遺跡の最奥まで辿り着いて財宝を手に入れてご覧にいれます」

 「はははっ……。(なんか完全に捨て駒扱いにされてるみたいだけど……。セイナさんに爆裂少女さん、それに鷹狩さんもいるしそう簡単にはやられたりはしないと思うんだけどなぁ……。とはいえ回復役がボンじぃだけなのは事実だし、HPの管理には気を付けて進まないとね)」


 必死に不仲に抗議をするナミとは裏腹に、ナギやセイナ達はこのパーティ構成に何の不満もないようだった。皆の心強い言葉を聞いて先程まで文句を垂れていた爆裂少女とアメリーもこのままでもいいなと思い始めていたようだ。それにナギの言うように例えパーティのバランスが悪くともこのメンバーがそう易々と諦めるような真似はしないだろう。案外遺跡の最奥まで一番乗りしてしまうかもしれない。


 「よ〜しっ!。それじゃあ早速ダンジョンに突入しようぜ。私達はこの魔法陣なっ!」

 「あっ、ちょっとお待ちになってレイチェルさん。ダンジョンに入る前にアプカルルの魔法の効果の持続時間を確認しておきましょう。私の方は残り8時間弱となっておりますが……」

 「私もちょうどそれくらいよ。掛けてもらった魔術師の人のステータスと自身のステータスの差で若干の誤差はあるけど皆な7時間以上は大丈夫なんじゃないかしら」

 「分かりました、ナミさん。では最後にダンジョン脱出用のアイテム“芥蜘蛛あくたぐもの糸”は皆さんお持ちですわね。なるべく早くに遺跡の探索を終わらせたいのは私も同じですが、あまり無理をなさらず危なくなったらすぐそのアイテムで脱出なさるように。間違っても功を焦って一番乗り等目指さずなるべく全滅せぬようお願い致します。無事外に戻ることができればまた対策を立て直すことができるのですから」


 遺跡の攻略に当たるとあってナギ達は皆ダンジョン脱出用のアイテムである芥蜘蛛の糸を持参していた。この名前は日本で有名な芥川龍之介の蜘蛛の糸という小説を元にして付けられたものだ。あくたとはゴミやクズ、つまらないものを意味するが、人間に取ってはクズにも等しい蜘蛛をその小説の主人公が助けことを強調する意味もあるのだろう。この“finding of a nation”のフィールドの至るところに芥蜘蛛は生息しているが、このアイテムのドロップ率は非常に低いが、隠れステータスであるモラルの値が高いほどドロップ率が上昇するようだ。


 「ふぅ……。アイテムの確認も済んだしいよいよダンジョンに突入ね……」

 「ちょっと緊張してるみたいだね、ナミ。でもナミだったらきっと一番奥まで辿り着けるから自信を持ってっ!」

 「ナギ……ありがとう。あんたの方こそ絶対最後まで辿り着けるわ。最初にパーティを組んだ私が保証してあげる。財宝の在り処で必ず会いましょうっ!」

 「では皆さん……用意はいいですわね。それでは突入致しますわ〜〜〜っ!」


 “ウィ〜〜〜ン……パッ!”


 こうしてナギ達は一斉に魔法陣を潜り財宝の待つ遺跡のダンジョンへと突入して行った。10組のパーティそれぞれ別ルートを進むわけであるが果たしてどれだけのパーティが財宝の在り処まで辿り着けるのだろうか。待ち受けているのが財宝だけであれば良いのだが……。ナギとナミは互いに力強い言葉を掛け合いながら魔法陣から姿を消した。



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