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finding of a nation online  作者: はちわれ猫
第十五章 リベンジっ!、川底の遺跡の探索
135/144

finding of a nation 132話

 “ダダダダダダッ……”


 「ねぇ、ところでそのこの遺跡のボスってどんなモンスターなの、パンナさん。確実に僕達を全滅させられる程強いってことはやっぱり見た目とかも凄く凶悪そうなのかな……」


 いよいよナミ達が最深部でこのダンジョンのボスと思われるモンスターを倒す為行動を起こそうとしていた頃、パンナからそのボスモンスターの脅威的な強さであると聞かされていたナギ達は他の者達が犠牲になる前に自分達も辿り着こうと道を急いでいた。その道中でナギはパンナにそのボスモンスターの姿や特徴について問い質していたのだが……。


 「ええ……ナギさん。このダンジョンのボスモンスターの名は“シャドー・シャークドラゴン”。その名の通りドラゴンの姿をしたサメの凶悪なモンスターです」

 「ドラゴンの姿をしたサメのモンスター……シャドー・シャークドラゴンだとっ!。ドラゴンとサメが合わさったモンスターとは確かに凶悪そう思えるが……。それでもここに来るまでに相当なレベルアップを果たした俺達が確実に全滅させられるとは俺にはまだ信じられん……」

 「私も皆さんのお力を信用していないわけではありません、アクスマンさん。ですがシャドー・シャークドラゴンはそれ程までに邪悪で強大な力を持っているのです。それに打ち勝つにはラディの封印を解くこと以外方法はありません」

 「ああ、我々もそれについては異論はない、パンナ。だがそのラディというネイションズ・モンスターもそのシャドー・シャークドラゴンのいる最深部に封印されているのだろう。ならばそれまでに我々と戦闘となる機会もあるはずだ。もう少し詳しくそのモンスターの戦力について教えてくれ」

 「分かりました」


 ラディアケトゥスを仲間にする前に戦闘になることを考えセイナは更にシャドー・シャークドラゴンの具体的な戦闘力や能力等についてパンナに問い質した。他の者達もなるべくその情報を頭に入れておくべきだと考え少し進軍のペースを落としてパンナの話に耳を傾けるのだったが……。


 「シャドー・シャークドラゴンは背中に生えた巨大な翼を羽ばたかせまるで空を飛び交うように水の中を全長20メートルを越えるその巨大な体で縦横無尽に動き回ります。これまでに現れた通常のサメのモンスターより動きの軌道が読みづらく、また翼により推進力を得たことでスピードも比べ物になりません。一瞬でも気を抜いて動きを止めようものなら瞬く間にこちらに接近しその巨大な口と強靭なあごの力によって体をバラバラに噛み千切られてしまうでしょう」

 「それ程巨大な体でこれまでのサメより速い速度と俊敏な動きで襲ってくるというのか……。地上では体が大きい程動きが鈍くなる印象があるが水中の生物には当てはまらないようだな」

 「はい。しかしそれ以上に脅威なのは僅かな水の振動でこちらの位置や動きを読み取ることのできる感知能力です。どれだけ慎重にゆっくりとした動作で行動しようとも相手の感知範囲に入ってしまえば例え視覚に入っておらずとも瞬時にこちらの位置がバレ襲い掛かってくるでしょう」

 「み、水の振動でこっちの動きと位置が……。それじゃあ敵の裏をかいて攻撃するどころか身を隠すこともできないじゃないかっ!」

 「ですから戦闘になった際は常にこちらの位置と動きを敵に知られていると思って行動しなければなりません。幸いシャドー・シャークドラゴンのいる最深部の空間の底の砂浜には複雑な構造となった祭殿さいでんが埋もれており、そこに身を隠せば例えこちらの位置が分かっていようとも巨大な体を持つ敵は侵入できないはずです」

 「なる程……。だけどそれでもその敵の感知能力の高さは危険だね。最深部に着いた途端にそんな凄い勢いで20メートを超す巨大なサメに襲い掛かられたら一たまりもないよ。もしそのことを知らずに最深部に到着したパーティ達がいたとしたら今頃危ない目に合ってるんじゃ……」

 「ああ……だから我々も急いで最深部へと向かおう。他のパーティの者達がそのシャドー・シャークドラゴンにやられてしまう前に合流し皆で協力してラディアケトゥスの封印を解くのだっ!」

 「了解っ!」


 パンナからシャドー・シャークドラゴンの脅威を聞いた今一度気を引き締めてナギ達は仲間の援護に向かうべく再び進軍する速度を上げて最深部へと続く通路を進んで行った。しかしパンナの話が本当なら今頃ナミ達はかなり危険な目に合っているはずだが果たしてナギ達は間に合うのだろうか……。





 「よし……それじゃあ行くぞ……」

 「気を付けろよ、塵童。どれだけ距離が離れていてもあれだけ巨大な敵ならあっという間にこっちまで移動して俺達に襲い掛かって来るかもしれない。だから絶対に気付かれないよう慎重に下へ降りていけよ」

 「けっ、心配し過ぎだぜ、マーリス。これだけ距離がありゃそもそも敵に気付かれる心配なんてねぇんだから気にせず普通に下に降りりゃあいいんだよ」


 “バッ……”


 「さぁ、お前等もそんなことで一々ビビってないでさっさと来いよ。大体敵に気付かれることになろうがそこでジッとしたままじゃあ何も始まらないだろうが」

 「あ、ああ……」


 一方作戦会議の終えたナミ、カイル、リアのパーティ達はいよいよこのダンジョンのボスであるシャドー・シャークドラゴンに挑むべく敵のいる空間へと踏み込んで行こうとしていた。まずはそれぞれのパーティの皆で敵に気付かれないよう遺跡の祭殿の跡地が埋もれている砂浜の地上へ下りる手筈となっていたのだが、明らかに強敵と思われる相手を前に皆無意識に体が竦んでしまっていたのか中々その一歩が踏み出せずにいた。そんな中リア達のパーティの一人である塵童が先陣を切って通路を飛び出していき、皆にも自身に続くよう促していた。アプカルルの魔法で川と海の適正値の上昇しているナミ達も敵と同じく水中をまるで人魚にでもなったように自由自在に動き回ることができる。先に踏み出して行った塵童も地上へと沈んでいくこともなく通路を出た先でふわりと水中で浮かびながら皆が来るのを待っていたのだが……。


 “ゴゴォッ……”


 「……っ?」


 “グオォォッ……!”


 「……っ!、ヤバいぞ、塵童っ!」

 「……っ!、何っ!」


 “グオォォォォッ!”

 “ゴゴゴゴゴゴォッ!”

 

 「危ねぇ、塵童っ!」

 

 “バッ!”


 「……っ!、マーリスっ!」


 “グオォォォォッ……グシャァァァッ!”


 「ぐっ……ぐあぁぁぁぁーーーっ!」

 「マ……マーリスゥゥーーっ!」


 先程まで空間の中央で微動だにしていなかったシャドー・シャークドラゴンだったが、塵童が通路から踏み出した瞬間突如としてこちらを振り向いたと思うと凄まじい勢いで塵童に向かって襲い掛かって来た。リア達の方に気がいっていたこともあってか塵童はそのシャドー・シャークドラゴンの襲い来るスピードにまるで反応できずにいたのだったが、同じパーティのマーリスが咄嗟に通路を飛び出し先に出ていた塵童を突き飛ばし自身が身代わりになるように襲い来るシャドー・シャークドラゴンの前へと立ち塞がった。おかげで塵童は助かったのだったが身代わりとなったマーリスはあっという間にシャドー・シャークドラゴンに噛み付かれてしまった。その大きく口と強靭な顎の力でマーリスをガッチリと咥え込んだシャドー・シャークドラゴンはそのまま大きく旋回してUターンしていったのだが、塵童達の目の前には噛み付かれた傷口から噴き出したマーリスの血が大量に漂っていた。


 「マーリスっ!、ちくしょうがぁぁぁーーーっ!」

 「待ちなさいっ!、追っては駄目よ、塵童っ!」

 「……っ!、なんだとっ!」

 「今のあいつの凄まじさを見たでしょうっ!、下手に追ったところであなたまで餌食になるのが落ちよっ!。気持ちは分かるけどここは地上に身を隠すのが優先よっ!。マーリスのことはあいつの様子を観察しながら考えるしかないわっ!」

 「くっ……」


 自身の身代わりとなったマーリスを助けるべくすぐさまシャドー・シャークドラゴンの後を追おうとした塵童であったが、意外にもリアの制止の指示に大人しく従い皆と共に地上の砂浜へと降り立って行った。恐らくマーリスを襲った時のシャドー・シャークドラゴンの凄まじさを見て一筋縄でいく相手ではないとリアと同じく塵童も直感で感じ取っていたのだろうが、それ以上に浅はかな判断で行動して自身や他のメンバー達を危険に晒しマーリスの行動とその思いを不意にするわけにはいかないと思っただろう。そしてその様子を見ていたナミやカイル達他のパーティのメンバー達も……。


 「マーリスっ!。くっ……あいつ……さっきまでに微動だにしなかったくせにどうして急に動き出しちゃったのっ!。このままじゃあマーリスがあいつに食い殺されちゃうわ。早く助けにいかないとっ!」

 「待ってっ!、ナミちゃんっ!。マーリス君には悪いけどここから助けに向かってももう間に合わないよ。それより早く地上に身を隠さないと私達まであいつの餌食になっちゃうっ!」

 「それじゃあマーリスがあいつに食い殺されるのを黙って見てろっていうの、レミィっ!」

 「冷静になって、ナミちゃんっ!。サメに食べられてる姿が生々しく見えて感情が抑えられないかもしれないけど別に本当にマーリス君が死んじゃうわけじゃないんだからね。今は自分達の態勢を整えてマーリス君を蘇生するタイミングを探すのが優先だよ」

 「……っ!、た、確かにその通りよね。ここはゲームの世界なんだから助けるっていうならならレミィの言う通り安全な状況でマーリスを蘇生してあげないと……。でも例えそうであったとしてもあんな姿のマーリスを見捨てるなんて心が痛むわ……」


 ナミも塵童と同じようにマーリスを助けようとしたのだがリーダーのレミィになだめられ地上の砂浜へと身を下ろし祭殿の跡地へと身を隠した。カイル達のパーティでもレイチェルが単身シャドー・シャークドラゴンへと立ち向かおうとしていたのだがそちらも皆が力尽くで抑え込みながらなんとか説得することができたようだ。そして地上に身を隠したナミ達は端末パネルを通して皆で連絡を取りながらその後のシャドー・シャークドラゴンの様子を窺っていたのだが……。


 “グオォォォォッ……”


 「ぐっ……ぐはぁっ!」


 “バッ……”


 「くっ……マーリス……」


 シャドー・シャークドラゴンの強靭の顎の力と硬く鋭い歯に体をズタズタに食い千切られHPが0となったマーリスはそのまま適当な場所へとポイ捨てにされてしまった。まるで獲物を食い尽くした後の獣のようにシャドー・シャークドラゴンの興味はマーリスから完全に離れてしまったようだが、地上に隠れてその様子を窺っていたナミ達はしっかりとマーリスの捨てられた場所を確認していた。しかしその辺りには身を隠す為の瓦礫もなく見通しのよい場所となってしまっており敵に気付かれずに蘇生に向かうのはかなり難しそうであった。幸い予想通りその巨大過ぎる体が仇となりシャドー・シャークドラゴンには地上に身を隠したナミ達へ攻撃する手段がなく多少は対策を立てる時間はありそうであったのだが……。


 “グオォォォォッ……”


 「ふぅ……どうやら姿を隠した私達を探しているようだけど無理に攻撃してくるつもりはないみたいね……。それにしても予想以上に凶悪な相手みたいだわ……あいつ」

 「そうだね……ナミちゃん。さっきのマーリス君へと襲い掛かった時の様子を見る限りとても正面からの戦いじゃあ勝ち目はないよ。とにかくマーリス君の救出と後リアちゃんやカイル君が言ってたように何か有効な対抗手段がないか辺りを探索することを考えないと……」

 「そうね……。あそこにこの遺跡の跡地の内部へと入れそうな入り口もあるし私達はあそこの探索に向かった方がいいかしら。マーリスがあいつに捨てられた場所はカイル達の方が近いみたいだし……」

 「リアやカイル君達の了承が得られたらそうしようか。探索するといってもこっちにもある程度戦力は残しておかないといけないし他の皆のところにも探索できそうな場所がないか聞いて……」


 “グオォォ〜〜ンッ!”


 「……っ!、な、何……っ!」


 “ヴィーン……ババババババッ!”


 「……っ!、こ、これは……サメの大群じゃないっ!」


 ナミ達が今度の対策を練っていると突如としてシャドー・シャークドラゴンの咆哮が空間中に響き渡り、それと同時にこれまでダンジョンを進んでくる為に遭遇したサメのモンスター、それもホオジロザメを筆頭にオオメジロザメやシュモクザメ、イタチザメやアオザメ等人食いザメとして有名な者達が次々と出現した。恐らくシャドー・シャークドラゴンのリスポーン・ホストの能力により出現したモンスター達だろうが、一体ずつの体長は大体3〜5メートル程でナミ達が身を隠している遺跡の跡地、それから今ナミが話ていたその内部の入り口にも十分に侵入して来れる程のものであった。その鮫達に身を潜めているナミ達を襲わせ開けた場所へと炙り出したところで先程のマーリスを食い殺したように餌食にしていくつもりなのだろう。予想はしていたことだがこれでナミ達はゆったりとマーリスの蘇生や辺りの探索をしている余裕がなくなってしまった。


 「あ、あいつに襲われないようにしながらこんなに大量のサメ共も相手にしなきゃならないなんて……さっき言った予定は変更よ、レミィっ!。私はこの場に残ってこいつ等の相手をするわ。なるべくあの入り口の中には通さないよう頑張るから中の探索は他の人達に行って貰ってっ!」

 「了解っ!、それなら私とナミちゃん、それからエドワナさんと聖ちゃんはこの場に残ってこいつ等の相手をしてっ!。ハンマンさん、ロザヴィちゃん、オーケスさん、ターシャさんはさっきナミちゃんが言ってた入り口の内部の探索をお願いっ!」

 「分かった、それじゃあ俺が先導するから皆付いて来てくれっ!。後方の警戒はロザヴィ、お前に頼む」

 「了解っ!、ハンマンさんっ!」


 大量に出現したサメのモンスター達の相手をする為にナミは先程の発言を撤回してこの場に残ると言い出した。恐らく戦闘に自信のある自分が残ってモンスター達の足止めをした方が残りの者達の探索がスムーズに進むと判断したのだろう。そのナミの考えにリーダーであるレミィも同調し自身とパーティ内で戦闘力の高い聖君少女とエドワナをナミと共にこの場に残し、残りの者達に先程の入り口の内部の探索に向かうよう指示を出した。リアやカイル達も自身のパーティメンバー達に同じような指示を出したようだが、果たしてこれだけのリスポーン・ホストのモンスター達を相手にマーリスの蘇生や周囲の探索等している余裕があるのだろうか。


 「うぉりゃぁぁぁーーっ!、インサニティ・ザンバーだぜっ!」


 “ズバァーーーーンッ!”

 “グオォォォォッ……”


 「はんっ!、あのボスならともかくこんな下っ端のサメ共に食われてたまるかってんだっ!。大体私みたいな毎日酒とタバコ三昧の女なんて食べたら腹壊すなんてもんじゃねぇぞ、お前等。言っとくが体の気を遣ってないのはこのゲームの世界でも一緒……」

 「危ないっ!、レイチェルっ!」

 「えっ……」


 “グオォォォォッ!”


 出現したリスポーン・ホストのモンスター達は早速ナミ達へと攻撃を仕掛けて来た。今もレイチェルのところに全長4メートル程のシュモクザメのモンスターが襲い掛かっていたのだが、流石に単体でそこまで強力というわけでもなくレイチェルのインサニティ・ザンバーにより返り討ちにされてしまった。一撃で敵を粉砕し息巻くレイチェルであったが、当然リスポーン・ホストのモンスターは一体ではなく背後から別の今度はイタチザメのモンスターが大口を開けて襲い掛かって来た。ブラマの掛け声に咄嗟に反応して振り向いたはいいのだが既に敵はすぐ目の前まで迫って来ておりこのままレイチェルまでサメの餌食になってしまうかと思われたのだが……。


 「ライトニング……はあっ!」

 

 “バリバリバリィッ!”

 “グッ……グオォォッ……”


 「……っ!、助かったぜ、ブラマっ!。てりゃぁぁーーーっ!」


 “ズバァーーーーンッ!”

 “グオォォォォッ……”


 レイチェルの反応が間に合いそうになかったのを見てブラマは咄嗟にライトニングの魔法をイタチザメのモンスターに向けて撃ち放った。一撃では倒せなかったものの弱点である雷属性の魔法を受けたイタチザメのモンスターはかなりのダメージと共に雷撃の衝撃により動きが止まってしまい、その隙に後少しでその大きな口の餌食にできそうであったレイチェルに真っ二つに叩き斬られてしまった。他の者達もしっかりと連携を取って戦えばリスポーン・ホストのモンスター達に苦戦することはなさそうだ。問題はそれらの相手をしながらボスであるシャドー・シャークドラゴンの標的にならないようどう立ち回りながら戦っていくかだが……。


 「てりゃぁぁぁーーーっ!」


 “グオォォォォッ……”


 「ふぅ……どうにかハンマンさん達は内部の探索に向かえたみたいね。ハンマンさん達が何かあいつの攻略法を探し出すまで私達はどうにかこいつ等の足止めをしないと……」

 「危ないっ!、ナミちゃんっ!」

 「……っ!」


 “グオォォォォッ!”


 「……っ!、きゃあぁぁぁーーっ!」


 レイチェル達と同様にナミ達もリスポーン・ホストの能力によって出現したサメのモンスター達と戦っていた。どうにか敵を撃退してハンマン達を遺跡の跡地の内部の探索へと向かわせることができたようだが、そんな時ホッと一息ついていたナミが敵に隙を突かれて背後からイタチザメのモンスターの奇襲を受けてしまった。レミィの呼び掛けに咄嗟に反応して後ろを振り向いたのだが反応が間に合わず、ナミは左の二の腕の辺りを噛み付かれそのまま瓦礫のない更地の方へと連れ去られて行ってしまった。このままではナミはシャドー・シャークドラゴンの強烈な攻撃の標的のなってしまうが……。


 “グオォォォォッ!”


 「ぐっ……こぉんのぉ……っ!」


 “……っ!”


 「とぉりゃぁぁぁーーーっ!」


 “グッ……グオォォォォッ……”


 イタチザメのモンスターに噛み付かれ連れ去られてしまいそうになったナミであったが、両足を地面に踏ん張って気合で相手の動きを止めたと思うとそのまま相手を自身から引き剥がし近くにあった遺跡の瓦礫目掛けて思いっ切りぶん投げてしまった。瓦礫にぶつけられた衝撃でイタチザメのモンスターはそのまま力尽きてしまい、どうにかナミは窮地を脱することができたかに思えたのだが……。


 「はぁ……はぁ……。くっ……なんとか引き離せたけど今ので結構なダメージを受けちゃったみたいね……。おまけに出欠状態になっちゃったみたいだしこのままじゃその継続ダメージの効果で更にHPが削られていってしまうわ……。早く皆のところに戻って治療して貰わないと……」

 「ナミちゃぁぁーーんっ!、上、上っ!」

 「えっ……!」


 “グオォォォォッ!”


 「……っ!」

 「ナ……ナミちゃぁーーんっ!」



 なんとかイタチザメのモンスターを引き剥がせたナミであったが、その直後またもやレミィの言葉に反応して上を見上げると今度はあのシャドー・シャークドラゴンが長く巨大な尾をしならせナミに向けて振るって来ていた。どうやら既に敵の攻撃の手の届く見晴らしのいい更地まで連れて来られてしまっていたようだ。シャドー・シャークドラゴンの尾はそのまま砂浜の地面を分断しその両側に勢いよく砂を飛び散らせていた。その砂のせいでレミィ達は攻撃を受けたナミの様子を確認することができず心配の叫び声を上げていたのだが……。


 「はぁ……はぁ……。い、今のは危なかったわ……」

 「よ、良かった……ナミちゃん」


 シャドー・シャークドラゴンの尾の攻撃を受けて辺りに散った砂と共に両断されてしまったかと思われたナミであったが、レミィ達が砂が舞い落ちた後の周囲を見渡すと近くにあった遺跡の残骸へと身を寄せているナミの姿を確認することができた。どうやら咄嗟に反応して尾の攻撃を躱しすぐさまその場へと逃げ込んだようだ。ナミへの攻撃が空振りに終わったのを知るとシャドー・シャークドラゴンはゆっくりと反転し再び元いた中央の場所へと舞い戻っていた。


 「……っ!。なんか知らないけどまた真ん中の方に戻って行っちゃったわ……。確実に仕留められると思った時にしか攻撃してこないつもりなのかしら……。正直それは有難いんだけどこのまま大量のサメの相手をさせられちゃ……」

 

 “グオォォォォッ!”


 「ぐっ……ナギぃぃーーーっ!、皆ぁーーーっ!。調子に乗って一番乗りとか行ってここに乗り込んじゃったことは謝るから早く助けに来てぇーーーっ!」


 続けての窮地をなんとか脱することができたナミであったが、先程のイタチザメのモンスターの攻撃を受けて出血の止まらない左腕を見ると急にあまりナミらしくない弱気な気持ちが溢れてきてしまったのか思わずナギや他の者達に助けを求める叫び声を上げてしまっていた。無限に出現し続けるリスポーン・ホストのサメのモンスター、そしてこれから先のシャドー・シャークドラゴンとの戦闘のことを考えると確かに絶望的な状況ではあるかもしれないが……。そんなナミ達の窮地を救えるのはラディアケトゥスの封印を解き仲間にする術を持っているナギ達だけであるが果たしてナミ達が力尽きてしまう前にこの場に辿り着くことができるのだろうか。


 

 


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