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finding of a nation online  作者: はちわれ猫
第十三章 恐怖の館の支配者を倒せっ! VS拷問紳士っ!
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finding of a nation 113話

 “ううぅ……ぐっ……あああぁぁぁ……っ!”


 「お願いっ!、どうにかこれで元の姿に戻って、リリスっ!」


 “ぐうっ……ぐがああああぁぁぁぁぁっ!”


 鷹狩によって霊神化した体にディナイアル・ミストを振り掛けられたリリスはその効果が浸透していく最中で、まるで自身の体から抜け出ていく何かを押し止めようとするように互いの両手で反対側の二の腕を強く抑えながら、苦しんだ様子で弱弱しい呻き声を上げていた。すでにナミもリリスを取り押さえていた両手を放し、少し距離を取ってそんなリリスの様子を見守っていたのだが、リリスはついに自身の中の何かを押し止めきれなかったようでまるでそれらを全て一気に放出するように最後の天に向かって最後の咆哮を轟かせた。それと同時に先程まで纏わりついていた淡い青色のオーラがまるでリリスの咆哮と共に天へと登って行くようにしてリリスの頭上から抜け出して行った。そしてそのオーラが全て抜けきったと思われた時、憑物が落ちたように以前の……、いつものおどけた表情でのほほんと他愛のない冗談を言うリリスが姿を現すのだった。最もリリスの場合冗談ではなく全て本気で言っているのだが……。


 “………”


 「リ、リリス……」

 「う、う〜ん……っ!、あら……私ったら一体これまで何を……。目が覚めたらまだ辺りも薄暗いというのにこんな見ず知らずの場所に一人ポツンっと……。またいつもの夢遊病が再発してしまったのかしら……」

 「リリスぅっ!、元に戻ったのぉっ!」

 「あらっ、一人だと思ったらこんなすぐ近くにナミさんがいらっしゃったわ。もしかしてナミさんも夢遊病のせいでこんな場所に。毎回知らない場所に連れて行かれて困りますわよね〜」

 「い、いや……別にそういうわけじゃ……ってもうっ!。全くあんたって元に戻ったら戻ったで余計ややこしいわねっ!」

 「あら〜違いましたの〜。では夜明け前の散歩というやつですね〜。ですがまだお外はこんなにお暗いというのにいくらなんでも早過ぎますわ〜。早くお家に帰って私と一緒に二度寝しましょ〜」

 「ぐっ……まぁいいわ。無事あんたを元に戻すことができたわけだし取り敢えず良しとしましょ」


 ディナイアル・ミストのおかげで元の状態へと戻ったリリスではあるが、どうやら霊神化している間と更にはそれ以前の記憶まで一時的に飛んでしまっているようだ。明らかにゲームのシステムを逸脱した霊神化による影響なのか、それとも素でリリスが自らの行いを忘れてしまっているだけなのかは分からないが、何はともあれリリスを無事元の姿に戻すことに成功しナミはホッと一息ついた様子で肩の力を抜いていた。だがゲイルドリヴルをサニールの元に置いて来た鷹狩はそうわけにはいかず……。


 「だが私はそうも言っていられないっ!。ゲイルを一人サニールのところにおいて来ているのだからなっ!」

 「……っ!、そうだったわっ!。確かそのサニールさんの魂を救うのにリリスの協力が必要だったのよね」

 「あら、こんなところに鷹狩さんまでいらっしゃいましたわ。最近は夢遊病の患者さんも随分と増えましたのね〜。それにしても今サニールさんがどうとかお話していましたが……はて?。どこかで聞いたお名前のような気が致しましたわ」

 「ベンが我々に敵の手からその魂を救出して欲しいと頼んできたこの館の当主だった者の名前だっ!。今ゲイルが一人でその敵の配下となってしまったサニールの相手をしている。彼の魂をこのダンジョンのボスである拷問紳士の魔の手から解放するにどうしてもお前の力が必要なんだっ!」

 「ベンさん……そのお名前もどこか聞き覚えが……はっ!。思い出したわっ!。私確かゲイルドリヴルさん達と北の森の館のダンジョンの攻略に臨んで……その途中でチャッティルさんとワンダラさんという魔族の方と戦っていてそれで私達を助けに来てくれた事務室のグラッジ・シャドウさんが……」

 「……っ!、事務室のグラッジ・シャドウがどうした……っ!」

 「……いえ、私達を援護しに来て下さっただけで別にどうも致しませんわ。それでサニールさんの魂を救出する為に私の力を貸してほしいというお話でしたが……」

 「ああっ!。詳しい話はベンがしてくれるだろうからとにかく私についてゲイルのところまで来てくれっ!」

 「分かりましたわっ!」

 「よしっ!。ではこの場の後はお前とナギに任せるぞ、ナミっ!」

 「OKよっ!。いいからあんたは早くゲイルドリヴルさんのところに向かってあげてっ!」


 鷹狩との会話でリリスはこれまでの経緯……、チャッティルによって目の前で事務室のグラッジ・シャドウが倒されたことも思い出したようだが再び霊神化して暴走するような様子はなく、 沸き立つ悲しみの気持ちをグッと抑え鷹狩の言葉に耳を傾けていた。そして自身を庇ってその命を散らした事務室のグラッジ・シャドウの思いに応えるようと、自ら協力を願いオルタウラースのローストビーフを手に入れる為手を貸して貰ったサニールの魂を救出すべく鷹狩と共にゲイルドリヴルの元へと向かって行くのであった。

 一方先程のリリスのアストラル・ダイブを受け地面へと叩き付けられた拷問紳士、そしてリリスの霊神化が解けたことスピリット・ルーラーの支配の影響から外れた悪霊達はというと……。


 「……っ!、こ、ここは一体……」

 「あ、あれ……私ったらどうしてこんな場所で戦ってたのかしら。確かトーチャーの奴に殺されてそれから成仏できずに地縛霊になってずっと館を彷徨ってたはずなのに……」

 「パラっ!、どうやらあなたも自分の本当の魂の意識を取り戻すことができてるみたいねっ!」

 「ブラマっ!、それに他の皆もっ!」

 「ふっ……どうやら拷問様があの女の霊神化を解くことに成功したようでこいつらに掛かっていたスピリット・ルーラーの効果もなくなったみたいね、お姉様」

 「ええ……だけどどいうわけか悪霊ではなくなり拷問様の支配からも外れてしまったようだわ」

 「ブ、ブラマ……あいつらは……」

 「どうやら私達を拷問した挙句に殺害したトーチャーの部下のようよ。あそこにトーチャー自身の姿もあるし……それにどこかの国のプレイヤー達と思われる人達も大勢いるみたいだわっ!」

 「……っ!。それじゃあその人達がトーチャーの支配から私達の魂を……」

 「ええっ!、それにそれだけじゃなくてこのダンジョンの最深部まで来てトーチャーの奴を倒す一歩手前まできているみたいよ。どこの国のプレイヤーか知らないけど本当に凄い実力を持った人達だわっ!」

 「よーしっ!、それじゃあ私達も協力して一緒にトーチャーの奴をぶっ倒しちゃいましょうっ!。まずは目の前にいるこいつら二人を叩きのめしてねっ!」

 「やはり我々に歯向かうつもりですか……。大人しく元の悪霊に戻っていれば面倒なことにならずに済んだものを……」

 「はんっ!、誰を叩きのめすですってっ!。さっきまでスピリット・ルーラーの影響で強化されていたからここまで死なずに済んだ者達が偉そうな口をきいてっ!。元のお人好しの雑用係に戻ったあなた達などこちらの方こそあっという間に蹴散らしてあげるわっ!」

 「雑用じゃなくてメイドよっ!、それにブラマは凄腕の傭兵っ!。ちょっと戦闘向きの格好をしてないからって見くびってると痛い目に合うわよっ!」


 スクウェラとサディと戦っていた悪霊達だったが、一度リリスのスピリット・ルーラーの支配下に置かれた影響かその怨念から解放されて生前の記憶を思い出し、この館でサニールの従者として働いていた時の意識のものへと戻っていた。当然拷問紳士に従う様子もなく、トーチャー達と戦っているナギ達を見方と判断し先程までと続けてスクウェラ達と戦ってくれるつもりようだ。しかしスピリット・ルーラーによるパワーアップの影響も失っているようで、ブラマのような傭兵であった者達はともかく、パラのような非戦闘員であった者では流石にプラズマショックのエリート信者である二人の相手をするのは少々厳しいと思われるのだが……。


 「う、うぅ……どうやらリリスさんは無事元の姿に戻ることができたようですね。良かった……これで彼女の生命そのものへの影響も最小限で済ますことができたでしょう」

 「ご、拷問紳士さん……っ!。やっぱりあなたもリリスさんの身を気遣って僕達に協力を……」

 「……っ!。おおぉーっ!、これは私としたことが失言でしたぁーっ!。私がナギ君達に協力したのはあくまで霊神化したリリスさんという厄介な戦力を削ぐ為でリリスさんの身を気遣ってのことなどでは決してありませーんっ!。その証拠にリリスさんが元の状態に戻った今もう共闘の件は白紙に戻り一人この場に取り残されているナギ君から……」

 「うっ……うわぁっ!」 

 「……っ!、あいつっ!。リリスが元の状態に戻った途端もうナギに攻撃を仕掛けるつもりっ!。くっ!、私達を利用するだけしておいてなんて汚い奴なのっ!。急いでナギのところに戻らな……」

 「トーチャァァァーーーッ!。よくも私だけでなくサニール様やハイレイン様までぇぇーーーっ!。貴様だけは絶対に許さんぞぉぉぉーーーっ!」

 「……っ!、あ、あれはさっき私に攻撃して来た悪霊っ!。あいつ等を従えてたリリスの魔法の効果は切れたはずだけど……、もしかしてもうあいつの部下というわけでもなくなっちゃってるのぉっ!」


 リリスのアストラル・ダイブを食らって地面に倒れていた拷問紳士だったが、ダメージから復帰したと思うと拷問の時に使用した手斧を再び出現させ目の前にいるナギに向かって振りかざした。どうやらリリスが元に戻ったのを確認するや否やすぐさまナギ達の協定を白紙に戻し攻撃を仕掛けてくるつもりのようだ。元々敵同士である為当然といえば当然のことなのだが、卑劣な行為に憤りを感じたナミはその怒りを露わにしていた。しかしそれに対して文句を垂れているわけにもいかず急いでナギの援護へと向かおうとしたのだが、そんな時背後から突如として先程ナミの背中に火属性の魔法を放った悪霊が……すでに怨念からは解放されて通常の霊へと戻っているようだが、それでも生前に受けた数々の非道な行為への怒りは消えておらず凄まじい勢いでナミの横を通り過ぎ拷問紳士へと攻撃を仕掛けるべく向かって行った。その迫力に押し負けてたかナミは思わず援護に向かおうとした自身の足を止めてしまったのが、その館の住民の霊が代わりとなってナギの窮地を救ってくれそうであった。因みに住民の霊が叫んでいたハイレインとはサニールの妻ので、住民達にとってはこの館の奥方と呼べる存在だった者のことである。


 「トーチャァァァーーーーっ!」

 「……っ!。あ、あれは正しく生前サニールの魔法の講師をしていたエドワナ……。しかしリリスさんの霊神化が解けたというのに何故私に敵を向けているのですかっ!」

 「はあぁぁぁぁぁっ……、フレイム・ブラスターァァァァーーーっ!」

 「……っ!」


 “バアァァァーーンッ!”


 今拷問紳士へと攻撃を仕掛けようとしている霊はエドワナといい、生前はサニールと他の館の住民達の魔法の講師をしていたようだ。講師と言っても年齢ではサニールより大分若かったようだが、それでも魔法に関してはかなりの熟練者のようで今も拷問紳士に向けて“フレイム・ブラスター”という火属性の強力な魔法を撃ち放っていた。この魔法は魔力を一つに凝縮したファイヤーボールの何倍もの威力のある火球を敵に向けて放つものだが、エドワナは拷問紳士のいる5メートル手前の辺りまで来ると一気にここまで来る最中に溜めた魔力を一気に解放し、両手でボールを掴んでいるようにフレイム・ブラスターの火球を作り出した。そして拷問紳士へと突進する勢いのまま両手を前面へと突き出し拷問紳士目掛けてフレイム・ブラスターの火球を投げ放ったのだが……。


 「……っ!、くっ……躱されてしまったか……」


 かなり勢いで拷問紳士へと向かって行ったフレイム・ブラスターの火球だったが、火球が届く直前で上空へと高く垂直に飛んだ拷問紳士に惜しくもエドワナのフレイム・ブラスターは躱されてしまった。躱された火球はそのままの勢いでフロアの端の壁にぶつかり、その破壊力の高さを物語るように凄まじい爆風と爆音を巻き起こしていた、


 「おおぉ……流石はエドワナ……。相変わらず凄い破壊力のある魔法でーす。しかし折角ナギ君達に協力までリリスさんの霊神化を解いたというのにあなたや他の住民の霊達も敵になったままとは全くの想定外でーすっ!。霊神化したリリスさんの相手をせずともよくなったとはいえ……これでは全然こちらの状況が良くなったとは言えまーんっ!」

 「ふんっ!、これまでの経緯はよく分からんがそれは良い様だな、トーチャー。ならば私がこのまま一気にお前を片付けてサニール様やハイレイン様……そしてこの館の全ての住民の無念をここで晴らしてやるっ!。……はあぁぁぁぁっ!」

 「ま、待って……っ!」

 「……っ!、お前は……」

 

 フレイム・ブラスターの魔法を躱されながらもエドワナは拷問紳士への怒りを更に露わにし再び攻撃を仕掛けようと自身の体に魔力を蓄え始めた。しかしエドワナが次なる魔法を放とうとした時、それを遮るようにナギが目の前に立ちはだかった。エドワナは慌てて魔力を鎮め、困惑した様子でナギへと視線を向けた。


 「お前はこのダンジョンと化した館を攻略しに来たプレイヤーの一人か……。どこの国の者達か知らないがトーチャーの手から我々の魂を救い出してくれてお前達には大変な感謝をしている。だが何故そのお前がトーチャーを庇うような真似をする。お前達に取ってもトーチャーの奴は倒すべき敵ではないのかっ!」

 「べ、別に庇ってるわけじゃないよ。ただ君にはこいつを倒すよりも鷹狩さん達と一緒にサニールさんの魂を救出することの方に協力して欲しいんだ」

 「……っ!、サニール様のっ!」

 「そうだよ。ほら、今あそこでゲイルドリヴルさんと戦ってる……」

 「なに……」


 “カァンッ!、……キイィーーーンッ!”


 「あ、あれは正しくサニール様っ!。私としたことがトーチャーへの怒りに囚われて自身の主の存在にも気付かないとは……。しかしお前の仲間と思われるプレイヤーと戦っているということはやはりサニール様もかつての我々と同じように……」

 「うん、拷問紳士によって魂を支配されて僕達の敵になっちゃってるんだ。他の住民の霊達は皆あそこで他の敵と戦ってるし……、せめて君だけでもサニールさんを説得しに行ってあげて。可能性は低いかもしれないけどこの館でずっと一緒に暮らしてた君達の言葉ならきっとあいつに支配されたサニールさんの魂にも届くと思うんだ」

 「しかし……だからといってトーチャーの奴を放っておくわけには……」

 「ナギの言う通りよっ!」

 「……っ!」

 「ナミっ!」

 「あいつのことは私達に任せてあなたは早くゲイルドリヴルさん達のところに言ってあげてっ!。こっちの援護に来るのはサニールを元に戻してからで構わないからっ!。そしてこっちのメンバーが全員揃ったところであの変態拷問野郎を皆でボッコボコにしてやりましょうっ!」

 「お前達……分かった。一先ずトーチャーのことはお前達に任せるっ!。必ずサニール様達と一緒にここに戻ってくるからなんとかそれまで持ち堪えておいてくれっ!」


 ナギとナミの言葉を受けてエドワナは鷹狩とリリスの後を追ってサニールと戦っているゲイルドリヴルの元へと向かった。悪霊であった頃の記憶ないエドワナにとってナギ達とはこの場で初対面であるのと同義ではあるが、ナギやリリス達のおかげで拷問紳士の支配から抜け出すことができたこと、そしてナギとナミの本気で自分やサニールのことを思い遣る真剣な態度を見てこの場にいるプレイヤー達は信ずるに値する者達と判断しその言葉に従ったようだ。


 「ふっ……私達に任せておいてですか。折角エドワナという強力な助っ人が現れたというのに自ら援護を断ってしまうとは……、先程私に手も足も出ず翻弄されていたのをもうお忘れですか、ナミさん」

 「くっ……うるさいわねっ!。援護を断ったわけじゃなくて先にサニールの魂を助けてくれるよう頼んだだけよっ!。サニールと今のエドワナ、それにゲイルドリヴルさんやリア達が援護に来ればこっちの勝ちは決まったようなものだからねっ!」

 「ふっ……さて。確かにサニールの魂を解放することができればあなた達にとって強力な味方となるでしょうが……、だからと言ってそう簡単にこの私を倒すことができますかね。死人から霊になってからとはいえ私のリスポーン・ホストのモンスターと取り込むことができたということは私とサニールとの実力にはそれ程の差があるということなのですよ」

 「な、なんですって……。(なんなの……こいつのこの余裕ぶった態度は……。サニールやゲイルドリヴルさん達まで一度に相手にすることになっても全然構わないってわけっ!。それだけの実力をこいつはまだ隠し持ってるっていうのぉっ!)」

 「ですが態々このままサニール達が援軍に来るのを待ってあげる必要もありませんね。まだサニールの魂を解放できると決まったわけではありませんが……、やはり当初の予定通りナギ君とナミさんだけでも先に始末してしまいますか。……はあっ!」

 「……っ!、来るわよ、ナギっ!」

 「分かってるっ!」


 一方その場に残ったナギとナミはサニール達が援護に来る前に自分達に止めを刺そうと迫り来る拷問紳士と再び戦闘を開始した。

ナミは拷問紳士の意味深な発言が気掛かりとなっているようだったが、今はそのようなことに頭を悩ませている場合ではなく、先程とは違いナギに振り被った手斧をそのまま武器として使用してくる拷問紳士を相手により一層相手の動きに注意を払って戦わねばならなかった。ナギの魔法による援護もあまり有効的とは言えず、強気な態度でエドワナを送り出したはいいが果たしてナギ達は無事皆が援護に来るまで拷問紳士の攻撃を耐え凌ぐことができるのだろうか。


 “カァンッ!、……キイィーーーンッ!”


 「くっ……鷹狩達はまだか……」

 「………」

 「……っ!、なんだ……っ!」

 

 無事リリスの霊神化を解き鷹狩達が向かっている頃、ゲイルドリヴルはブリュンヒルデから贈られたレビンズ・スピアを懸命に振るい未だにサニールの速く鋭い斬撃を耐え抜きその到着を待っていた。サニールの魂を救わなければならない以上、先程の攻撃で大きくHPを減らしているはずのサニールに対して反撃することは許されず、防戦に回るしかなかったゲイルドリヴルは予想以上に厳しい戦いを強いられていたようだ。更に激しさを増すサニールの攻撃に押し切られそうになったゲイルドリヴルは思わず鷹狩達の到着を急かす言葉を口ずさんでしまっていたが、そんな時突如としてサニールはゲイルドリヴルへの攻撃の手を止め、ゲイルドリヴルから5メートル程のもの距離をあけて後退してしまった。何事かと思いながらもゲイルドリヴルはサニールの凄まじい斬撃の猛襲から解放され思わず安堵し気を緩めてしまうのだが、サニールは何の考えもなしにそのような行動を取ったわけがなく、その後放たれてくるサニールの新たな攻撃にゲイルドリヴルは更に追い詰められてしまうのであった。


 「………」


 “バリッ……バリバリッ……バッ!”

 “ジザザザザザザッ!”


 「……っ!」


 ゲイルドリヴルと距離を取ったサニールは一瞬の内に自身の体に雷属性の魔力を蓄え、自身の剣を上に向かって真っ直ぐに突き立てたと思うと、まるで避雷針のように上空からその剣身にいかづちを呼び寄せた。そしてそのまま剣を振り下ろしたと思うと同時にその雷をまるで落雷した状態のまま地面を突き進むようにゲイルドリヴルへと撃ち放った。そこからサニールは剣を振り上げながら、更にはもう一度剣を振り下ろして2回続けての斬撃を放ち、全部で3つの雷の柱がジリジリと地面の床を焼け焦がしながらゲイルドリヴルへと襲い掛かった。この魔法の名称は“クロール・ライトニング”、雷の進んだ後の焼け跡がまるで蛇等が這い進んだ後のように見えることからその名が付けられたようだ。一本の雷の大きさと強さはそれ程でもなく、威力自体は低そうではあったのだが……。気の緩んだ隙に魔法というこれまでにないパターンでの攻撃にゲイルドリヴルは戸惑ってしまい一瞬反応が遅れてしまっていた。


 「くっ……これは剣技でなく魔法による攻撃かっ!。だが先程までの斬撃に比べてこの程度の魔法ならば……」


 “バッ!”


 「………」

 「……っ!」


 “カアァァーーンッ!”


 クロール・ライトニングの雷の進む速度はそれ程でもなく、反応が遅れたと言っても先程までサニールの素早く鋭い、そして重くもあった斬撃を全て受け切っていたゲイルドリヴルには造作もなく3本の雷全てを躱すことができた。しかしその攻撃を躱した直後すぐさま飛び掛って来たサニールの斬撃が再びゲイルドリヴルに襲い掛かった。最初のニ撃はなんとか槍の先端ので弾くことができたのだが、不意を突かれたことでそれ以上の反応は遅れてしまい、ゲイルドリヴルは三撃目を受ける前に咄嗟に槍を横向きに持ち替え柄の部分で防ごうと構えた。しかし完全に受けに回ったそのゲイルドリヴルの姿勢を見たサニールはこれ見よがしとばかりに剣を振り下ろす手に力を込め、相手に攻撃をいなされる懸念もなく思い切りの力でゲイルドリヴルに向けて剣を振り下ろした。その斬撃自体は槍の柄で防ぐことができつつも、凄まじい威力と衝撃によってゲイルドリヴルは体をよろめかせながら背後へと弾き飛ばされてしまった。ゲイルドリヴルはすぐさま体勢を整えてサニールの追撃を防ごうとしたのだったが……。


 「ちぃっ!」

 「ゲイルっ!、後ろだっ!」

 「……っ!」


 “バリバリバリィッ!”


 「ぐっ……ぐああぁぁぁぁーーーっ!」


 正面のサニールにばかり気を取られていたゲイルドリヴルは再び背後から迫りくるクロール・ライトニングの雷に気付かずその直撃を受けてしまった。どうやらクロール・ライトニングの雷はまだ消滅していなかった上に対象への追尾効果まで備わっていたらしい。急いでリリスを連れてこの場に戻って来ようとしていた鷹狩が慌ててゲイルドリヴルに向けて叫んでいたが間に合わなかったようだ。完全に無防備な状態で攻撃を受けたゲイルドリヴルはその場で体を仰け反らせて苦しみの悲鳴を上げていたが、そこへ容赦なく止めを刺さんと言わんばかりに追撃してくるサニールが差し迫っていたのだが……。


 「ゲッ、ゲイルゥゥーーッ!」

 「ぐっ……ぐうぅ……」

 「………」


 “バッ!”


 「……っ!」

 「……っ!、あれはっ!」

 「もうお止め下さいっ!、サニール様っ!。あなたはトーチャーに洗脳されてこの者達に剣を振るっているだけですっ!。どうかトーチャーの支配から自身の魂を取り戻して下さいっ!」

 「……っ!、うっ……」


 攻撃の衝撃で身動きを取れずにいるゲイルドリヴルに対し止めを刺そうと迫る拷問紳士であったが、突然その前に先程ナギ達からこの場へ向かうよう言われたエドワナが姿を現しゲイルドリヴルを庇う為立ちはだかった。エドワナは鷹狩達より遅れてこの場へと向かっていたはずだが、どうやら霊神化したリリスと同じようにテレポートを用い鷹狩達を追い越して一気にここへ転移してきたようだ。エドワナの霊体のランクはそれ程高くない為リリスのように広範囲を転移、また連続して多用するようなこともできないようだが……。そして生前自身の講師としてエドワナに魔法の指南を受けていたサニールはその姿を目の前にした瞬間突如としてゲイルドリヴルへと振るおうとしていた剣を止め、戸惑うようにエドワナから後ずさりして距離を取っていった。その時先程鷹狩から“オルタウラースのローストビーフ”を差し出された時と同じように、小さな苦しみの呻き声だけではあるがまた言葉を発していた。そのまま目の前のエドワナへと攻撃を仕掛けなかったところを見ると、もしやエドワナの姿を見たことで生前魔法の指南をして貰い、他の館の住民達とも親しくしていた記憶が呼び起こされたのだろうか。


 「大丈夫かっ!、ゲイルっ!」

 「ぐっ……ああ。それよりリリスは連れてくることはできたのか、鷹狩……」

 「ああっ!、この通り無事元の状態にも戻っているぞ。それでこの後リリスにどうして貰えば……」

 「……ベン」

 「“は、はい……っ!。確かリリスさんは霊術士だけでなく霊媒師としての職も経ていたはず……。それならば肉体どころか霊体すら持たないこの私の魂を自身に憑依させることが可能なはずですっ!”」

 「なる程……、ではリリスの体を借りることでお前が直接サニールを説得しようというのだな、ベン」

 「“その通りです、鷹狩さんっ!。生前この館の厨房を任されて毎日のようにサニール様達の食事の用意をしていた私が差し出せばサニール様も生前の記憶を思い出しきっと先程のローストビーフも口にしてくれるはずですっ!。ですので大変申し訳ないのですがリリスさんに暫しの間その体をこの私に貸して頂きたいのですが……”」

 「勿論OKですわ、ベンさん。どうぞこの私の体を好きにお使いになって下さい。それでは早速ベンさんの魂を私を身体に呼び出しますね。……え〜いっ!、スピリット・ポゼッショ〜ンっ♪」


 “パアァァ〜〜ンッ!”


 「………」

 「ど、どうなったんだ……」

 「……っ!、こ、これは……動くっ!、私の思い通りにリリスの体が動かせますっ!。どうやら憑依が上手くいったみたいですっ!」

 「よしっ!、ならば早速鷹狩と共にサニールを説得してくれ、ベンっ!。但しもし万が一これでもサニールの魂を救出することができなければ今度こそ我々はサニールをこの場でサニールを倒しナギ達の援護に向かわねばならない。その時はすぐさま戦闘に移れるようリリスに体を返してやってくれ」

 「分かりました。……では鷹狩さん」

 「ああ……頼んだぞ、ベン」


 スピリット・ポゼッションの魔法によりベンの魂は無事リリスの身体に憑依することができたようだ。ゲイルドリヴルからも促されベンはすぐさま鷹狩と共にサニールのところへと向かったのだが、そのサニールはというとエドワナを目の前に更にも激しさを増して苦しみの呻き声を上げ続けていた。恐らく呼び起こされていく記憶に段々と自身の本当の魂の意識を取り戻し始め、必死に拷問紳士の支配に抗おうとしているのだろうが、やはり完全に我へと返る為にはまだ決定打となるものが足りないようであった。ベンの説得と鷹狩のローストビーフがその決定打となることができれば良いのだが……。


 「うっ……ううぅ……うがががががああぁぁぁーーーーーっ!」

 「が、頑張って下さい、サニール様っ!。どうかそのままトーチャーの支配を打ち破って……」

 「私にも少しサニール様とお話をさせてください、エドワナさん」

 「……っ!、い、今の声は……」

 「………」

 「お、お前はさっきのあいつ等の仲間のプレイヤー……。しかし今の声は確かにベ……そうかっ!。その霊媒師のプレイヤーの力で身体にお前の魂を憑依させているのだな、ベン」

 「そうです、エドワナさんっ!。とにかく私にもサニール様と話を……。鷹狩さんの力も借りて必ずサニール様の魂を救い出してみせますっ!」

 「分かった……では任せるぞ、ベン」

 

 エドワナに変わって今度はリリスの身体に憑依したベンと鷹狩がサニールの説得に臨むことになった。相変わらずサニールは苦しみで身動きが取れない様子で説得には絶好のチャンスではあったが、ゲイルドリヴルの言う通りこの状況でサニールにローストビーフを食べさせることができなければもうサニールの魂の救出は不可能だろう。ゲイルドリヴル達に他に残された手段もなく、またこれ以上模索している暇もそれを講じている時間もない。ベンのそのことは十分に理解しており緊張した面持ちでサニールへと最初の言葉を掛けていった。


 「うがぁ……ううぅ……ああぁ……」

 「お久しぶりです、サニール様……。今はこのようなヴァルハラ国の霊術士プレイヤーのリリスさんという女性の姿をしておりますが、私生前はこの館の厨房で料理長を務めさせて頂いていたベン・サーモンでございます。サニール様には広く様々な調理器具の揃った厨房と優秀な料理人達を与えて頂き大変充実した日々を過ごすことができました。サニール様方やそれに他の館の住民達……、皆に私等の作った料理を毎日お褒めの言葉と共に美味しく食して頂いたことは一人の料理人として最高の誉であります。もうこの世に未練などございませんが……、あの世へと成仏する前に一つだけサニール様にお願いがございます。サニール様は生前私の作った料理の中で亡くなる前にもう一度だけ食べたいと仰っていたものがありました。実は偶然にもその料理の為の食材が手に入り、私ではないのですが私の友人であるグラッジ・ファントムにそれを調理して頂きました。最も通常の食材ではなくゴースト・ミートという霊体の物質を調理したものなのですが、今の私達にはお似合い……またより一層口に合うものとなっていると思います」

 「うっ……ううぅ……ベン……エドワナ……」

 「……っ!、ついに我々の名を口にし始めたぞっ!。今こそサニール様の魂を拷問紳士の支配から絶好のチャンスだっ!」

 「はい。それでは鷹狩さん、私に先程グラッジ・ファントムに調理した貰ったローストビーフを……」

 「ああ……きちんと盛り付けたものは先程サニールにね退けられてしまったのだが……、この一切れだけのものでも構わないか」

 「大丈夫ですっ!。それでもちゃんとフレンドミートとしての魔力は備わっているはずですのでサニール様に口に取って頂ければきっと……では」


 そう言うとベンは鷹狩から一切れのローストビーフを受け取り、サニールの前へと差し出した。しかしサニールはベンとエドワナの名を口にしながらもまだ苦しみから解放されない様子でベンの差し出したローストビーフに目を向ける余裕はないようだったが……。果たして鷹狩の時と同じようにサニールが自ら手に取るのを待った方が良いのだろうか……。


 「さっ……サニール様。こちらがオルタウラースのゴーストミートを調理して作った至高のローストビーフでございます。一切れしかございませんがどうぞゆっくりとその味を堪能しながらお食べになって下さい」

 「うっ……うがぁっ……」

 「サ、サニール様……大丈夫ですかっ!」

 「うっ……うがぁっ……うああああぁぁぁっ!」

 「ど、どうかお気を確かに……サニール様っ!。このローストビーフを食して頂ければきっとその苦しみからも解放されるはずですっ!」

 「うっ……うがああぁぁぁっ!」

 「もうっ!、じれったいっ!。一々そんな下手に出てないで無理矢理食べさせればいいじゃないのっ!。……貸してっ!」

 

 “バッ!”


 「エ、エドワナさん……っ!」


 いつまで経ってもローストビーフに目もくれる様子もないサニールを見兼ねてか、エドワナはいきなりベンがサニールの前に差し出しているローストビーフを掠め取り、自らサニール顔に手を掛け無理矢理その口を開こうとした。どうやら力尽くでローストビーフを食べさせるつもりのようだ。


 「うがががががああぁぁぁーーーっ!」

 「エ……、エドワナさんっ!。無茶はやめてくださいっ!」

 「何言ってんのっ!。この状況でグズグズと向こうから食べるのを待ってるあなた達の方がどうかしてるわよっ!。こういう時は勢いが大事なのよっ!、分かったぁっ!」

 「は、はいぃぃーーっ!」

 「あ、相手は自身の主だった者だというのに凄まじい女性だな……」

 「さあっ!、あんたもさっさと食べてしまいなさいっ!。但し喉には詰まらせないようしっかり噛んでから飲み込むのよっ!」

 「ふがぁっ!、ふがががががああぁぁぁーーーっ!」


 エドワナは無理矢理こじ開けたサニールの口にベンから奪い取ったローストビーフを捻じ込み、そのまま両手でサニールの口を塞ぎ吐き出せないようにした。サニールは必死にもがいてエドワナを振り払おうとしたのだが、記憶が戻ろうとする苦しみで思うように力が出せず逆にエドワナに更に抑え込まれてしまい今度は息ができない苦しみで呻き声を上げ始めた。そしてサニールはとうとう観念したのか慌てて口の中のローストビーフを噛み千切ると喉の奥へと飲み込んだ。自らの意志ではないにせよ一応鷹狩のフレンドミートを食したことになるのだが、果たして無事効果は適用され鷹狩の仲間モンスターとなっているのだろうか……。


 「ふっ、ふがぁ……っ!。“モグッ……モグモグッ!。……ゴックンッ!”」

 「おっ!、ちゃんと飲み込むことができたようですね。よく頑張りましたわ、サニール様っ!」

 「ど、どうだ……果たしてちゃんと私の仲間モンスターとなることができているのか……」

 「ふっ、ふがぁ……。……っ!、私この度あなたの仲間モンスターとなったファントム・バロンことサニールでございますっ!。先程頂いた超美味なローストビーフの恩に応える為このサニールこれから一生懸命にあなたの為に働かせて頂きますのでどうぞよろしくお願い致します、鷹狩殿っ!。……ってあ、あれ……。私は一体……」

 「やったっ!、無事鷹狩さんの仲間モンスターといますよっ!。本来のサニール様の意識も元に戻られたみたいですっ!」

 「ふぅ……全く魔法の指南をしていた時といい相変わらず手を掛けさせるお方ですわ……」

 「お前達はベンにエドワナ……。それに先程私は自身で仲間モンスターと口走っていたが一体……っ!、思い出したっ!。確か私はトーチャーの奴の罠に掛かりこの拷問部屋で悍ましい拷問掛けられた挙句殺されてしまったのだ。その後拷問紳士の魔力によりファントム・バロンへと変えられリスポーン・ホストのモンスターとして奴に完全に支配されてしまっていたはずなのだが……。あなたが私を仲間モンスターとすることでその魂を奴の手から救い出してくださったのかっ!」

 「ああ、私の名前は鷹狩宗滴たかがりそうてきと言う。仕方がなかったとはいえあなたのような高貴なお方を私の仲間モンスターとしたことを大変申し訳なく思ってるが……、とにかく今は拷問紳士の奴を倒すのに手を貸して貰いたい。今我々の仲間が奴の手によって危険な目に合されているのだ」

 「拷問紳士……トーチャーのことですな。いいでしょうっ!。私もこの館の主としてここの住民達をこのような悲劇へと巻き込んでしまった責任を取らねばなりませんっ!。その為にもその悲劇の元凶であるトーチャーをこの手で討ち取らなければ死んでいった館者達の魂も浮かばれない……。私の方こそこの館をトーチャーの魔の手から解き放つ為にあなた方の力を貸して下さい、鷹狩殿っ!」

 「勿論だ、サニールっ!」


 多少予想していたものとは違う形になったがとにかくリリス……、そして元の意識に戻ったこの館の住民達だった者達の霊の力にとって鷹狩は無事サニールを自身の仲間モンスターとし、その魂を拷問紳士の手から解放することができた。仲間モンスターとなるや否や早速拷問紳士の討伐に息を巻くサニールにゲイルドリヴル達は力強さを感じ、次なる戦いへと向かって行くのだったが、果たして拷問紳士、そしてまだ敵として残っているデーモンゴート、それにスクウェラやサディ達を無事討ち果たすことができるのだろうか。こちらへと向かうゲイルドリヴル達の姿を拷問紳士も確認したようだったが、にも関わらず未だに余裕の笑みを浮かべてナギ達との戦闘を続けていた。やはりナミが先程気にしていた意味深な発言は偽りではなかったのだろうか。事態は着実にナギ達に有利な展開へと近づいてるのは間違いないはずなのだが……。


 「(ふっ……まさか本当にサニールを仲間モンスターとしてしまうとは……。本当にナギ君達ヴァルハラ国のプレイヤー方の実力には驚かされてばかりでーすっ!。ですが残念がらそれでも私はまだまだあなた達が敵うようなレベルの相手ではないのですよ。それを今から身を持ってあなた方に正面してあげまーすっ!。大人しく拷問により情報を吐き出していればそれ以上の痛い目には合わずに済んだものを……ふふふっ)」









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