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「あんた、働かないの?」

カウンター席で、コーヒーとバナナマフィンで、10時のおやつタイムを満喫しているゆりあに丈一郎は言った。


「今は、休憩中でしょ。」

「そんなこと知ってるわよ。あたしが言いたいのは、宴でのバイトじゃなくて。また、社会に出て働かないのかってことよ。」

「ここのバイトだって十分社会に出てるわよ。」

ため息交じりに「もう、はぐらかさないで。まだ途中だったでしょ。福祉の真実を、探す旅の。」

「私、そんな御立派さまじゃないわよ。」最後一口のバナナマフィンをほほ張りながらゆりあは答えた。


カウンター席から、コーヒーカップとお皿を丈一郎に渡して、ゆりあはキッチンに回り丈一郎の隣りに立って耳元で、決して小さくない声で、「本題は何ですか?」と尋ねた。


「もう、お願いだから、耳元で大きな声出すの辞めて。耳悪くないのよ。私。」

「で?御用件は??」


「他ならぬゆりあ様に、調査のお願いなの。」

「調査??解体じゃないのね。」

「ううん。たぶん。解体。でも、はっきりしたことがわからないから。いきなり、解体命令は出せないのよ。」

「いつもと違うのね。依頼人は??」


「はい…わ、私です。」

丈一郎は申し訳なさそうに右手を小さく挙げた。

「どういうこと??だいたいいつもは、劣悪な労働環境の介護施設で働く、不満を持った従業員よね。どうしたの??」

「母が両足を骨折したの。」

「特養に入っているお母様が??なんで??」

「特養の、相談員からの電話では、お風呂が、終わって、ベッドに移乗する時二人で移乗させるらしきんだけど、タイミングが合わなくて落としてしまったということなのよ。」

「それって施設にとっても大きな問題よね。」

「普通ならそう思うでしょ??実はね、先月も足折ってるのよ。今回は太ももだけど、前回はすねよ。不注意すぎない?それとも、嫌がらせかしら??」

「家族は不安だよね。不信感抱くよね。」

「骨折の件だけでなく、お金の管理についても前から不信感頂いていて。」

「お金??」

「母が一人でお金の管理するには不安があるから施設にやってもらっていたのよ。毎月10日ぐらいには、前月のお金の動きがわかる出納帳が、送られてくるんだけど、元妻がお見舞いで、3万持って行ったらしいんだけど、どこにも書かれていなかったのよ。面会に行った時に相談員に聞いたら後で確認して連絡するとのことだったの。」


「すぐ、わからないんだね。」

「担当の事務員、今日やすみだから、わからないって。」

「事務員しか把握していないのかしら。怪しい香りプンプンしてきたわね。」

「やっぱり、家族預けているとね、ストレートに行けないのよ。グレーな段階だと尚更。」

「今回のお仕事は?」

「怪しい特養の裏側の侵入調査でございます。しかも、ナイスタイミングで、事務員募集出てました。そして、ゆりあ様明日からヨモギの園勤務でございます。」


「ちょっと、丈一郎君。」


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