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finding of a nation online  作者: はちわれ猫
第九章 VSミステリー・サークルゴーレムっ!
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finding of a nation 58話

 「おーほっほっほっほっほっ!。やはりわたくしの実力に間違いはなかったようですね。討伐大会でのトップに続いてこの貢献度勝負でもセイナに勝つとは、芸能廃人ナンバーワンプレイヤーはこの私で決まりですわ。おーほっほっほっほっほっ!」

 

 皆の活躍で無事ミステリー・サークルゴーレムを討伐できたナギ達、だが貢献度勝負の勝者は意外にも不仲奈央子になってしまった。偶然とはいえセイナやナミ、天丼頭を差し置いてトップに輝いた不仲は、表彰式の時と同じように嫌みのある上品な言葉遣いで自分の実力をひけらかしていた。


 「なによ……。偶々(たまたま)あいつの核の上に落ちてきただけのくせに……。これもあんたが余計なことしたせいよっ!」

 「す、すまねぇ……。俺は皆の為に善意でやったつもりだったんだっ!。でもまさかあいつの頭が激突して核が破壊されることになるなんて夢にも思わなくて……。本当に面目ないっ!」

 「何言ってるのっ!、奈央君っ!。今回は無事倒せたから良かったかもしれないけど、もしかしたら奈央君のせいで私の方が全滅してたかもしれないんだよっ!。不仲さんと何があったか知らないけど今度あんな真似したら絶交だからね」

 「せ、聖……。そんな……」

 「そ、そこまで言わなくてもいいんじゃないか、聖。オカマ野郎も反省してるみたいだし今回はもう許してやっても……」

 「駄目よっ!。ちゃんと不仲さんに謝るまで私は許さないから。爆姉ぇも奈央君のこと庇ってるみたいだけど、本当は自分も同じことするかもしれないからって予防線張ろうとしてるんでしょっ!」

 「ぐっ……。(み、見透かされてる……。私もあの不仲って奴のことは気に食わないだが、聖の奴は私と違って真面目な性格してるからな。本当はこの後もパーティに入る約束なんか無視してバックレようと思ってたけどこりゃよした方が良さそうだな……)」


 やはり皆不仲がトップであることについて不満だったようだが誰も文句を言うことはなかった。結果がこうなってしまった以上それに従うのがMMOプレイヤーとしての彼らのしきたりなのだろう。どうやらナギ達も暫くは不仲の指示に従って行動することになりそうだ。


 “ダッ……ダッ……”


 「……そ、その……さっきはすまなかった。仲間の邪魔をするなんて俺の気がどうかしてたんだ。この通り謝るからさっきのことは水に流してくれっ!」

 「あら……、あなたは先程の失礼な名前の方……。水に流すも何もあなたの援護のおかげ私は1位になることができたのでしてよ。私を華麗に宙へと舞い上がらせた見事な技でしたわ。特別にその失礼な名前のことも許して差し上げましょう」

 「えっ……。(まさか本当に俺が援護したと思ってんのか……。なんかこっちの悪意に気付かれないってのも虚しいな。余計負けた気分になっちまうぜ。でもまぁ今は聖に許してもらうのが先決だ。下手な反論はしないでおこう)」


 不仲に対して深い憎しみを抱いているようであるアンチ奈央子だったが、それ以上に聖君少女に嫌われるのが嫌だったのか素直に頭を下げていた。だが不仲はアンチ奈央子が自分の援護をしたと勘違いしており許すどころか見事な技だったと褒め称えていた。憎い相手から好意を抱かれたことにアンチ奈央子は戸惑っていたが聖君少女に許してもらうのを優先してそのまま引き下がって行った。


 「それで、これからどうするのだ奈央子。まずは戦闘不能になっている皆を蘇生すべきだと思うのだが……」


 いつまでも威張り散らしている不仲を見兼ねてセイナが次に何をすべきか指示を仰いできた。セイナの言う通りまずは蘇生受付時間が切れる前に皆を蘇生すべきであろう。


 「……っ!。ちょっとセイナッ!。この貢献度勝負の勝者はこの私でしてよ。あなたに意見を言う権利などありませんわっ!」

 「ちょっとぉっ!。それじゃあ周りで戦闘不能になってる皆は放っておくってことぉっ!。あのゴーレムを倒せたのは皆の力もあったからだよ。それはいくらなんでも酷すぎるよっ!」

 「レミィの言う通りだ。天だくさんだったら絶対そんな指示出さないぜ。ねぇ、天だくさん」

 「えっ……あ、ああ……まぁな」

 「ちょ、ちょっと皆さん今のはそう意味ではなくて私はあくまでセイナに対して注意を……」

 「おいおいっ!、別にスーパー芸能嬢ちゃんは間違ったことは言ってなかっただろうが。だったら一々注意する必要はないんじゃねぇのかい」

 「ぐっ……」


 指示を仰いできたセイナを不仲は厳しい口調で突き放したのだが、レミィ、アクスマン、激痛整体師からその対応を非難されてしまった。更に周りの皆からも白けた目で見られてしまい不仲は先程までの傲慢な態度が一変、急に弱腰になりたじろいでしまっていた。


 「わ、分かりましたわ……。皆さんの言う通りです。ではまず皆で戦闘不能に陥っている方達の蘇生に当たりましょう。その後改めて天だくさんに指示を仰ぎましょう。貢献度勝負の約束につきましてはこの討伐隊が解散し終わってからでいいですわ」

 「へぇ、あんたにしては豪くまともな指示ね。それじゃあナギ、デビにゃん、私達はあっちの方へ行きましょう」

 「うん、いいよ」

 「それじゃあ他の皆も蘇生に向かってくれ。リヴァイブ・ストーンが足りない奴は俺が大量に買い込んでるから貰いに来い。蘇生が終わったら解散の指示を出すから、俺に選抜されたメンバーはまたここに集合ってことでいいな。じゃあ各自行動開始っ!」

 「は〜い」


 皆に遠慮してか不仲は一先ず指揮を天だくに譲った。貢献度勝負に勝ったとはいえこの討伐隊が解散するまではあまり出しゃばり過ぎない方がいいと判断したようだ。そして他の討伐に参加していたプレイヤー達の蘇生も終わり、一度皆が揃ったところで改めて解散の指示が出された。更にフィールドを探索する者やヴァルハラ城に帰還する者達、辺りで魔物と戦いレベルを上昇させようとする者達皆各々の行動をすべくストーンサークルから散って行った。そんな中天だくに選抜されていたナギ達は、不仲との勝負を約束を守る為再びミステリー・サークルゴーレムが消滅した場所へと集まっていた。


 「よしっ……。それじゃあこっからは貢献度勝負に勝った不仲の指示に従って動くぞ。皆それぞれ思うところはあるだろうが勝負は勝負。結果が気に入らないからって手を抜くんじゃねぇぞ……ってんん?。お前等はどうしてここいるんだ。別に選抜されたわけじゃないからこのパーティに入る必要はねぇんだぞ」

 「えっ……あっ、ああ……。まぁ私達はナギの連れ添いってことで。勝負には参加してなかったけど一緒に討伐したことには変わりねぇんだから私達もここに入れてくれよ」

 「まぁ……俺は別に構わねぇが……」


 勝負に参加していたわけではないがレイチェルやカイル達も不仲のパーティに参加するようだ。当然レイチェル達も不仲に対して不満は抱いていたが、それ以上にナギと行動を共にしたかったのだろう。

 

 「おーほっほっほっほっ!。では皆さん、約束通りこれから3か月の間この不仲の手足となって働いていただきますわ。精々(せいぜい)私の為に全力で尽くしてくださいませ」

 「ちぇっ……。まぁ約束なんだから仕方無いか。それで、私達はこれからどうするの」

 「えっ……。え、えーっと……そうですわね……」

 「勝負に負けた分際で言えることじゃないけど、できれば効率よく成果をあげられる事がしたいわね。そこはリーダーであるあなたに掛かってるんだから、いつまでも威張り散らしてないでしっかり考えてよ」

 「し、失礼な……っ!。誰も威張り散らしてなどおりませんわっ!。それにこの不仲がリーダーを務める以上ヴァルハラ国に最高の成果を提供するのは当然のことでしてよ。(……かと言いまして一体何をすればよいのかしら。これといって特に有益な情報を持っているわけではありませんし、あんまりありきたりな指示では皆に私の力を指示すことが……そうですわっ!)」


 望み通りリーダーになることができた不仲だったが、ナミと吉住にこの後の行動を問われ何も思い浮かばずにまたたじろいでしまっていた。まずは城に帰って情報収集でもすればいいのだが、プライドの高い不仲にはそんなありきたりの指示を出すことなどできず何か皆をあっと思わせるような方針はないか頭の中をかき巡らせていた。そのまま暫く困り果てた表情を浮かべていたが、そんな時一つの妙案が思い付いたようだった。


 「そこの赤い髪と黄色い髪の御二方っ!。確かナギさんとカイルさんとおっしゃいましたよね?」

 「えっ……。そ、そうだけど……、僕とカイルに何か用?」

 「ええ。あなた方は貢献度勝負にて私に次いで2位と3位に入られたプレイヤー。いくら勝負の約束とはいえ1位の私ばかり優遇されるのは平等ではありませんわ。そこであなた達二人を副将と参謀に任命しようと思いますですの」

 「ふ、副将と参謀……」

 「そうですわ。チームの為に色々な進言や提案をして大将である私を補佐する重要なポジションですわよ。そこで早速なのですがお二人にこれからの方針についての意見を伺いたいのですわ」

 「い、意見……っ!」

 「(……っ!。うっわ〜……、こいつ自分で何も思い浮かばないからってナギ達に考えさせるつもりだわ。副将と参謀なんて上手いこと言っちゃって。まぁ、私的にはナギの意見が通るっていうのは素直に嬉しいことなんだけど……)」


 どうやら不仲はナギとカイルを副将と参謀に指名することで何か意見を出させるつもりらしい。本人は上手く誤魔化したつもりのようだったがナミや他のプレイヤー達には完全にその魂胆を見破られてしまっていた。だが単純に皆ナギ達の意見を聞きたかったのか誰も不仲にそのことを指摘する者はいなかった。


 「ど、どう……。カイルは何かある?」

 「い、いや……特に何も……。そういうナギは?」

 「ぼ、僕はその昨日鷹狩さんから聞いたところに……」


 “チラッ……”


 「んん?」


 ナギは何か意見を持っていたようだが、何か言いづらい理由でもあったのか鷹狩の方をチラチラと伺っていた。鷹狩もその様子に気付いたようだったが、すぐにナギの言いたいことを察し声を掛けていった。


 「ああ、恐らく昨日私が言った遺跡のことを話そうとしているのだろう。一度情報を受け取った以上気にする必要はない。それに私もなるべく腕利きのプレイヤー達を連れて攻略に臨みたいと思っていたところだ。今のこのメンバーならほぼベストと言っても過言ではないだろう」

 「本当っ!。それじゃあ……」


 鷹狩の許可得てナギはゲーム開始時の討伐終了後に貰った遺跡の情報を皆に話した。鷹狩はヴェニルの特集能力を駆使してこの情報を得たようなので、恐らく他に取得している者はいないと思われる。これは話しを聞いた不仲達にとっても関心を引く内容であった。


 「なるほど……、北西にある遺跡ですか……。確かに興味深いお話ですわね。……いえ、むしろこれしかないという程私達にうってつけの情報ですわ。遺跡の探索を成功したとなればその功績ポイントも莫大なものになるはず……。ブリュンヒルデさんからの評価も上がり私達が一躍皆の注目を集めるのは必然ですわ。早速捜索に向かいましょうっ!」

 「そうねっ!。もしかしたら私達自身にも貴重なアイテムが手に入るかもしれないし……。遺跡って言ったら金銀財宝の宝庫だものね。私も綺麗な宝石でも見つかるといいなぁ〜」

 「なに似合わないこと言ってるんだよ、ナミ。私は宝石なんかより武器の素材がほしいぜ。よ〜しっ!、そうと決まれば大将の言う通りさっさとその場所を目指そうぜっ!」

 「ちょっと待って、レイチェルっ!」

 「……っ!。なんだ……、急にどうしたんだよ、カイル」


 ナギの話にナミや他の皆達も乗り気で、すぐにでもその遺跡に向かおうとしていたがその時不仲に参謀に選ばれたカイルが話しを遮って割り込んできた。どうやら参謀らしく皆に進言したいことがあるようだが……。


 「そんなに急がなくてもこの情報を持ってる人は他にいないと思うんだ。それに今プレイヤーのほとんどはブリュンヒルデさんの依頼である北の森の制圧に向かってるみたいで情報を知らずに遺跡を発見される可能性も低いだろうしね」

 「それはそうかもしれませんけど……。どうせなら早く向かった方がよろしいのではなくて」

 「今はこの世界での日付は4月25日の午後2時頃だろう。更にヴァルハラ城に帰った頃にはもう26日の夜頃になってるだろうし、どうせなら月の初めの給料を貰ってからにしたらどうだろうか。どういう仕組みなのか確認もしたいし、その間に少しではあるけど行動ポイントも回復できるだろうしね」

 「にゃぁっ!。確かにカイルの言う通り僕もナギ達にそのことを説明しておきたいにゃ。月初めには給料は当然国の内政度に応じて支給品も受け取ることができるにゃ。功績ポイントと引き換えにできるアイテムもあるんだけど、それは早い者順だからなるべく月の初めは何か欲しいものがないか確認しておいた方がいいにゃ」

 「あと貰えるお給料については月が変わる前に昇給手続きを済ませておかないと前月と同じままよ。あなた達は功績ポイントも割と貯まってる方でしょうから手続きを忘れて無駄にしないようにね」


 カイルは遺跡に向かう前に月の変わり目の給料と支給品システムの確認をした方いいと考えていたようだ。これから何度も利用することになるシステムだがなるべく早めに仕組みを理解しておく方が良さそうだろう。NPCであるデビにゃんやリアもカイルの意見に賛成のようだった。


 「ふむぅ……。確かに私達はゲームを始めて間もないばかり……。おまけにこのゲームの規模は今までのMMOとはシステムの規模も段違いですわ。いくら私でもすぐには把握しきれませんですわよ。ここはしっかりシステムの理解に努めた方がよさそうですわね。……ではこうしましょう。ヴァルハラ城に帰還したら各自自由行動と致します。その後5月1日に給料を受け取った後、その日の正午に北西の門に集合するということで」

 「了解よ。自由行動とはなかなか気が利くじゃない。私はてっきりもっと行動を束縛されるのかと思ってたわ」

 「だな。またヴァルデパでも見て回ろうぜ、ナミ」

 「僕達はどうしようか、デビにゃん」

 「にゃぁ!。僕は駄目元でガドスのじっちゃんのところにいきたいにゃ。もしかしたらだけど僕にも何かいい武器が手に入るかもしれないからにゃ」


 こうしてパーティの方針も決まったナギ達もヴァルハラ城へと帰還する為草原を西へと進んでいった。途中昨日盗賊達から解放した集落へと立ち寄ったのだが、そこにはすでにヴァルハラ国の兵士達が数名派遣されており、コルン達とヴァルハラ城から転居してきた住民達が新たな営みを再開していた。ミステリー・サークルゴーレムを討伐したナギ達は当然歓迎され、そこで一晩過ごすことになったようだ。そしてナギ達がヴァルハラ城に帰還したのはカイルの予想通り翌日26日の午後8時頃。日はすっかり暮れていてヴァルハラ城の街並みには民家や街灯の明かりが灯っていた。





 

 「ふぅ〜、やっと着いたぁ〜。もう、すっかり日が暮れちゃったね」

 「にゃぁ。ところで今晩の宿はどうするにゃ、ナギ。またレイコの泊めて貰うのにゃ」

 「う〜ん……、流石にこれ以上お世話になるのも悪いし……。できれば自分達で探したいんだけど。他の皆は宿はどうしてるの?」

 「あぁんっ!。なんだお前等。まだヴァルハラ城に用意された寮のこと知らなかったのかよ」

 「えっ……寮っ!」


 無事ヴァルハラ城へと帰還したナギ達は、民家や街灯の明かりで照らされている街の風景を見ながら今晩泊まる宿のことについて考えていた。昨日に引き続きレイコの家に厄介になる手もあったが、流石にこう何度も続けて世話になるのも気が引けるのかナギはできれば自分で宿を探したいようだった。そんな中天だく達他のプレイヤーに相談してみると、ヴァルハラ城にある寮についての話題が飛び出した。ナギ達はまだその存在は知らなかったようで、少し慌てた表情で天だくの方を見返していた。


 「ああ、あなた達はずっと母さんのところに泊まってたものね。プレイヤーの国にはそのプレイヤー達と私やマイ達固有NPC兵士の為に城に寮が設置されてるのよ。私が案内してあげるから今から行きましょう」

 「よしっ、じゃあ俺達はどっかの居酒屋で飲みついでに夕飯を済ましちまうか。それじゃあまた月が明けたらな、お前等」

 「あっ!、飲みに行くなら私も行きたいっ!。寮に行くのは別にその後でも……」

 「駄目よ、レイチェルッ!。あんたゲーセンで無駄遣いし過ぎてお金がないからなるべく出費は控えるってレイコさんの家で約束したでしょう。私達も付き合ってあげてるんだから、あんたは自分の部屋でカップ麺でも食べてなさい」

 「そ、そんなぁ……。うぅ……、給料貰うまでこっちの世界で酒はおあずけかよ。こうなったら一度ログアウトしてビールでも飲んでからまたログインして来ようこな……」

 「はははっ、それじゃな」


 ナギ達はリアにヴァルハラ城にある寮へ案内して貰うことになった。天だく達はこれから夕食がてら居酒屋に飲みに向かうそうだが、昨日ヴァルデパでお金を使い仕儀為付いて行けないレイチェルは凄く悲しそうな表情を浮かべていた。天だく達と別れたナギ達も転移用の魔法陣を潜り城へと向かって行った。


 “ウィーーーン……パッ!”


 「お勤めご苦労様です、皆さん」

 「あっ……、こちらこそこんな遅くまでご苦労様。何か異常がないかしっかり城や街を見張っててね」

 「はっ!。あなたのような優秀で奇特なプレイヤーにそのような言葉を頂き誠に幸栄であります。伊邪那岐命様っ!」

 「にゃぁっ!。もう衛兵達に名前を覚えられてるなんて流石ナギにゃ。アイアンメイル・バッファローに続きミステリー・サークルゴーレムまで討伐したんだから当然のことだけどにゃ。きっとナミやセイナ達の名前も覚えてくれてるはずにゃ」


 ナギ達が魔法陣を潜るとその先にいた城の警備を担当している衛兵に声を掛けられた。本来なら出入り口の左右を二手に別れて見張りをしているはずだが、まだ人手が足りていないのか一人で警備をしているようだった。やはり兵士の徴収は疎か十分な人口の確保すらできていないようだ。城の中以外にある魔法陣には一人も衛兵はおらず、ここに来るまでに立ち寄ったコルン達の集落にも僅かな兵士しか常駐してなかった。


 「本当っ!。それじゃあ私の名前も聞いたら答えてくれるかな。ちょっと聞いてみよ……」

 「ちょっと。もう時間も遅いだからさっさと寮に向かうわよ。私は早く部屋でシャワー浴びたいんだから」

 「えっ!。シャワーまでちゃんと付いてるのっ!。それじゃあ行こ行こ。私も早く入りた〜い」


 こうしてナギ達はリアに案内されてヴァルハラ城に用意されている寮へと向かった。部屋はプレイヤーとリア達固有NPC兵士一人につき一部屋ずつ与えられており、城の正面から入って左の魔法陣で各自に与えられた番号の部屋があるフロアまで移動できるようだ。ナギ達は自分の部屋の番号を確認し順番に魔法陣を潜って行った。


 “ウィーーーン……パッ!”


 「えーっと……、このフロアには4201〜4300までの百部屋があるのか。僕達の部屋は4281号室だからこっちの方だね」

 「にゃっ……。部屋と部屋との間隔もかなりあるしこのフロア自体が凄く大きいにゃ。廊下も広いしロビーみたいなところには自動販売機まで設置されてるにゃよ。話をしながらくつろいでるプレイヤー達も結構いるにゃ。……ってあっ!、誰かこっちに近づいてくるにゃよ、ナギ」

 「えっ……」

 「お〜い、ナギさ〜ん」

 「……っ!、メリノッ!」

 「にゃぁ、メリノって一体誰にゃ?」

 「あっ、よくレイコさんの牧場で馬子さん達と一緒に仕事をしてるプレイヤーだよ。内政の時は別行動してるからデビにゃんとはまだ会ってなかったね」

 「おおっ!、内政の仕事でもすでに人脈を広げていってるなんて流石ナギにゃ。僕も優秀なプレイヤーと知り合いになってナギに紹介してあげるにゃ」


 部屋の番号は1から順番に割り振られているようで、現在はプレイヤー人数である32464とリア達固有NPC兵士を合わせて全部で33500号室まで設置されていた。どうやらリア達以外にも志願してきた固有NPC兵士達もそれなりにいるようだ。ナギに割り当てられた部屋は4281号室で、ナギとデビにゃんは自分達の部屋を探しに行こうとしていたのだがその時廊下の向こうからレイコの牧場で出会ったメリノが駆け寄って来た。


 “ダダダッ……”


 「お久しぶりです、ナギさん。まだゲームが始まって間もないのに物凄い活躍をされてるみたいですね」

 「そんな……、偶々強い人達と知り合えたおかげだよ。デビにゃんも色々活躍してくれたし……ってあっ。折角だから僕の仲間モンスターを紹介しておくね。ヴァルハラ国に入国してる猫魔族のモンスター、デビルキャットのデビにゃんだよ」

 「デビルキャットのデビにゃんにゃ。これからもナギ共々よろしくお願いするにゃ」

 「こっちこそよろしくね、デビにゃん。ところでナギさん達の部屋もこのフロアだったんですか」

 「うん、4281号室だよ。ここにいるってことはメリノもそうなんだよね。折角同じフロアなんだし、暇な時はいつでも遊びに来てね」

 「はい、でも今日はこれから出掛けるようがあって……。また時間が空いた時に寄らせてもらいます。……あっ、因みに僕の部屋は4219号室なのでよろしく」

 「OK。暇があったら僕の方からも寄らせてもらうよ。でもよく考えればあんまりこの寮にいることはなさそうだけどね。ところでこんな時間からどこに出掛けるの。誰かと食事か何か?」

 「ええ、実は三日ぐらい前から塵童さんってプレイヤーの人にパーティに誘われて魔物の討伐に出ていたんですけど……」

 「じ、塵童……っ!」

 「それで今日無事に討伐を終わらせて帰って来て、これからそのパーティの人達と打ち上げがてら食事に行く約束をしてるんです」

 「そ、そうなんだ……。でもそれじゃあ今は急いでたんじゃないの」

 「ええ、まぁ……。時間はまだあるんですけど少し早めに行っておきたくて。……っというわけで僕はもう失礼しますね」

 「うん、また今度ね」


 “ダダダッ……”


 メリノはナギに挨拶を済ますとそそくさと魔法陣に入って行った。メリノの部屋もナギと同じフロアのようだったが、そんなことよりナギはメリノ口から出た塵童の名前のことが気になっていた。やはりあの塵童のことなのだろうか。


 「……メリノの言ってた塵童さんってやっぱりあの塵童さんのことだよね。メリノ話を聞く限り自らパーティメンバーを集めてるみたいだけど……、昨日の塵童さんからは考えられない行動だね」

 「きっとナギのした忠告が効いてるのにゃっ!。それに昨日ナギ達と行動を共にして他のプレイヤーと強調することの大事しさに気が付いたんだにゃ」

 「そうだといいんだけど……。取り敢えず僕達は部屋に行こうか」

 「にゃっ!。一体どんな部屋なのか僕楽しみにゃっ!」


 メリノと別れた後ナギ達も自分の部屋へと向かった。部屋へと入ったナギはまずその広さに驚かされていた。


 「うっわぁ〜〜〜、凄いよデビにゃんっ!。この部屋僕の部屋の広さより全然大きいよ。キッチンも廊下じゃなくてちゃんとリビングと一緒になってるし、マンションの間取りで言うと1LDKって感じかな。とても一人で住む大きさじゃないよ」

 「ナギの場合は僕も一緒だけどにゃ。まぁ、折角ゲームの世界なんだし住む所くらいは気を遣ってくれてるのにゃ。管理費も要らないというより元々管理する必要もないから遠慮しないでくつろいじゃえばいいにゃ」

 

 ナギ達が玄関を開けて部屋に入ると、まずリビング、ダイニング、キッチンの一緒になった所謂LDKと言われる間取りの大きい部屋が広がっていた。その部屋だけで12帖程はあっただろうか。入って左側には洗い場とバスルームとトイレ、中央の洗い場から左右のお風呂とトイレの両方に繋がっているようだ。右側の奥には寝室、その手前の空間はドアで区切られていなかったがキッチンが設置されていた。ゲームの中では意味があるのかどうか分からないが一応冷蔵庫も備え付けられており、オーブンやレンジ等主な調理用の器具は全て揃っていた。入って正面の窓からヴァルハラ国の固有自然遺産であるユグドラシルを眺めることができ、ベランダと出入り用のドアも設置されていた。どうやらナギ達の部屋は崖側に面しているようだ。この寮の部屋は全て崖側か街の景色が見渡せる反対側に設置されており、1つのフロアごとそれぞれ50部屋づつ両側に分かれていたようだ。またその廊下の中央は分厚い壁で隔たれており、廊下も崖側と街側の2つに分断されていた。メリノ部屋はどうやら街側のようだ。ナギとデビにゃんは暫く部屋の中を堪能した後、リビングに置かれていたテーブルの椅子に腰かけ今日の夕食の相談をしていた。


 「はいっ!、デビにゃんっ!。この中から一つ選んで。選び直しは無しだから慎重にね」

 「う〜ん……にゃっ!。僕はこれはにゃぁぁぁぁっ!、猫チャイニャーズ直伝・マタタビラーメンッ!」

 「じゃあ僕はこれ。ヴァルチャイナ直伝・華火鶏かかどりの鶏ガラ本格中華そばっ!」


 どうやらナギ達の夕食もレイチェルと同じくカップ麺のようだ。ナギとデビにゃんは買ってあったカップ麺をテーブルの上に置き二人で選び合っていた。デビにゃんの選んだマタタビラーメンはそのまま出汁だしにマタタビが入ったラーメン、ナギの選んだのは華火鶏という頭の鶏冠が燃え上がる火のように大きく華やかな鶏から出汁を取ったもののようだ。


 「にゃぁっ!。どっちも名前からしてめちゃくちゃ美味しそうにゃ」

 「じゃあ今お湯を入れるね。いい、ちゃんと3分間待ってから蓋を開けるんだよ」

 「にゃぁぁぁぁっ!。言われなくても3分ぐらいちゃんと我慢できるにゃぁぁぁぁっ!」


 二人共選び終わったのかナギはキッチンへ行きポッドでお湯を注ぎ始めた。ポッドには予めお湯が補充されていたようだ。ナギは再びカップ麺をテーブルの上に置き、デビにゃんと一緒に出来上がるのを待っていた。


 「くん……くんくん……。にゃぁ……、時間が経つと共にマタタビの臭いが強くなってきたにゃ。にゃぁ、ナギ。まだ3分は経たないのにゃ」

 「まだ2分しか経ってないよ。もうちょっとだから我慢して」

 「にゃ、にゃぁ……。ナギは変なところで几帳面なんだにゃぁ……」


 最初の言葉とは裏腹にマタタビの臭いが強くなってくるとデビにゃんはやはり食欲が我慢できなくなってきてしまったようだ。だがナギにはしっかり3分間待つように注意を促されてしまった。普通なら2分も経てば多少硬くても問題なく食べられるだろうが、デビにゃんの言う通りナギにしては少し厳しい対応だった。牧場で食に関わる仕事をしている為だろうか。


 “チッ……チッ……ピピピピピピピッ!”


 「にゃぁぁぁぁぁぁっ!、3分経った合図にゃぁぁぁぁぁっ!。それじゃあ早速いただくにゃぁぁぁぁっ!」

 「ちょっと待って。ちゃんと手を合わせて“いただきます”って言わなきゃ駄目だよ」

  

 “パッ!”


 「にゃぁぁぁぁぁぁっ!、それじゃあいただきまぁぁぁぁぁすにゃっ!。“ズズズズズズッ……ニャムニャム……”う〜んっ♪、マタタビの出汁がよく浸み込んでて絶品の麺に仕上がってるにゃっ!」

 「う〜ん……。マタタビを出汁に使うなんて聞いたことないけどなぁ……。まぁ、いいや。僕も早く食べ……」


 “ピン……ポォ〜ンッ!”


 「にゃぁっ!。誰か来たみたいだにゃ」

 「誰だろう……こんな時間に……。メリノはさっき出掛けて行ったみたいだし。とにかく出てみるか」


 ナギもカップ麺を食べようと箸に手をつけようとした時、突如ドアの方からインターホンの音が聞こえてきた。どうやらナギの部屋に誰か訪ねてきたらしい。この寮の全ての部屋にはマンション等と同じようにインターホンが備え付けられているらしい。


 “ガチャ……”


 「は〜い……って、ナミにレイチェルじゃないか。どうしたの、こんな時間に」

 「ごめんね。実はレイチェルの奴が私の部屋に押し掛けてきて、一緒に城の中を探検しようって言ってきたの。それでどうせなら皆も誘おうってことでナギの部屋を訪ねてきたってわけ」

 「へへっ、そしたらナミの奴真っ先にナギの部屋に向かって来たんだぜ。どうせなら二人で一緒の部屋にしてやれば良かったのによ」

 「ち、違うわよっ!。私は1から番号の近い順に回って行っただけ。そしたらナギの部屋が偶々1番だったのよ。……それで、どうする?。やっぱり今夜は疲れてるしまた明日にする?」

 「ううん。夜に探検した方が楽しそうだし僕も行くよ。でも今ちょっとカップ麺を食べてて……」

 「“ズズズズズズッ……ゴックンッ!”。にゃぁぁぁぁぁぁっ!、僕も行くにゃぁぁぁぁっ、ナギっ!」

 「分かってるって……。ってわけで外で待たせるのなんだから中に入って」

 「いいのっ!。それじゃあお邪魔しま〜す」


 こうしてナギとデビにゃんはナミ達と共に城の中を探検することとなった。だがまだカップ麺を食べていた為少しの間に中で待ってもらうことになったようだ。


 「あっ!、ナギの部屋も私と同じで崖側なのね。街の景色も捨てがたいけどやっぱり高いところからの眺めの方がいいわよね。今は暗くて分からないけど朝になったら遠くに海も見えるんだろうなぁ〜」

 「いいなぁ〜、お前等は。私の部屋はナミと同じフロアだけど街側だぜ。発展してるのは中央ばっかりで他は更地や森ばっかりだしまだまだ壮観な景色とは言えねぇな。民家もボロ屋ばっかりだしよ」

 「はははっ、僕達が頑張ればその内街も大きくなって立派な建物が一杯見れるようになるよ。レイコさんの家だってすでに凄い豪邸だったじゃないか」


 どうやらナミとレイチェルの部屋は同じフロアだったようだ。恐らく男性のみのフロアと女性のみのフロアに分けられているのだろう。ナギ達にしてみれば学生寮に近い感覚だろうか。


 「にゃぁぁぁぁぁぁっ!、何無駄話ばっかりしてるのにゃ、ナギっ!。早く食べないと麺が伸びちゃうにゃぁぁぁぁっ!」

 「あっ、そうだったそうだった……。それじゃあ僕もいただきますっと……。“ズズズズズズッ……”」

 「うわぁ〜、何そのカップ麺。随分美味しそうね。私達の世界にはこんなのなかったわよね、レイチェル」

 「ああ、私もさっきナギと同じやつ食ったけど美味かったぜ。お前は何も食べなかったのか、ナミ」

 「買ってあった菓子パンを1つ食べただけ。あんたに合わせるって言ったけどもう少しお腹に溜まるもの買っておけば良かったわ」

 「それじゃあ僕の買ったカップ麺食べる?。まだ結構残ってるから好きなの選んでいいよ」

 「いいわよ、別に。そこまでお腹が減ってるわけじゃないし……あっ。それじゃあ今がナギが食べてるやう一口分けてくれる?」

 「いいよ、はい」

 「えっ……」

 「にゃ……」

 「ありがとう〜。“ズズズズズズッ……”。う〜ん♪、今まで食べたカップ麺の中で一番美味しいわっ!。私も今度買い込んでおこうかしら」


 ナミに頼まれてナギは麺を少し取ってナミの口の前へと差し出した。するとナミは何の躊躇もなく麺を口に入れるとズズズッっと音を立てて啜ってしまった。レイチェルとデビにゃんはその光景を何とも言えない表情を浮かべて見守っていた。


 「(おいおい……、普通そういうのは男女の立場が逆だろうが。流石の私も光景が奇妙過ぎてツッコミどころが分からなかったぜ。てか何もためらいもなく女が男の目の前で麺をすするなっての)」

 「(にゃっ……。でもこれは二人の仲がすでにこんなことでは違和感を感じないレベルに接近している証拠にゃ。二人は気付いてないみたいだけどもう夫婦と言っても過言ではないにゃ)」

 

 デビにゃんの言う通り自然と今の行動が取れるというのは余程距離が近づいている証拠である。普通どちらかが途中で躊躇してしまうはずだ。そして更にナギはナミが口を付けた箸で何のためらいもなく再びカップ麺を食べ始めた。


 「“ズズズズズズッ……ゴックンッ!”あ〜美味しかった。今食べ終わったよ、ナミ、レイチェル。二人共何も出さずに待たせてごめんね」

 「いいよ、別に。珍しい光景も見れたしな。それじゃあさっさと皆を迎えに行こうぜ」

 「うん」


 カップ麺を食べ終わりナギ達はセイナやカイル達を迎えに行くことにした。先程の続きでまた番号の近い順に回って行くようで、次はアイナの部屋だったようだ。カップ麺のゴミを片付けナギ達は玄関の扉を出ていった。


 “ガチャ……”


 「ねぇ、今思ったんだけど別に迎えに行かなくても端末パネルで連絡すればいいんじゃない。その方が早く済みそうだし」

 「いいの。こっちの方なんだか修学旅行の時みたいでワクワクするじゃない。流石に移動には魔法陣を使うけどね。……っていうかそれでも今日一日でこの城の全部は回れないわね」

 「だだっ広いからなぁ〜、この城は……。全部見て回ろうと思ったら1週間ぐらい掛かるんじゃねぇか。まぁ、適当に回る場所を絞って行こうぜ」


 こうしてナギ達は皆を迎えに行く各フロアを回って行った。端末パネルで連絡を取ることはしなかったようだが流石に移動には魔法陣を利用するようだ。一応階段や廊下を使用しても城の全てのエリアに移動することはできる。とてつもなく時間が掛かるので誰も実践はしないだろうか……。次に回ったアイナの部屋は7204号室、その次のセイナは9021号室、ナミとレイチェルが12782号室と12702号室、残りのメンバーは皆25000代以降と皆割と後ろの方の番号に割り当てられていた。部屋の番号の順番はまずプレイヤー達から割り振られおり、リア達固有NPC兵士の部屋は32465号室以降のようだ。セイナやカイル達を迎え終わったナギ達はリアの部屋である32487号室の前へと来ていた。


 「よしっ……ここがリアの部屋だ。マイの部屋はもうちょっと先のフロアの32708号室だな」

 「リア達固有NPC兵士達は32465号室から多分登録できた順に割り当てられてるんだよね。ってことはリアが固有NPC兵士に登録できたのは22番目ってことか。リアが登録したのは僕達がアリアの説明を受けた時と同じだったしもしかしたら1番じゃないかと思ってたんだけど……」

 「元から登録されてるNPC達も何人かいたんじゃない。それよりもう1000人以上も集まってるのね、固有NPC兵士達って。この調子だと最終的に私達プレイヤーより多くなっちゃうんじゃないかしら」

 「そうじゃね。でもマイちゃんで500人目ぐらいみたいじゃし、あれから私等がログアウトしてた時間を考えると最初だから一気に皆集まって来たって感じじゃろうね。これからは逆に発掘するのが難しくなってくるのかも……」

 「そんなことより早くインターホンを押したらどうだ。でないと城を探検する時間がなくなってしまうぞ」

 「おおっと……。そうだったそうだった。それじゃあポチッと……」


 “ピン……ポォ〜ンッ!”


 「………」


 “ダダダッ…”


 「はぁ〜い、一体誰よ、こんな時間に……」


 “ガチャ……”

 挿絵(By みてみん)

 「あっ……」

 「あら、あなた達だったの。どうしたの、こんな時間に」

 「うほっ♪。これはまた色っぽい格好じゃわい」


 レイチェルがインターホンを押すと玄関に向かってくる足音がしてドアからリアが顔を出した。だが玄関から出て来たリアは体にバスタオルを羽織ってる以外は頭に普通のタオルを巻いているだけのほとんど裸に近い姿だった。どうやらお風呂から出て来たばかりのようだがナギ達は皆男女とはず焦ってしまっていた。お風呂上がりに訪ねて来てしまい悪いと思ったのだろう。


 「ご、ごめんなさい、リア……。まさかそんな姿で出てくるなんて思わなかったの。そう言えばお風呂に入るって言ってたもんね。また後で出直してくるわ」

 「いいわよ、別に気にするようなことじゃないし。それより用があって訪ねて来たんでしょ」

 「あっ、うん……。実はこれから皆で城の中を探検しようと思って……」

 「あら、そう。だったら取り敢えず中に入って。すぐに着替え終えるから」 

 「ええっ!、いいのっ!。でもこんなに数がいるのに悪くない……。中には男子だっているし……」

 「何を言っとるんじゃ、ナミっ!。リアちゃんがこう言うとるじゃから遠慮なく入れてもらえばいいではないかっ!。さっ……、それではリアちゃんの部屋をたっぷり堪能……」

 「駄目だよ、ボンじぃ。こんな大勢で押し掛けちゃ悪いし僕達は先にマイさんを呼びに行ってよう」

 「そうだな。男共はそうした方がいいか。ってわけで行くぞ、爺さん」

 「そ、そんな……。この滅多にないチャンスを棒に振るとは……。お主達本当にそれでも男なのかっ!」

 「何格好悪いことを偉そうに言ってんだよ。それじゃあマイのことは頼んだぜ」

 「うん。呼んだらこっちに連れてくるからレイチェル達はここで待ってて」


 大勢でリアの部屋で押し掛けるのも悪いということで、ボンじぃはかなり残念がっていたがナギやカイル達男性陣は先にマイを迎えに行くことになった。男が女性の部屋に入る、しかも風呂上がりの格好をしていることへの配慮もあったのだろう。ナギ達と一旦別れたナミ達はリアの部屋へと上がって行った。


 「うっわぁ〜〜〜っ!、私達の部屋と違ってもうすっかり装飾が施されてるわね。これ全部リアが自分でやったの?」

 「まぁね。母さんの知り合いの業者から家具や装飾を安く買い漁って来たのよ。おかげで固有NPC兵士になる前の貯金はほとんど使っちゃったんだけどね」

 「ふ〜ん……。それにしてもリアって本当に赤が好きなんじゃね。絨毯にカーテン、テーブルカバーまで赤色じゃよ。きっとベットもそうなんじゃろね」

 「それに赤っていうより紅色べにいろって感じがしてとっても大人っぽいです。……あっ、見て下さい。化粧台の前にあんなに沢山口紅が置いてありますよ。口紅と言えばやっぱり赤ですもんね。他の化粧品より思い入れがあるんじゃないですか」

 「へへっ。でもこの部屋を見るとリアと親しくなれたのはナギとナミのおかげって感じがしてくるな。ほら、お前達の髪の毛も赤色だろ」

 「ええ〜……。確かにそうだけど髪の毛の色で好きって思われてもあんまり嬉しくないかも……。やっぱり見た目より中身の方が大事でしょ」

 「心配しなくても髪の毛の色が好みってだけでここまで付き合ったりしないわよ。一緒に行動してるのがあなた達が優秀で信頼のできるプレイヤーだから。それはあなた達も同じでしょ?」

 「リア……」

 「うむっ。リアの言う通りだぞ、お前達。我々は互いに認め合ってるからこそこうして行動を共にしているのだ。それに一緒にプレイしたいと思わせる魅力もある。決して最初の討伐で偶然出会ったからなどではないぞ」

 「ふふっ。MMOプレイヤーとしての魅力ならあなた一番あるんじゃないかしら、セイナ。……さて、それじゃあさっさと服を着るとしますか。女性しか部屋にいないだったら変に気を遣う必要ないわね」


 “バッ……”


 部屋に女性しかいなかったからかリアは羽織っていたバスタオルをいでソファーの上に置いた。そしてタンスから下着と先程まで来ていた服を取り出し着替え始めた。リアは雰囲気だけでなくスタイルもとても16とは思えない大人びたもので、後ろからリアの着替えを見ていたナミ達は同じ女性だというのに不思議な魅力を感じてしまっていた。


 「改めて思うけどやっぱりリアってとても16歳には見えないわね。どう見たって私より年上に見えるわ。あっ、勿論老けて見えるって意味じゃないわよ。女性としてとっても魅力的だってこと」

 「私やマイ、母さんに歳は関係ないわよ。一部のNPCはプレイヤーと同じで年齢によって容姿が変化しないようになってるから。

あなた達の場合は現実世界での容姿の変化に合わせられるけどね。そんなことよりそろそろナギ達が戻ってくる頃じゃないかしら」


 “ピン……ポォ〜ンッ!”


 「お〜い、リア〜、皆〜。マイさんを呼んできたよ」

 「噂をすれば来たみたいね。それじゃあお城を見て回りましょうか。言っとくけど私も中のことはまだほとんど知らないから案内はできないわよ」


 ナギ達がマイを連れて来て皆は城の探検へと乗り出した。ナギ達と違いずっとゲームの中にいたリアとマイもまだほとんど城の中は見回れていなかったようだ。それだけこのヴァルハラ城の内部が広いということだろう。


 「うっわぁ〜〜〜っ!。これがブリュンヒルデさんの玉座がある部屋かぁっ!。天上があんなに高いところにあるわ。あっ!、あそこにブリュンヒルデさんが座っているのね」

 「って言ってもこのゲームだとほとんど執務室にいるからここに座ることはほとんどないわよ。今のあなた達の時代の人間……、特に日本人は象徴としての力より実務による成果の方を求めてる人が多いでしょ。玉座に座ってることの住民達への影響もほとんどないし……。城にいるNPCの兵士達の士気を維持する為に一日に一時間程度はここに座ってるでしょうけど」

 「確かにもう僕達の世界に王様なんていないもんね。まだ日本にも皇室、海外にもいくつかの王室が残ってるけど国を運営してるのは政治家の人達だもん。でも最近は政治能力だけじゃなくて皆を一つに纏めて引っ張って行ってくれるカリスマ性みたいなのを求めてる気がするけどなぁ」

 「女性の総理大臣なんかも皆求めてるけどまだ一人も実現した人はいないね。ブリュンヒルデさんなんかピッタリの人物だと思うんだけど……」

 「カイルさんもそう思いますかっ!。私もそうなったらいいなぁって考えていたんです。女性からしたら憧れの存在ですよね」

 「まぁ、何にせよ見に来れて良かったわ。こここの前まで他のプレイヤー達が来すぎて立ち入り禁止になってたから」

 「ふ〜ん、やっぱり皆こういうところは真っ先に見に来るもんなんだな。それじゃあ次に行こうぜ」


 まずナギ達が訪れたのは玉座の間だった。階段の上に玉座が置かれているだけのとても広大な空間で、まさに王の偉大さと器の大きさを表しているようだった。普通の人から見れだなんと無駄の多い空間だと嘆いていたことだろう。レトロなRPGゲーム等では常に玉座には王様が座っているが、流石にこの時間ではブリュンヒルデの姿を拝むことはできなかった。


 「わぁっ!。見て下さい、カイルさんっ!。すっごい本の数ですよ、この図書館は。これ全部読み放題なんでしょうか」

 「みたいだね。それにしても本当に凄い数だね。あんな高いところまで本棚が積み上げられているよ。このフロアだけで50階分ぐらいあるんじゃないないだろうか……」

 「言っとくけど歴史や物語の本ばっかりでプレイヤーに役立つものはほとんど置いてないわよ。置いてあったとしても読むだけじゃ意味ないけどね。まぁ、本が好きなら行動ポイントの回復がてら暇つぶしに読書に来てもいいんじゃないかしら」


 続いて訪れたのはレイコの家の書庫の何十倍もの大きさと本の埋蔵量を誇る超巨大図書館だった。本棚に沿って何十階という高さまである廊下と階段、中央の大きな柱を中心として十時の形をした渡り廊下、まるで本専用のショッピングモールのような空間だった。だがその本棚にはまだまだ空いているスペースがいくつもあり、これから国が成長していくと共に本の数も更に増えていくようだ。本が好きなカイルやアイナには絶好のくつろぎポイントだろう。


 「ここが昨日私が天だくと模擬戦をした訓練場だ。プレイヤー同士でなくとも辺りにNPC兵士に頼めば訓練に付き合ってくれるぞ。内政の仕事でない場合は経験値も功績ポイントも貰えないがゲーム内で動きを掴むいい練習になる。新しい技を覚えた時等は是非お願いしてみるといい」

 「でもあんまり無茶なお願いすると兵士達からの評判が悪くなっちゃいそうだね。ちゃんと感謝の気持ちを込めて練習に付き合ってもらわないと……ってあっ!。あそこに弓の練習用の的があるよ。マイさんなら一発で真ん中に当てられるんじゃない?」

 「あれぐらいの距離だったらナギ達でもすぐに中心を狙えるようになるわよ。本格的な弓の訓練場となったらもっと広大な土地が必要ね」

 

 セイナが模擬戦をした訓練場では内政の仕事以外でもゲームの訓練ができるらしい。ここ以外にも訓練場はいくつか設置されているようだ。もう時間が遅くプレイヤー達の姿はなかったが城の兵士と思われるNPC達が剣と槍の素振りの訓練をしていた。


 「にゃぁぁぁぁぁぁっ!。ここが僕達錬金術師の活躍する錬金場だにゃっ!。いずれはこの錬金場に負けない立派なラボを持つのが僕の夢なのにゃっ!」

 「それって僕に建物を一つ買えってこと、デビにゃん。ゲームの中とはいえそんなにお金を貯めることなんてできるのかなぁ……」

 「ふふっ、ナギ君じゃったらきっと大金持ちになれるけぇ。徳のある性格しとるからお金の巡りもいいはずじゃよ。レイコさんみたいに牧場の経営者になったら是非私も雇ってね」


 訓練場と同じく錬金場も城には何か所か設置されているようだった。こちらは訓練場と違いお金を払わなければ使用することはできないようだ。最もそのお金はヴァルハラ国に支払われる為結果的に設備の拡張等に使用されプレイヤーに還元されることになる。錬金術を行うなら積極的にこの場所を利用した方がいいだろう。


 「おおっ!、ここがヴァルハラ城の食堂か。今食べてる奴も何人かいるけどどれも美味そうだな。俺の会社の食堂の飯も超美味くて昼休みはいつも社員達で賑わってるぜ。会社の業績がいいのは飯が上手いおかげだって皆言ってるし、ここの飯が上手いと兵士達の働きぶりも良くなるんじゃないか」

 「何だ、ヴィンスもリーマンだったのかよ。いいなぁ〜、私の会社には食堂なんてないんだぜ。って言うかビルの一室にオフィスを借りてるだけの超小さい会社なんだけどな」

 「そんなことより見てみぃ、あの店員の女子を。なんとも可憐で愛らしい笑顔ではないか。わしあの子に会う為に毎日ここに御飯食べよ〜うっと」

 

 ヴァルハラ城には兵士やプレイヤー達が利用できる食堂もあるようだ。これも凄まじい広さで2000人は座れそうな程のテーブルと椅子が設置されていた。カウンターにはNPCと思われる女性の店員達、奥に見える厨房ではコック帽を被った男達が忙しそうに調理をしていた。メニューも豊富で値段もお手頃のようだ。レイチェルのようにお金に困り気味のプレイヤーは頻繁に利用することになるかもしれない。


 「さて……。それじゃあ最後に崖側のテラスに行きましょう。夜だから崖下に広がる景色はよく見えないだろうけど、代わりに綺麗な星空を拝めるはずよ」

 

 まだ回れていない箇所もあったが、城の中を一通り見終わったナギ達は最後に崖側のテラスに出てみることにした。そこには崖下の景色こそ見渡すことができなかったものの、雲一つない澄み切った夜空には満天の星空が広がっていた。無数の星達の輝きによって夜の空は美しいグラデーションの掛かったブルーのように照らされており、まるで地球が海の中にあるのではないかと感じさせる程だった。


 「わぁ……、こんな星空現実の世界じゃサバンナにでも行かなきゃ拝むことはできないわよ……。大草原の真っ直中、それも高台の上から眺められる夜空なんて最高ね。ヴァルハラ国の建国地がこの場所で本当に良かったわ」

 「ナミも意外とロマンチックだったんだな。こんな素敵な夜空ナギと二人っきりで見られたら最高ってか」

 「もうっ!、そんなんじゃないってば。大体あんただって女のくせにこの景色を見てそんな卑猥なことばかりしか考えられないの」

 「じゃが周りはカップルばっかりじゃ……。皆男女で肩を寄せ合って星空を眺めとるぞ。ゲームの中でも青春真っ盛りで羨ましい限りじゃわい。わしにもゲームを通じて素敵な出会いでも巡って来んかのぅ……」

 「そう言えば最近カップルでゲームをやるプレイヤーも増えたよな。俺なんて家族でパーティで組んでる奴らと出会ったことあるぜ。子供の遊びに付き合わされてる内にすっかり親まではまり込んじまったんだとさ」

 「家族とゲームかぁ……。家は僕意外は誰もゲームなんてやらないからなぁ。今日なんて危うくVRDベットを壊されちゃうところだったし……」

 「にゃぁっ!。そんなことされたら僕はナギと会えなくなっちゃうにゃ。今度僕がナギの両親に挨拶しておかないといけないにゃ」

 「で、デビにゃんがどうやって家の家族に挨拶しに来るんだよ。心配しなくても父さんや母さん達にはちゃんと説明しておいたから安心して。(まぁ、説明って言っても大分誤魔化してるんだけどね……)」

 「そう言えば私も今朝のこと家族にバレないかしら……。まぁ、おじいちゃんだったら誰にも言わないと思うんだけど……ってあっ!。それより見て。あれ流れ星じゃない」


 “シュイン……ッ!”


 「本当にゃっ!。でもあまり早く通り過ぎちゃったんで僕願い事できなかったにゃ……」

 「きっとまた流れて来ますよ、デビにゃん。今度は願い事ができるようにしっかり見張っておきましょう」

 「にゃぁっ!。よ〜しっ!。今度は超速で願い事を唱えてやるにゃっ!」

 「私達も折角だから待って見ましょうか。チャンスは一瞬だと思うから見逃さないでよ、マイ」

 「任せて、リア。弓術士で鍛えた遠視で逸早く皆に知らせてあげるわ」


 ナギ達は空を見上げて再び流れ星が降ってくるのを待っていた。ナギ達の世界では流れ星が降っている間に願い事を念じると叶えてくれると言われているがこの世界ではどうなのだろうか。


 “キランッ……”


 「……っ!。来たわよ、皆。急いで願い事を言ってっ!」

 「にゃっ!」


 “………”


 遠視を使用していた為真っ先に流れ星に気が付いたマイの合図がなされるとナギ達は一斉に沈黙して心の中で願い事を念じ始めた。皆一体どんなお願いをするのだろうか。


 「……よしっ!。ちゃんと願い事が言えたわよ。皆はどう?」

 「私もバッチリだぜ。ところでナミはどんな願い事したんだ。どうせナギとの仲が上手くいくようにとかだろ?」

 「違うわよっ!。でもこればっかりは皆と同じなんじゃないかしら。どう?、今から今の願い事を皆で一斉に口に出してみない」

 「いいよ。……それじゃあセイナさんに合図を出してもらおうか」

 「分かった。それではいくぞ……せ〜のっ!」


 “「このゲームでヴァルハラ国が優勝できますようにっ!」”


 セイナの合図で一斉に皆の口から出て来た願い事は全員一致でヴァルハラ国の勝利を願うものだった。口に出す前からナギ達は皆分かっていたようだが、皆の思いが一つになったのが実感できて嬉しかったのかうっすらと笑みを浮かべて皆で見つめ合っていた。


 「ふっ、なんだ。皆同じ願い事してんじゃないの。こんな時でもゲームの勝利を考えてるなんて、やっぱりあなた達は優秀なプレイヤーだわ」

 「今の私達は現実世界の人間じゃなくてもゲームの中のキャラクターだもの。ましてや私達にはヴァルハラ国の運命が掛かってるんだから私的な願い事なんてできるわけないわよ」

 「そうそう。それに願い事っていうのは自分一人の力で叶えられるものじゃないけぇね。このヴァルハラ国皆の一番の願いが叶えば自然と私等の小さな願いも叶うようになってくるよ」

 「だな。それにしても爺までが同じ願い事とは恐れ入ったぜ。絶対女絡みのことだと思ったのによ」

 「ほほっ、あんまりわしのことを見くびるでないぞ。これでもちゃんとMMOプレイヤーとしての自覚はあるんじゃ。(まぁ、ついでに素敵な出会いがあるようにとも願っといたがの。最近の流れ星は太っ腹じゃからきっと二つとも叶えてくれるじゃろうて)」

 「そうだよ。いくらなんでも失礼だよ、レイチェル。ほら、周りにいるカップルのプレイヤー達だってきっと僕達と同じ願い事をしているよ」

 「そうかぁ〜。どうせ自分達の将来のことでもお願いしてるんじゃねぇのかなぁ」

 「……さっ、流れ星もみたことだし、無駄話もほどほどにしてそろそろ部屋に戻るわよ。内政の仕事だってあるんだし暫く城にいるからってあんまり夜更かししちゃ駄目だからね」

 「そうだね。いつの間にかもう0時を回りそうだし……。明日からは暫く各自自由行動ってことで今日はもう部屋に帰って眠ろうか」

 「そうね。私もそろそろ眠くなって来たし……。それじゃあ早く戻りましょう」

 「ふわぁ〜……。なんだかんだで今日も疲れたな……。酒の夢で見れることを願って横になるか」


 こうしてナギ達は再び自分達の部屋に戻りに床に就くのだった。皆城を探検している時は元気に歩き回っていたのだが、ベットに横になると一分も立たずに眠りに就いてしまった。やはりいきなりミステリー・サークルゴーレムの討伐をこなしてからのヴァルハラ国に帰還するまでの道のりでかなり疲れが溜まっていたようだ。レイチェルは酒の夢がみたいと言っていが今日の夢は星屑のベットで眠る素敵な夢になるのではないだろうか。次の目的地は鷹狩の言っていた北西の遺跡のようだがこれから暫くの急速でしっかりと英気を養ってほしいものだ。



 


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