finding of a nation 101話
「ぐあぁぁぁぁぁっ!」
「ナ、ナギ……くっ!、さっきはあんたの覚悟を受け入れたつもりだったけどとても平常心のまま見ていられる光景じゃないわ。一体あいつはいつまでこの拷問を続けるつもりなのよっ!」
レミィとカイル達がルートヴィアナ達、ゲイルドリヴルと塵童達がチャッティルとワンダラ達と戦っている頃館の地下では拷問紳士によって捕えられたナギの拷問が続けられていた。相変わらず電気椅子による雷撃を受けていたようだが、拷問の激痛に悲鳴を上げながらもまだ一つも情報を漏らしていないようだった。
「はぁ……はぁ……」
「おおっ……流石ですね。まさかこのルイン・パルスの魔法の雷撃まで耐え切るとは……」
「ルイン・パルス……。強烈な雷撃と同時に相手の脳に破滅を暗示する信号を送る恐ろしい魔法だわ。その魔法を受けた者は悍ましい魔物達の呻き声や悪霊達の怨念の声が木霊のように頭の中に繰り返し響き渡るという……。例え雷撃そのものの威力はこれまでのものより低くても精神の抵抗力を失った状態で受ける魔法によるダメージは計り知れない」
「ええっ!、それじゃあナギは心を蝕まれながら今の雷撃を耐え切ったいうのっ!。私達の精神の動揺によって情報が漏れるなら雷撃を受けるよりそんな幻聴を聞かされる方がよっぽど耐え難いはずなのに……」
「ほほっ、では続いては設定する魔法をプラズマーラに……」
「……っ!、プラズマーラですってぇっ!」
「ど、どうしたの……リア、そんなに驚いた声出して……。プラズマーラってそんなにヤバい魔法なの……」
「ええ……マーラっていうのはあなた達の世界で有名なお釈迦様が悟りを開く禅定に入った時、その瞑想を妨げる為に現れた魔人のことよ。元々のサンスクリット語ではマーラの語義は“殺すもの”とも“死”そのものの人称系とも言われているわ。そしてプラズマーラの魔法の名称の一部に入っていることの意味する通り相手に対して凄まじい殺意の篭った魔の雷撃が襲い掛かる……。仏教では煩悩の化身とされているマーラは自身の破滅を回避する為にあらゆる手段を用いて釈迦が悟りが開くのを妨害したと言われているわ。つまりはプラズマーラの魔法に耐え切れとう思えばお釈迦様が悟りが開いた時と同じくらいの精神力が必要ってことね」
「そ、そんな……。たった今ルイン・パルスとかいう魔法で精神を蝕まれたばかりなのに今度は凄まじい殺意だなんて……。今はゲームの中のキャラクターになっているとはいえ私達は元々普通の人間なのよ……。お釈迦様と同じレベルの精神力なんて持ってこないわ……」
続いて拷問紳士がナギに浴びせようとした拷問の雷撃はプラズマーラ、リアの説明通りだとこれまでにない程の強力な威力とそして恐ろしい効果を持った魔法のようだ。恐らくルイン・パルスのように相手の精神を蝕むというような生易しいものではなく、抵抗する意志を持つことすら許さない程の凄まじい殺意で相手の心を圧殺してしまうのだろう。リアルキネステジー・システムが搭載されているこのゲームにおいてそれはMMDの値が0に等しい状態、もしくはそれ以下にまで低下させられてしまうことを意味する。例えステータスの面で高いMMDの値を誇っていたとしてもだ。
「おおっ!、私の代わりに詳しい説明をありがとうございます、固有NPC兵士のリアさん。あなたの仰る通り実際にこの魔法を使用できるこのゲームの中でも登場するごく一部の存在、プレイヤーの方々には魔術師系統の中でも最上級の職に就いた者しか習得できない超強力な魔法でーすっ!。では皆様にもこの魔法の恐ろしさの程を理解したところで私はMAGとCONの値の設定を……」
「くっ……もう駄目……。これまででも一度も情報を漏らさず耐えてるのが不思議くらい悲痛な悲鳴を上げてたのにここにきて更にそんな恐ろしい魔法なんて……。もうこれ以上私にはあの子が拷問される様子を見ていることなんてできないわ。例えあの子が拷問に最後まで耐えて情報を守り切ることができたとしてもね。……あなた達には悪いけど私はここでゲームからログアウトさせてもらうわ」
「……っ!、バ、バジニール……っ!」
「駄目よっ!。あなたにはこのゲームが現実のあなた自身に与える影響について忠告しておいたはずでしょうっ!。この状況でログアウトなんてしたらあなたの心に二度とゲームをできない程の深いトラウマを抱くことになる。あなた達を精神的に追い詰めてこのゲーム自体から退場させるのがあいつの真の狙いなのよっ!」
「はんっ!、敵の狙い通りだろうが二度とゲームができなくなろうが結構よっ!。今すぐログアウトして警察に通報……いえ、政府に直接苦情を訴えて私だけじゃなくプレイヤー全員がこのゲームをできなくしてやるわ。このゲームのNPCであるあなたの存在がどうなるかは分からないけどね……さよなら」
「バジニールっ!」
“ヴィーン……”
ナギが拷問される光景を見続けることに耐え兼ねたバジニールはナミとリアに別れの言葉を言い残しゲームからログアウトしてしまった。当然ゲーム内のバジニールの姿もその場から姿を消し、彼が捕えられていた手錠だけがナミ達の横の壁に残されていた。
「行っちゃった……。ごめんね……リア。私もあいつの気持ちは痛い程分かるから引き止めることができなかったわ。私も本当は今すぐこの場から逃げ出したい気分だし……」
「あなたが謝る必要ないわ、ナミ。私もあなた達にとってこの状況がどれ程辛いからは理解してるつもりだしログアウトしたあいつを責めるつもりない。だけどさっき言ったように今目の前の光景に耐え切れず逃げ帰るような真似をすれば本当に現実のあなた達の肉体や精神に多大な影響を与えることになるの。だからどんなに辛くてもあなたは決してログアウトなんてしないでっ!」
「分かってるわ……。リアの言うことも勿論信じてるし、何よりここまで好き勝手やられて何もやり返さずに逃げ帰るなんて私のプライドが許さない。ぜぇーったいっ!あいつの顔を思いっ切りぶん殴るまで諦めたりしないんだから。私もナギに負けないくらいの負けず嫌いなのはリアも知ってるでしょ」
「ふっ……、そうだったわね」
「おおぉーーっ!、どうやら一人私の拷問の光景に耐え兼ねてこの場から退場してしまったようでーす。ご自身が拷問を受けるというわけではないにも関わらずなんと心の弱いお方なのでしょうか……」
「何よっ!、最初からこうなるのが狙いだった癖にぬけぬけと……。ゲームの中とはいえこんな惨たらしい光景を見せつけられたら誰だって逃げ出したくなって当然よっ!」
「その当然の範疇に収まるような行動を取る者のことを私は心の弱いお方だと言っているのでーす。そのような方々のことを気にして行動していてはNPCとして参加している私達の方がゲームを楽しむことができませーん。自分の勝手な価値観をゲームの世界に押し付け、ARIAによって容認されている私の行為を否定する彼こそが一番の迷惑者なのですよ。拷問というあなた達の世界からしてみれば残虐で非道な行いをしている私より……ね」
「くっ……。悔しいけど一プレイヤーとして参加している以上こんな奴でもリアやマイ達と同じようにNPCとして対等に接しないといけないってことね……」
「そういうことでーす。先程そちらのリアさんが言った通り、例え敗北することになろうとも最後まで私との勝負をやり遂げた方がよっぽど肉体や精神の負担も少なかったのですよ。それどころかより自身の持つ生命エネルギーを高めることもできたというのに……」
「いいわ……。だったら私もあんたのことを他のゲームのキャラクターのように対等に扱ってあげる……。そして必ずこの拘束を解いてそのひん曲がった顔と根性をぶっ飛ばしてあげるから覚悟しときなさいっ!」
「ほほっ……では不適格者の追放も終わったところで拷問を再開致しましょうか。魔法の設定はプラズマーラ、MAG、CONの値はともに500……いきますよっ!」
「くっ……ナ、ナギィィーーっ!」
“ピッ……”
「ぐあぁぁぁぁーーーっ!」
突如ゲームからログアウトしたバジニールに戸惑うナミとリア、辛うじて戦意は保つことができたもののその動揺が収まり切っていないのは明らかであった。拷問を受けるナギの姿を見せられ続けた挙句敵と直接戦うことなく仲間を一人失い、その上その仲間が一番の迷惑者とまで言われそれを受け入れるしかなく、この館に入る前にセイナも言っていた自分達の存在を大きく超える存在の元でゲームをプレイしていることを実感したショックが相当大きかったのだろう。そんなナミ達に容赦することなく拷問は再開され、部屋には再びナギの悲痛な叫び声が響き渡った。
「はぁ……はぁ……」
「お、おおっ……!。これはこれまで数々の拷問を行ってきた私も仰天致しました。まさかこのプラズマーラの雷撃を受けてまで一切情報を漏らすことがないとは……。あなたの精神力はまさにお釈迦様なみであると言わざるを得ませーん」
「ナ、ナギっ!、大丈夫っ!。くっ……さっきあんなこと言ったばかりだけどもう無理しなくていいわっ!。情報なんて好きなだけくれてやっていいからここから帰して貰いましょう。きちんと負けを認めてリタイアするならこのゲームが現実の私達に悪影響を与えることもないはずよっ!。別にそいつをぶっ飛ばすのはもう一度このダンジョンに潜った時でいいんだからっ!」
「おおっ!、流石ナギ君のパートナーだけあって大変物分かりがいいでーす。例えゲームの中で敵に敗北するに等しい結果を得ることがあっても、常にそのような殊勝な心掛けをしていれば私も含めたこのゲームの存在が現実のあなた方に危害を及ぼすことはありませーん。あなたの言う通り自ら敗北を宣言するのならば今すぐ拷問を止めて自動的にあなた方のHPの値を0にしてあげましょう。その代わりナギ君の拷問によって得られるはずの情報は全て差し出して頂くことになりますが……」
「もうそんなの好きなだけあげるって言ってるでしょうっ!。いいから早くナギを解放してあげてっ!」
「ほほっ、ナミさんはああ仰ってくれていますがどうなさいますか、ナギ君」
「い、いいよ……、僕なら大丈夫だから最後まで拷問を続けて、拷問紳士さん」
「ナ、ナギ……っ!、何言ってんのよっ!。私もこれまで色んなVRゲームをやってきたから分かるわ。こいつの拷問を受けてる時のあんたの叫び声の悲痛さは尋常じゃない……。きっとこれまでプレイして来たゲームからは想像もできないくらいの痛みと恐怖を感じてるんでしょう……」
「うん……。でも僕と同じでデビにゃんからあのことを聞かされてるナミならこんなところで僕達の国の大事な情報を渡すわけにはいかないって分かってるでしょ」
「そ、そりゃ私もあんたと同じ立場だったら死んでも情報を渡したりなんてしないって思うけど……」
「(あのこと……。ナギとナミのこれまでの言動から察するにここまで情報を死守することに拘るのは単に負けず嫌いというだけでなく他に理由があるみたいだけど……。デビにゃんから聞かされたことって一体なんなのかしら。もしかしてこの館に入る前にデビにゃんが私に言おうとしてことと関係が……)」
「それに確かに他のゲームとは比べものにならないくらいの痛みは感じるけど、このゲームの中のキャラクターはちゃんとそれに耐えられるように設定されてるみたいだし、ただ滅茶苦茶痛いってだけで頭の中はこれがVRだってちゃんと認識できてるから実際に肉体が死ぬような感覚はないしその恐怖もない。その点は他のVRゲームとまるで変わらないから安心して」
「だ、だけど……」
「そんなに心配しなくてもこのゲームも拷問紳士さんも信頼できる存在だよ。実際に拷問を受けてる僕が言うんだから大丈夫。拷問の光景だけ見てると残酷なように感じるかもしれないけど……、ゲームのNPCとして僕達を楽しませてくれようとする思いはリアやマイ、レイコさん達と同じように感じられる。バジニールさんがログアウトしちゃったのは残念だけど……。ナミだって負けを認めても大丈夫だって思える程には信頼できてるんだからどうせなら最後まで拷問紳士さんに付き合ってもらおうよっ!」
「ナギ……」
「おお……、ナギ君……。あなたは本当に素晴らしい素質を持ったプレイヤーだ。ゲームのNPCとして……いや、一生命体として私は今本気であなたに対して敬意を感じていまーす。……いいでしょう。あなたに行う拷問は次で最後に致します。これ以上無駄に長引かせるのはあなたの心の強さとその覚悟に失礼ですからね」
「さ、最後だって……。一体最後はどんな魔法の雷撃を……」
「おおっ!、最後の拷問はこの電気椅子を使ったものではありませーん。……最後はこれを使いまーす」
“ヴィーン……”
「あ、あれは……」
最後の拷問を行うと言った拷問紳士は右腕を真っ直ぐ横に突き出し、その手に柄から刃まで全て鉄で作られた手斧を出現させた。その手斧はまるで全体をダイヤモンドの宝石そのもので研ぎ磨かれたように銀色に光輝いており、中でもその刃の放つ光沢は凄まじい切れ味があることを物語っていた。
「い、いきなり斧なんて出してどうするつもりかしら……。まさかもう情報を引き出すのを諦めてナギに止めを刺すつもりなんじゃ……」
「ノーッ!、私はまだナギ君の拷問を諦めていませーん。これからこの斧でナギ君の手首を斬り落とすのでーす」
「……っ!」
「なっ、なんですってぇぇーーっ!」
なんと拷問紳士は出現させた手斧でナギの手首を斬り落とすと言い出した。もし現実の世界でそのようなことをすれば当然出血多量で死に至ることになるが、敵として登場するNPCやモンスターならともかく、いくらこのゲームの世界とはいえプレイヤーの肉体を切断した状態にすることなどできるのだろうか。
「ちょ、ちょっとリアぁっ!。あいつナギの手首を斬り落とすとか言ってるけどこのゲームはそんなことまで許されてるのっ!。そりゃゲームの世界なんだから今まで体を剣や斧で斬りつけられたことなんて散々あるけど、ちょっとした怪我ならともかく体の一部を失ったことなんて一度もないわよっ!」
「い、いえ……。このゲームでも打撲や骨折の状態異常は設定されてるけど、特定の敵の一部の部位を除いてあなた達プレイヤーが体の一部を損失するようなことはあり得ないわ。ゲームの中といえ流石にあなた達にとってはショックが大きすぎるからね」
「おおっ、ところが拷問のエキスパートである私には相手を拷問中に限り切断の状態異常を付与する権限が与えられているのですよ、リアさん。切断の状態異常になればそれの意味する通り私に斬りつけられた箇所を本人の肉体から切り離されてしまうことになりまーす。当然切断面からは血が滴り落ち、プレイヤーはその激痛と衝撃、そして恐怖から私に情報を垂れ流すことになるでしょう。私の拷問用の拘束器具から解放されるか、切断の状態異常になった瞬間から10秒経てば元に戻りますがね」
「“元に戻りますがね”っじゃないわよっ!。そんなことされたいくらゲームの中の出来事だからって一生のトラウマになっちゃうわっ!。やっぱり私も今すぐログアウトして通報を……」
「それは駄目だって何度も言ってるでしょっ!、ナミっ!。それに今からあなた達の政府の機関に通報して、仮にこのゲームの起動した状態を止めることができたとしてもナギの手首が斬り落とされるまでには間に合わないわ」
「リ、リア……だけど……」
「ほほっ、そういうことでーす。それに先にログアウトしたバジニールとかいうお方もこのゲームを通報するとか申しておりましたが、あなた達の世界の技術でこのゲームの世界に干渉を及ぼすことなど不可能なのでーす。心配せずとも先程あなたに言ったように殊勝な心掛けさえしていればゲームの世界のあなた方にも現実の世界のあなた方にも何も影響を及ぼすことはありませんから安心して拷問の様子を見守っていてくださーい。……では」
「くっ……ふざけんなぁぁぁーーーっ!」
“ガチャガチャガチャガチャッ!”
ナミ達に切断の状態異常の説明を終えると拷問紳士はナギの手首を斬り落とす為手斧を持った右手を高く振り上げた。恐る恐るナギがその振り上げたれた手を見上げると、そこには暗黒に包まれた天井の中からまるで自分に狙いを定めたと暗示するようにキラリと光り、今にも自分の手首に振り下ろされようとする手斧の刃があった。その光景を見たナミはとうとう精神の限界が来たのかこれまでにない激情した叫び声と姿を見せ、手錠に拘束された体をとち狂ったかのようにハチャメチャに動かし手錠を振り解こうとした
。自分の限界などおかまいなしに力を込め、歯を食いしばり全身の筋肉を引き攣らせながら何度も手錠の掛けられた手と足と首を手錠と壁に交互にぶつけこのままでは自分の体を引き千切ってでも抜け出しそうな程であった。勿論プレイヤーであるナミ自身にそのようなことできるはずもなかったのだが……。そんなナミの狂気を抱いてでもナギを助けようとする意志に構うことなどなく、拷問紳士の手斧は無慈悲にもナギに振り下ろされようとしていた。
「ふふっ、これに耐えれば約束通りこれ以上情報を引き出そうとすることはありませーん。その後はあなた方の拘束を解き、互いの誇りを懸けて正々堂々バトルで決着をつけましょう」
「(くっ……だ、大丈夫だ……。例え手首を斬り落とされたとしてもやることはさっきまでと変わらない。ただ痛みと動揺に耐えることに集中すればきっとヴァルハラ国の情報を守り切ることができるはずだ。信じてるよ……拷問紳士さんっ!)」
「(ふふっ、ナギ君。あなたほどの強く、そして美しいマインドを持ったプレイヤーならば何も恐れることはありませーん。例え私に情報が漏れる結果になろうともこの体験はあなた自身の生命エネルギーの力を格段に高めることになるはずでーす。最もあくまでもゲームの勝利に拘るあなたは僅かでも情報を漏らせばそれに納得できないでしょうが……)」
「ではいきますよ……はっ……」
「こぉんのぉぉぉーーーーっ!」
“ガチャガチャガチャッ……バキンッ!”
「……っ!。なっ、何っ!」
「ナミっ!」
「うおぉぉぉぉーーーっ!」
酷い拷問を受けながらもプレイヤーとして拷問紳士の言葉を信じ最後の拷問に耐えようと必死に意識を集中しようとするナギ、そしてそんなナギに心の中で敬意を表しながら手斧を振り下ろそうとする拷問紳士だったが、そんな時突如ナミの気迫の篭った怒号と共に何かの金属が割れる音が聞こえて来た。その声と音に手斧を振り下ろす手を止める拷問紳士、電気椅子に拘束された状態のナギ、そして柱の壁に拘束された状態のリアが一斉にそのその声と音の方を振り向くとそこには自らの力で手錠を割って拘束を解き、地面に着地しようするナミの姿があった。皆その光景に驚きを隠せず息を呑んで呆然としていたが、そんな皆を余所にナミは着地と同時に勢いよく地面を蹴り、手斧を振り上げた状態で止まったまま動けずにいる拷問紳士に向かって凄まじいスピードで一直線に突進していったのだった。




