finding of a nation 19話
「うわぁ〜、近くで見ると余計格好いいわね。レイチェルのヴァイオレット・ウィンド」
「本当だぜ。確かセイナも最初の討伐で2位に入賞して何か武器貰ってたよな。あ〜俺も早くランクの高い槍が欲しいぜ」
レイコ達に見送られたナギ達は表彰式の時にプレイヤー達が集まったヴァルハラ城を目指して歩いていた。まずは転移用の近くの魔法陣を探していたようだがその道中では皆レイチェルのヴァイオレット・ウィンドの話題で持ち切りだった。特にヴァイオレット・ウィンドに付与されている風の属性に皆注目しているようだった。
「へへへっ…。私もこの剣を一目見た時から気に入ってるんだ。あ〜早くモンスター相手にこの剣を振るってみたいぜ」
「にゃぁ…、その剣ができたのは僕とナギのおかげだってこともう完全に忘れてるにゃ。……ところでレイチェル、そのヴァイオレット・ウィンドの品質や性能はどうなってるのにゃ」
「あっ…、そういえばまだ確認してなかったな。ちょっと見てみるか」
「うっ…、僕も品質のことすっかり忘れてたや…。なんとか成功したけど、鍛冶もすっごく難しかったし品質が30%とかだったらどうしよう…」
「何言ってんだ。完成させただけでも大したもんなんだからそんなの気にしねぇよ。それにこの武器なら例え品質が低くてもこの序盤じゃとんでもなく高性能のはずだしよ。……っで、品質はっと…」
デビにゃんに言われてヴァイオレット・ウィンドのデータをまだ見ていないことを思い出し、レイチェルは端末パネルを開いた。品質のことを思い出したナギは成功したとはいえ品質が成功ラインギリギリの30%だったらどうしようと不安になっていた。だが30%でもヴァイオレット・ウィンドの性能ならばかなり飛び抜けたもののはずだが…。
「おおっ!、喜べナギ。このヴァイオレット・ウィンド品質72%もあるぜっ!。お前が鍛冶屋の仕事で作ったクレイモアよりも高いじゃねぇか」
「本当っ!。それは僕もビックリだな。やっぱりガドスさんがくれたレシピの効果が大きかったのかも」
「へへっ、攻撃力もかなりすげぇぜ。こりゃ暫くの間モンスターとの戦闘は楽勝だな」
なんとナギの作成したヴァイオレット・ウィンドの品質は72%。クレイモアを作った時と違いデビにゃんのくれたフォーギンブレイドエキスで鍛冶スキルが上がっていたとはいえヴァイオレット・ウィンドでこの品質は素晴らしいものだった。如何にナギの集中力が凄まじかったがうかがえる。品質の高さもあって性能は更に飛び抜けたものであった。
※ヴァイオレット・ウィンドの性能
武器名 ヴァイオレット・ウィンド 武器ランクC 品質 72%
物理攻撃力 238 対応ステータス STR100% VIT47%
魔法攻撃力 38 対応ステータス MAG80% INT32%
物理防御力 26 対応ステータス VIT90%
属性 風(属性変換率0、50〜100%)
重量 1.7キログラム
上記がヴァイオレット・ウィンドの性能データである。ヴァイオレット・ウィンドには物理攻撃力、魔法攻撃力、そして物理防御力の3つの数値が設定されているようだ。各性能の数値の横に表示されている対応ステータスとはその武器の性能を引き出すのに対応するステータスを表している。物理攻撃力ならばヴァイオレット・ウィンドの性能数値である238ポイントを、プレイヤーの100%のSTRの数値を割合として掛け合わせたものと、47%のVITの数値を割合として掛け合わせたものを合計したものがプレイヤーの物理攻撃力なる。例えばSTR、VITの数値がともに200プレイヤーがヴァイオレット・ウィンドを装備すると次のようになる。まずSTRの値は200の100%なのでそのまま200とする。つまりヴァイオレット・ウィンドの物理攻撃力の値238を200%にした数値、476がSTR分の攻撃力の数値となる。次にVITの値は200の47%なので94とする。つまり238を94%にした数値223.72の小数点を切り捨てた223がVIT分の攻撃力となる。そして476と223を合計した699が、STR、VITの値が200のプレイヤーがヴァイオレット・ウィンドを装備した際の物理攻撃力となる。
「攻撃力238かぁ〜。序盤からしてみると飛んでもない数値ね。私なんて武闘家だから初期装備なんて素手よ。一応素手の状態での攻撃力は高く設定されてるみたいで、皆が最初に装備してた武器と変わらないみたいだけどね。ところでレイチェル、その属性の項目の後の属性変換率って数値はなんなの」
「いや…、それが私もよく分らねぇんだ。風の属性が付与されているってことは流石に分かるんだけどよ」
「それは相手に与えるダメージをその属性に変換できる割合の数値にゃ。実際にモンスターに攻撃した方が分かり易いからその時に僕が説明してあげるにゃ」
「おっ、頼むぜデビにゃん。後は重量だな。これはそのまま重さのことだろうな。重量1.7キログラムって大剣にしては軽すぎるよな。やっぱり風っていうだけあって軽快に振り回せるってわけか」
ヴァイオレット・ウィンドの重量は1.7キログラムと大剣では考えられない軽量さだった。重量はそのままその武器を装備した時に感じる重さのことだが、重量によるダメージの変更はないためこのままでは単純に軽い方が高性能ということになってしまう。なのでこのゲームでは重量の思い武器や防具の方が攻撃力や防御力の数値は高めに設定されているようだ。ヴァイオレット・ウィンドの攻撃力や防御力の性能も重量が軽い分Cランクの大剣にしては低めなほうだろう。
「ふ〜ん…、でも暴風って意味の名前だけあって破壊力もありそうだけな〜。……あっ、転移用の魔法陣が見えてきたよ」
ナギ達がヴァイオレット・ウィンドについて話ていると少し大きな広場へと出てきた。広場と言ってもまだほとんど人はおらず小さな出店がいくつかあるだけだった。転移用の魔法陣は広場の中央に設置されており、ナギ達以外のプレイヤー達も何人か魔法陣の中へと入って行っていた。そしてナギ達も魔法陣の中へと入り城の前へと転移していくのだった。
“ウィ〜〜〜ン…”
「さっ、城の前まで来たよ。早く受付に行って次のチュートリアルに移行しよう」
「…ってちょっと待てよ。もうあんなに人が並んでるじゃねぇか。こりゃ5000人くらい並んでるんじゃねぇのか」
ナギ達が城門の前へと転移してくると昨日表彰式の時にプレイヤー達が並んでいた広場にすでに大量のプレイヤーの列ができていた。まだ朝の8時だというのにほとんどのプレイヤーは内政チュートリアルを済まして朝の時点でもうここに来ていたようだ。
「でも列はどんどん前に進んでいってるみたいよ。きっと時間が掛からないように中で何か救済措置がされてるのよ」
「本当です。この分だと20分も並ばなくて良さそうですよ」
「そうみたいだな。それじゃあグダグダ言ってないでさっさと列に並ぶか」
城の入り口の前から続いている列はかなりの長さだったが進むのは早かったようだ。この調子でいけばすぐに城に入れるだろうと思いナギ達は列の最後尾へと並んだ。ナギ達が並んだ後にも後ろには更に多くのプレイヤーが押し寄せてきたが列の進むスピードはそれよりも早くナギ達は城の入口へとどんどん近づいて行った。
「ほほっ、この調子じゃと10分程で城に入れそうじゃのう」
「そうだね。もう半分くらいは進んだかな。……ってうんっ、あれはなんだろう…」
ナギ達が列に並んで歩いていると何やら前の方で騒ぎが起きていた。どうやらプレイヤーと文官NPCの間でもめ事が起きているようだが。
「うるせぇなっ!。俺はちゃんと内政のチュートリアルを終わらせたよ。NPCのくせに一々プレイヤーを疑ってんじゃねぇよ」
「いえ、私達には監視プログラムから全てのプレイヤーの必要なデータ情報を受け取っています。それによるとあなたは内政のチュートリアルを受けてすらいない。これでは城に入れるわけにはいきません。即刻列から退いてください」
「だからうるせぇんだよっ!。俺には内政のチュートリアルなんて必要ねぇ。なぜなら内政をしないからだ。俺は戦闘にしか興味ねぇんだ。内政なら他の家でモゾモゾしてそうな陰キャラプレイヤーにやらせろよ」
「ふぅ…、仕方ありませんね。それでは強制的に退去していただきます。はぁっ!」
「えっ…」
“パッ…”
文官NPCが何やら魔法のようなものを使うともめていたプレイヤーは一瞬にしてその場から消えてしまった。どうやら内政のチュートリアルを完了させていないのに列に並んでいたようで、それで文官NPCに忠告を受けていたらしい。それに従わなかったので何等かの処置がとられたということなのだろうが…。
「今私ともめていたプレイヤーはまだ内政のチュートリアルを完了させていませんでした。ですが私の忠告を無視このまま列に居座り続けようとしましたので強制処置としてそのプレイヤーの最初に選択した内政職の施設へと転送させていただきました。少なくとも100キロ以上離れた距離に転送させた上内政のチュートリアルを終了させるまでは転移用の魔法陣も使用できなくなりますのでまだ内政のチュートリアルを受けていない方はこの場から立ち去ってください。先程も言いましたが監視プログラムよりデータが送られていますで隠蔽することは不可能です」
どうやら今のプレイヤーは強制的に遠くに転送させられた上転移用の魔法陣が使用できなくなってしまったようだ。あれ程反抗的な態度を取った割には軽いペナルティのように思えるがどちらにせよ内政のチュートリアルを完了させるまでは城の中の受付には行くことができないらしい。今の文官NPCの話を聞いた列に並んでいるプレイヤーの中には同じく内政のチュートリアルを完了させていない者がいたのか慌ててその場から走り去って行った。100人程度はいたのか列の進行は更に早くなった。
「ラッキ〜、これで更に早く列に入れるぜ。それにしても結構いるんだな。不正しようとする奴。こんなの最近MMOじゃまずばれるって分かってるはずなのに」
「そうだよね。やっぱりこれだけ集まると何人かはモラルの悪いプレイヤーも入っちゃうんだね。昨日も僕が内政の仕事をした牧場で3人ほどレイコさんに怒られてたよ」
「私のとこにも4人ほどムカつくプレイヤーがいたわ。まっ、レイチェルが黙らしてくれたおかげでスッキリしたんだけど」
「あっ…、それより見なよ、ナギ。入り口が見えてきたけどどうやら中に入ってすぐに転移用の魔法陣が敷かれてるみたいだよ。どうやらまた別の場所に移されて次のチュートリアルを受けるみたいだよ」
「ほんとだ。それに一歩足を踏み入れただけでどんどんプレイヤー達が転移されていくよ。これなら列の足が止まることもないわけだ」
次のチュートリアルはここから場所を移して行われるようだが、列の先にある魔法陣に入れば自動的にその場所へと転送されるようだ。行き場所が固定されているので魔法陣による転移はスムーズに進行しているようだった。場所を選択する手間が省かれているためだろう。
「う〜ん…、一体どこに連れて行かれるんだろう…」
「……にゃっ!。ナギ、そんな事よりあそこを見てみるにゃ。あれってリアじゃないのかにゃ」
「えっ…。あっ、本当だっ!。お〜い、リア〜」
ナギ達が列の先の魔法陣に注目しているとデビにゃんが列の左側の方をリアが通り過ぎていくのを発見した。デビにゃんに言われてリアの姿をを確認したナギはすぐに声を掛けたのだったが…。
「………」
「あ、あれっ…」
「無視されちまったな」
ナギは大きな声でリアへと呼びかけたのだが何の反応も返って来ず、リアはそのまま城の脇にある小さな扉の方へと歩いて行ってしまった。恐らくナギ達に気付いていただろうが故意に無視したのだろう。
「あれは昨日のことまだ怒ってるわね…。もうっ、折角私とナギが上手く打ち解けたのにボンじぃが余計なこと言ったせいよ。リアって凄くレベル高いみたいだからパーティに誘えれば凄い戦力になったのにっ!」
「そ、そんなに怒らんでくれ、ナミちゃん。わしだってリアちゃんと仲良くなりたかったんじゃ…。ところで…、リアちゃんは一体どこへ向かって行ったんかのぅ」
「そういえば何しに城に来たのかしら。もしかしてリアってお城で働いてる偉い人なんじゃないの」
「多分昨日レイコが言ってた固有NPC兵士に志願しに来たのにゃ。固有NPC兵士は選りすぐりのNPCキャラにプレイヤーと同じ行動が取れる権利を与える制度だから、ナギ達プレイヤーからしてみれば頼もしい仲間が増えることになるにゃ」
「そっか。確かそれで私達ともパーティが組めるようになるのよね。是非リアには固有NPC兵士になってほしいわ」
「リアだったらきっと志願しただけで一発合格なのにゃ。固有NPC兵士にはリアのように自分から志願してくるキャラもいれば、優秀な力を持っているのに街の中に埋もれて一般NPCと同じ仕事をしていて自分からは志願してこないキャラもいるのにゃ。そういうNPCはプレイヤーが推挙することによって固有NPC兵士にできるんだけど、その為にはNPCキャラを固有NPC兵士に志願するように説得しないといけないのにゃ。もし街に埋もれた優秀なNPCキャラを推挙出来たら当然功績ポイントが貰えて、そのNPCキャラとすっごく仲良くなれるにゃ。そうするとその固有NPC兵士とパーティが組みやすくなったり、パーティを組んだ時の動きが良くなったりするにゃ。アイテムも定期的にくれるようになるからナギも頑張って優秀なNPCキャラを見つけてくるにゃ」
デビにゃんの言う通りリアは固有NPC兵士に志願しに来たようだ。固有NPC兵士にはプレイヤーと同じ行動の権利が与えられているので、ナギ達からすれば自国のプレイヤーが増えたことになり戦力が大きく増加することになる。リアのように自分から志願してくるものもいれば才能を隠して街に身を潜めている者もいるらしい。中には廃人プレイヤー級のAIを持つNPCも存在しているのでゲームを勝ち抜く上で重要な要素となってくるだろう。
「なるほどね。今はいくらマップが広いって言っても領土はこの4マスしかないもんね。プレイヤーが3万人もいたんじゃ流石に狭く感じると思ってたけど、各地に支城や施設なんかを作ってたらあっという間にプレイヤーなんて足りなくなっちゃいそうだもんね。その辺りは優秀なNPCを発掘することで補っていくわけか」
「そういうことにゃ。当然自国の内政を充実させて国民の基礎ステータスを上げていくことも重要にゃ。そうすれば一般の兵士の能力も上がって行くから兵を率いての戦いが有利になるにゃ。多分一つのパーティに10人程度ならもう兵を付けること可能だと思うにゃ。こっちから申請する場合は功績ポイントを使うことになると思うけどにゃ」
やはりこのゲームはプレイヤーだけでなく実際に兵士を率いて戦うことも必要になるようだ。マップの規模を考えるとやはり数十万規模の合戦が起きたりするのだろうか。
「ふむぅ…、なかなか奥が深そうじゃのう…。じゃが兵を率いることができるのなら戦闘が苦手なわしにとっては好都合じゃ。わしは後方でのんびりさせてもらおうかのぅ」
「何言ってんだよくそじじぃ。通常の兵士なんて現実世界でもこのゲームの世界でもバシバシ死んでいくんだぜ。碌にモンスターも攻撃出来ないじじぃがその光景に堪えれるとはとても思えねぇけどな」
「な、なんと…。それならばやはり外には出ずに城に篭って内政でもしておるか。じゃがたまにはレベルも上げたいからその時は狩りに連れて行ってくれ」
「何図々しいこと言ってんだよ…。おっ、それはそうともう魔法陣が見えてきたぜ。一体どこに飛ばされるんだろうな」
「本当だ。多分今回は説明が主体になると思うからよく聞いておかなくっちゃ」
「はぁ…、また長ったらしい説明が始まるのか。でも今日はこの後ナギが言ってたクエストが待ってるのよね。それまで我慢して退屈な説明を聞き流しますか」
こうしてナギ達は魔法陣へと入り次のチュートリアルへと移行していった。このチュートリアルはゲームの詳しい説明となるようだが、最初にプレイヤーが集まったようなロビールームのようなところに転移するのだろうか。果たしてナギ達はゲームのルールをしっかり理解できるのであろうか。
“ウィ〜〜〜ン…”
「うわぁ…、豪く薄暗いところに出てきたな。最初に来たロビールームに似てて一面何もない空間だけど、周りの色が全然違うな。まるで深い水の中みたい」
「本当にゃ…。一体ここで何が始まるんだにゃ」
魔法陣によって転移してきたナギとデビにゃんが出てきたのは最初のロビールームと同じような何もない空間だった。だがその時のようにプレイヤーは誰一人しておらず、周囲の空間の色はかなり濃い紺色のようで、視界はハッキリしていたのだが全体的に暗い雰囲気の漂う空間だった。
“ウィ〜〜〜ン…”
「わっ…、何よここ。随分暗い雰囲気のところねぇ……ってそこにいるのはナギじゃない。あんたもここに来てたの」
「そういうナミこそ。他にはプレイヤーはいないみたいだけどどうなってるのかな…」
ナギとデビにゃんに続きナミもこの空間に転移してきた。他にプレイヤーがいなかったことから一人ずつ別にチュートリアルを受けるものだとナギは思っていたようだが、ナギとナミに続きに先程城に一緒に来たメンバーも次々とこの空間に転移してくるのだった。
“ウィ〜〜〜ン…”
「あれ…、どこだろうここ。……ってナギにナミ、デビにゃんもいるみたいじゃないか。良かった一人じゃなくて」
「ふぃ〜…。おっ、なんだ結局皆同じところに出てくるんじゃねぇか」
「うむっ、皆でチュートリアルを受けた方が説明も理解しやすいだろう」
「おお〜、良かった。皆も一緒じゃったか。うむうむ、年寄りを独りにするものではないからのぅ」
「うぃ〜す。なんだ、やっぱり一緒だったみたいだな」
「ふぅ…。あれっ、なんか皆さんお揃いみたいですね。良かった」
結局先程の一緒にいたメンバーがそのままこの空間へと移動してきたようだ。昨日の討伐の時に組んだパーティがまだそのままになっていたのだろうか。
「あれ〜、結局皆揃っちゃったよ。もしかして昨日のパーティのままになってたからかな」
「それは違います」
「えっ…。な、なんだ…、今の声っ!」
ナギ達が集結し終わるとどこからともなく声が聞こえてきた。ゲーム中に何度か聞いた監視プログラムによるアナウンスの音声に似ていたが機械的ではなくどことなく人間らしい口調の声だった。そしてその声が聞こえると同時に急にナギ達の目の前に空間が明るくなり何か立体映像のようなものが浮かび上がったのだった。
「う、うわっ…。なんだ…、明るくなったと思ったら急にホログラムみたいなものが出て来たぞ。……それにしても気色悪い映像だな。三角形の中に目玉が一つ入ってるぜ。こんなのに見られてると背筋が寒くなってくるな」
「待ってっ!。このデザインは……ひょっとして…」
ナギ達の目の前に現れた立体映像は薄い三角形のような形をしていてその中に一つ目のイラストが描かれていた。イラストと言ってもナギ達の目と同じように動くようで何度か瞬きをしていた。カイルはそのデザインに心当たりがあるようだったが…。更にその三角形の周りにナギ達がデータを閲覧したりするのに使う端末パネルのようなものもいくつか映し出されていた。
「やっぱりそうだ。これ、プロヴィデンスの目のデザインとそっくりだよ。多分キリスト教でよく使われているデザインをそのまま使ったものだと思うけど…」
プロヴィデンスの目とはキリスト教で神の全能の目を意味する意匠のことである。意匠とはデザインのことで、どうやらこの立体映像はプロヴィデンスの目を元にして作られたもののようだ。
「へぇ〜、じゃあこの映像は神様の目を表してるってわけか。さっきの声の主はひょっとしてこれか」
「はい。レイナルド・チェルシー様」
「…っ!。わわわわわっ…、ま、また喋った…。一体なんなんだこいつは…」
「申し遅れました。私はこのゲームの管理、運営を任されているプログラム、“all roll injunction administratar”通称ARIA(アリア)と申します」
「ア、アリアぁぁぁぁっ!」
なんとこの立体映像はこのゲームの管理プログラムを映像として表したもののようで名前をアリアと言うそうだ。名前の頭文字を繋げてARIAとしているようだが、“all roll injunction administratar”とは全ての役割、命令を管理、運営する者とう意味のようだ。目の前の立体映像がいきなり自己紹介を始めたことにナギ達は驚いていたようだ。
「はい。ここからのチュートリアルは私自ら実行させていただきます。…っと言っても後はゲームのルールを説明するだけですけどね。因みにこの空間に転移してきたメンバーは私が昨日と今日の行動を見て任意に選ばせていただきました」
「私達が一緒に行動してたのを知って同じ空間に呼んだってわけか。なかなか気が利くじゃねぇか」
「でもアリアさんがここにいるってことは他のプレイヤーの方々はどうなっているんでしょうか。もしかして皆別々の空間でアリアさんから説明を受けているということなんでしょうか」
「その通りです、アイナ様。空間別に転移してくるプレイヤーは列の近くの方から私が任意に選ばせていただきました。大体の方は複数で説明を受けた方が内容を理解する効率が上がりますので。他の空間の方々には私の分身がチュートリアルをさせていただいています」
どうやら他のプレイヤー達もナギ達と同じような空間でアリアのチュートリアルを受けているようだった。少人数で別れさせたのは説明を理解しやすくするためのようだ。一人で受けるよりも仲の良いメンバー数人で説明を聞く方が効率的ということだろうか。
「んん…、このゲームにこんな監視プログラムが用意されていたなんて僕も知らなかったにゃ。ところで僕も転移してきたってことは一緒にチュートリアル受けてもいいのかにゃ」
「はい。特に受ける必要はありませんが一緒にいても問題ないので気楽にしていてください。説明を聞くのが面倒くさい場合は言ってくださればいつでも街へと転移して差し上げます」
「別にいいにゃ。折角だから僕も説明聞いて行くにゃ。その方がナギ達もチュートリアルを理解しやすいだろうしにゃ」
「うん。僕説明を覚えたり理解したりするの苦手だからデビにゃんがいてくれると助かるよ」
「私もっ!。正直ここまでもデビにゃんのアドバイスに大分助けられたもんね。こういう説明は頭の良い人と一緒に聞いた方がいいに決まってるわ。カイルにアイナも頼んだわよ」
「ははっ…、なるべく頑張ってみるよ」
「私もゲームのプレイは下手だけどルールぐらいはちゃんと把握して見せます」
アリアがパーティを数人に分けたのはこのためだったようだ。理解力の高いプレイヤーが一緒にいれば理解力の低いプレイヤーにも自然と説明の内容が伝わっていく。それに複数でいれば一人が理解できないないようでも他の者が理解できれば内容を補足することもできる。質問も多種多様になりより詳しくゲームについての知識が得られるということだ。
「ちょっとナミや。カイルとアイナの名前が出て何故最年長者であるわしの名前が出んのじゃ。年寄りの知識をあまり馬鹿にしてはいかんぞ」
「知識があっても新しいことを覚えるのは年寄りは苦手でしょ。もういいから説明を始めてもいいわよ、アリア。私は実際にやってみて覚えるタイプだから分からなそうにしててもどんどん説明を続けてもらっていいわ」
「分かりました。では説明を始めます。まずは…」
こうしてアリアによる最後のゲームの説明のチュートリアルが始まった。恐らくゲームの勝利条件などが開示されるのだろう。ナギ達は少し緊張した面持ちでアリアのチュートリアルを受け始めた。
「ではまずこのゲームの勝利条件について説明させていただきます。説明の内容は端末パネルも順次に表示されていきますのでどうぞご覧になりながら聞いてください」
アリアのチュートリアルはまずゲームの勝利条件についてから始まった。説明の内容は端末パネルにも表示されるようで簡単な勝利条件の説明がすでに端末パネルに表示されていた。更にその下には敗北条件も表示されていた。
finding of a nation における勝利条件
1.敵国の首都を全て奪取する。もしくは全て敵国の王、または女王を一度死亡させる。
finding of a nation における敗北条件
1.敵国に首都が奪取される。自国の王、または女王が一度死亡する。
「なんか豪くあっさりしてるわね。まぁ勝敗条件なんてこんなもんか。でも自国のトップが一度でも死亡したら敗北って当然っていえば当然だけど結構シビアじゃない。敵国のプレイヤーに倒されるだけじゃなくてモンスターに倒されたりしても駄目なんでしょ。もしこのヴァルハラ国の高台の崖から落ちて死亡でもしちゃったらどうなるのかしら」
「どのような状況であれ自国のトップを務めるプレイヤーが死亡してしまった場合ヴァルハラ国のプレイヤーは全て敗退と見做され二度とこのプレイサーバーにログインできなくなります。プレイヤーを失った都市は全てNPCが統治することとなりまずが、交戦はせず初めに占拠した国の傘下となります。因みに敵国の拠点を占拠する方法はその拠点内の本拠となっている場所を一定時間占拠し更に周囲のある程度の範囲の敵国プレイヤーの数が一定以下になると占拠が完了し自国の拠点となります」
「なるほど…。相手のトップを務めるプレイヤーを倒す方が楽そうだけど、この条件だとそう簡単に相手の王や女王も前線には出てこないだろうから結局一つ一つ拠点を制圧していくことになりそうね」
「でももう一つの条件の首都の奪取っていうのも注意を払わないといけないよ。もし敵国の首都に攻め入って落とすことができたとしてもその隙に自分の国の首都を落とされたら敗北になっちゃうもんね。それだとその第三者の国がめちゃくちゃ得しちゃうよ」
このゲームの勝敗条件はかなりシンプルなものでナギ達はすぐに把握できたようだ。やはり他の戦略シミュレーションと同じく自国の首都を守りつつどう敵の首都を落としていくかが重要になってくるだろう。その為には着実に領土を広げ戦況を有利に進めていくことが重要になってくるだろう。
「だがちょっと待て。これだと敵国を全部ぶっ倒すまでゲームは終わらないってことだよな。他の国がいくつあるか分からねぇけど一体どれだけの時間が掛かるんだ」
「このゲームの参加国は自国を含めて12か国です、ヴィンス様。プレイ時間の予測ですが大体現実世界で1年程。このゲームの世界では30年と出ております。また他の国に参加しているプレイヤーの人数は全て同じであります」
「じゃあこのゲームには全部で40万人近くの人が参加していることになるかぁ…。流石電子現実世界っていうだけあってもの凄いサーバーの容量だなぁ」
このゲームにはヴァルハラ国の他に11か国、合計12か国が参加しているらしい。プレイヤーの人数も全て同じで、全部で389568人が参加しているようだ。
「では次にプレイヤーのステータスについて説明いたします。端末パネルにそれぞれのプレイヤーの方のステータス画面が表示されていると思うのでご覧になってください」
勝敗条件についての説明が終了しアリアはステータスの説明へと移行した。するとナギ達の端末パネルには自身のステータス画面が表示され皆今まで隠されていた項目が増えているのに気付き驚いていた。
「すっご〜い、なんだか討伐の時に確認した時より画面がめちゃくちゃパワーアップしてるわ。えーっと…、今の私のステータスはっと…どれどれ…」
新しいステータス画面を見たナミは早速自分の今のステータスを確認してみた。
「わぁっ、私は火属性だって。プレイヤーにも属性が設定されてるのね。あとタイプはまぁ分かるとして魂質って何だろ。陽って書いてあるけど陽気ってことなのかな。だとしたらなんとなくあってるとは思うんだけど…」
ステータス画面を見たナミは他のゲームでは見たことのない魂質の項目を見て戸惑っていた。他の欄の項目はMMOの経験者なら大体把握できるものだった。
「魂質とはプレイヤーの方々の現実世界での行動パターンを算出して割り当てられたものです。プレイヤーの個性を引き立たせるためのもので、魂質によってそれぞれ違う特性が設定されています。陽ならば相手に与えるダメージが常に5%上昇します」
「つまりはプレイヤーの性格によって変わるってわけか。まぁ、確かに元気がいい性格とかってよく言われるし、陽ってので文句はないかな。ダメージが常に5%上昇ってのも美味しいし」
「魂質は全部で9種類ありその中の6つの中からそれぞれのプレイヤーに割り当てられています。残りの3つは特殊な条件を満たさなければ得ることはできません」
「へぇ〜、私はナミと同じで陽だぜ。まっ、攻撃的なプレイが売りの私としてもこの特性は美味しいかな」
「わしはどうやら外というもののようじゃ。奔放的な性格のせいでこれになったようじゃが…、なんだか特性は使いにくそうじゃのぅ…」
皆このゲームの特有の設定である魂質に意識が言ってしまいアリアの説明の順番に狂いが生じてしまったようだ。皆の注目が収まりそうにないのでアリアは先に魂質についての説明をして端末パネルにそれぞれの魂質の特性のデータを送った。皆の魂質はナギが地、ナミが陽、セイナが天、カイルが内、レイチェルが陽、ヴィンスが陰、アイナが内、ボンじぃが外、そしてデビにゃんは陽に設定されていた。
※魂質の特性については finding of a nation 第10部分の属性設定の下の方を見てください。
「皆上手い具合に別れたな…。仕方のないことだが陰って言われると少し落ち込むな。現実では明るく振る舞っているつもりだったがゲームの監視プログラムは見逃さなかったか…」
「まぁゲームなんだしあんまり気にするなよ、ヴィンス。でも隠密度が上昇ってことはヴィンスには伏兵になってもらって奇襲攻撃を掛けてもらわないとな。そんで敵が混乱したところに私が突っ込むと…」
「皆様、魂質についての説明はこれぐらいにして、まずは職業とレベルについての説明に移ってもいいでしょうか」
「あっ、ごめんごめん。私が余計なこと言っちゃったせいね。気にしなくていいからアリアの説明のしやすいようにして」
「はい。ではまず総合戦闘レベルと戦闘職について説明させていただきます」
皆にある程度魂質の説明をしたとアリアは本来の順序に戻りまずはプレイヤーのレベルと職業についての説明を始めた。
「このゲームには戦闘、内政、副業の3つの職業が設定されています。その中の戦闘職のレベルがプレイヤーのメインとなり、ステータスなどもこのレベルによって決まります。一般的なMMOではプレイヤーのレベルと職業のレベルやランクなどは別々に設定されているのですが、このゲームでは今までに経験した職業のレベルの合計がプレイヤーの総合的なレベルとなります。これを総合戦闘レベルと言います」
このゲームのプレイヤーのメインとなるレベルは総合戦闘レベルといいこれによってプレイヤーのステータスが決まる。総合戦闘レベルはプレイヤーのこれまでに経験した職業の合計レベルによって決まる。リアの時も説明したが例えば戦士のレベル52、魔術師のレベル32、治癒術師のレベルが26ならばプレイヤーの総合戦闘レベルは110となるわけだ。
「へぇ〜、確かリアの時にもそんなようなこと言ってたわね。つまりこのゲームでレベルを高くしようと思ったらできるだけ色んな職業を経験した方がいいってわけか…」
「僕達はまだ一つしか職業を経験してないから今就いてる戦闘職のレベルがそのまま総合レベルになるわけだね。僕だったら魔術師のレベルが21だから総合戦闘レベルも21になってるよ。そういえば転職ってどうやってできるんだろう…。功績ポイントを使うって言ってたような気もするけど…」
「転職についてはまず一つ目の職業のレベルが100を越えてから可能になります。その後はどのレベル帯でも本城の受付に来ていただければ自由に転職できるようになりますが、カイル様の仰った通り功績ポイントを使用していただくことになります。必要な功績ポイントは職業のランクとその職業との系列の距離によって変わります。剣士から戦士に転職する場合は少ないポイントで済みますが、魔術師に転職する場合は倍以上ものポイントを消費することになります」
転職は自国の本城にて行えるようで、今の職業と転職先の職業の系列の違いによって消費する功績ポイントが違うようだ。近接戦闘系の職である剣士から、同じく近接戦闘系の職である戦士や槍術師などには少ない消費で済むが、間接戦闘系の弓兵、魔法戦闘系の魔術師など戦闘のスタイルが大きく変わっていくほど功績ポイントの消費も大きくなるということだろう。
「なるほど…、ってことは転職は計画的に行っていった方が功績ポイントの消費は少なくて済みそうね。就きたい職業をある程度決めておいて、系列の近いものから順に転職していった方が良さそうね」
「はい。後一度転職してまた元の職業に戻る場合も消費は抑えられていますが功績ポイントが必要になるのでお気を付けください。転職後の職のレベルの高さによって決まりますのでできるならば就いた職のレベルを十分に上げてから転職を図る方がいいでしょう。一つの職業の最大レベルは全て256に設定されています」
「なるべく最大までレベルを上げてから転職した方が良いってことだね。でもリアは全体的に中途半端なレベルだったような気がするけどNPCだからかな」
「それもありますがやはり上級職の方がステータスの上昇率が良いためでしょう。当然補正値も高くなりますから戦闘も有利になります。先程はああいいましたが恐らく皆様最大レベルに達する前に上級職に転職することになるでしょう」
「……それだけ序盤から強力な敵が出てくるってわけだね。いつ他国のプレイヤーと戦闘になるか分からないしなるベく上級職に就いてステータスを上げて強力な特技や魔法も使えるようにしておいた方がいいってわけだね」
「流石ナギ。察しがいいにゃ。僕も低いステータスを補うためになるべく早く上級職に転職するにゃ」
一度他の職に転職した場合もう一度元の職業に戻る際にも功績ポイントが必要となる。レベルの高さによってポイントの消費は抑えられるようで、なるべく高レベルなってから転職した方が効率がいいわけだが、どうやらそんなことを考えている余裕はこのゲームにはないらしい。ナギ達は討伐の時こそ楽勝だったが中には全滅したパーティも存在したため偶然強力なモンスターに出会わなかっただけかもしれない。ナミが出会ったドラゴンの例もある。それに他国との戦略的な戦いもあるので、転職できるならばなるべく早く上級職になって領土の拡張を急いだ方がいいだろう。
「では戦闘職の説明はこのくらいにして次は内政職と副業職の説明に入ります」
続いてアリアは内政職と副業職の説明に入った。内政職と副業職は格スキルごとにレベルが設定されており総合レベルというのはないようだ。内政職はいつでも自由に他の仕事をこなすことができスキルレベルも上昇する。副業職は自分が今就いている職のスキルレベルしか上昇させることができず他の職の仕事をするには転職が必要になる。この転職に必要な功績ポイントは全て一律に設定されており、戦闘職と違い転職するたびに副業職の数が増えていくことになる。つまり鍛冶屋から錬金術師に転職した場合鍛冶屋と錬金術師のスキルを上昇させていくことができるというわけだ。また錬金術など一部内政職と内容の被るものもあるがスキルは別々に設定されており内政の時と副業の時とでは調合できる錬金アイテムや成功率は違う。更にその後属性、タイプ、そして魂質についてもう一度詳しい説明がなされた。
※属性、タイプのついても finding of a nation 第10部分の属性設定の下の方を見てください。
「へぇ〜、魂質だけじゃなくてタイプや属性にも色々あるみたいだな…。タイプは皆一緒みたいだけど属性はどうなってるんだ。私は雷だってよ」
属性、タイプも魂質と同じく9種類が用意されている。所有タイプや適正率は皆同じに設定されているようだが属性は魂質同じく皆バラバラだった。ナギは土、ナミは火、セイナは風、カイルは水、レイチェルは雷、ヴィンスは氷、アイナは風、ボンじぃは土に設定されていた。そしてデビにゃんはなんとモンスターであるためかプレイヤーではありえない闇属性に設定されていた。
「次にステータスについて説明します。まず基礎ステータスの項目をご覧ください」
「基礎ステータス…。キャラクターの筋力を表すSTRやDEXのことだね。このゲームも他のMMOで見たことあるものばかりだけど。RESとCONっていうのは少し珍しいかな」
このゲームに設定されている基礎ステータスは9つ。力の強さ、筋力を表すSTR、器用さ、技量を表すDEX、肉体の強さ、体力を表すVIT、知性を表すINT、素早さ、敏捷性を表すAGI、心の強さ、精神力を表すMND、魔力を表すMAG、回復力、治癒力を表すRES、集中力を表すCONだ。
「続いて総合ステータスについて説明します。総合ステータスは基礎ステータスに装備している武器や防具、習得したアビリティーなどを掛け合わせたものになります」
総合ステータスとは実際に戦闘に適応される数値のことである。ステータス画面にはHP、MP、物理攻撃力など7つの数値が表示されていた。
「HP、MP、EPは対応する基礎ステータスは固定されており、あまり装備やアビリティーによって変化することはありません。残りの物理攻撃力と防御力、魔法攻撃力と防御力については装備する武器や防具によって適応する基礎ステータスが違います」
HP、MP、EPは基本的に基礎ステータスの値によって決まっており、それら影響する装備やアビリティーは少ないらしい。HPVITの値を100%にした数値と、STRの値を50%にした数値を合計した値になる。ナミの場合はVITの100%の数値である182と、STRの50%の81を合計した263が最大HPとなる。HPに影響する装備やアビリティーは所持していないので今のところこれ以上変化することはない。MPはINT、MND、MAGのそれぞれの50%の数値を合計した数値、EPはDEX、AGI、CONのそれぞれの50%の数値を合計した数値になる。RESはHP、MP、EPの自然回復力に影響する。ほとんどの場合基礎ステータスには影響しない。物理攻撃力と防御力、魔法攻撃力と防御力は装備している武器や防具の性能に基礎ステータスを掛け合わせたものとなるで装備している武器や防具に魔法攻撃力が付与されていないナミの魔法攻撃力はMAGの値が38あるが0となっている。実はナミは武器を装備していないが素手の状態でも30ポイントの物理攻撃力が設定されているようで、STRの基礎ステータスと掛け合わせることでナミ自身の物理攻撃力は57ポイントとなっている。この他にも敵を倒した際にアイテムを入手できる可能性に影響するアイテムドロップ率や、状態異常の耐性など他のステータス画面の説明がなされ、いよいよ最後の行動ポイントについての説明が始まった。




