4話
4話
黒井敬介(37)博士(理学・科学・物理学・生物科学・バイオサイエンス)。
両親は既に他界。現在は天涯孤。
幼少より科学者としての才が有り、海外留学の経験もある。
25歳で同時に論文博士を5つ取得し、話題に。
その年は多くの企業、大学もこぞって在籍を希望するも、全て破綻。当時の大学に在籍を続け、数年ですさまじい成果を上げる。
30歳の時、ある研究を発表。
マッドサイエンティストとして国に認識され、一切の研究機関より関与を禁止され、科学界から姿を消す。
現在、都心から離れた場所に邸宅を構え居住。
資金繰りに苦労した時期があったが、本の一時で現在では親の遺産が入り解消されているようだ。
木南利里(25)博士(理学・科学・バイオサイエンス)。
父は公務員、母は主婦のいたって普通の家庭。
15歳までの彼女は理系ではなく文系での進学を希望していたが、高校2年に進学の際に進路を理系へ変更。
大学は海外の有名大学に入学。異例の速度で理学・科学・バイオサイエンスの分野で論文博士を取得。
23歳で帰国。
10年に1人の逸材とされ、多くの研究機関が彼女の在籍を希望。
しかし、全て断り、「黒井博士を探す」そう言い残し、姿を消す。
現在黒井敬介邸宅にて住み込みで家政婦をしているとのこと。
警察は両人を詐欺罪の疑いで捜査している。
しかし、物的証拠は一切出ず、いまだ逮捕には至っていない。
当人たちは
「自分たちの土地でルビーとサファイアが採掘されたため、販売しただけである」
と主張。が、両名が販売したルビー・サファイアは市場を混乱させた。
「ひっひっひ。私は自分の土地で採掘しただけですよ?地下を見たでしょう?私の所持している土地と家に坑道があり、それを掘り進めた先にルビーやサファイアの原石があったでしょう?それを彼女にお願いして綺麗に磨いてもらったんですよ。彼女は器用ですからね、ふひひ」
警察官というのは実に面白い職業だと思う。
怖い刑事と優しい刑事が交互に入ってきて私に自供させようと説得しようとしている。もちろん私は事実のみを話している。今頃彼女も同じことをされているだろう。
「断っておきますが私は刑事さんたちの妨害をする気はさらさらございません。私は善良な一般市民ですからねぇ」
警察官には触れただけで公務執行妨害だと言われえらい目にあったという話は何度か聞いたことがあったので前置きとして。
「聞きたいことがあれば何時間でもおつきあいいたしますよ?よろしければルビーをカッティングするところをお見せいたしましょうか?え?なに?もう隣の部屋でやっている。ならば結構」
ふむ、なるほど彼女も機転を利かせているようだ。話が早くて助かる。警官が私の家に立ち入りいろいろ調べたことを申し出てきた。
「なに、彼女には私の家の一切を任せているといっても過言ではありませんから家の物に触ろうが何をしようが結構。私の財産を盗んでいなければ結構ですよ、ひひ」
冗談めかして言うと少し怒られた。しまいには詐欺罪で捕まえるぞと脅してくる。
「今、詐欺罪とおっしゃいましたか?あれが人工物だとでもおっしゃるんですか?しかもその下にはダイヤもあったと?それはいい知らせだぜひ掘り起こさねば。え?地質学的にありえない?ならあれはどう説明するんですか?人工ルビーをわざわざあんなに大量に埋めたとでもおっしゃるんですか?ひひ、私はどうかしているらしいのでやってのけるだろうと?」
科学者を相手によくもそんなことを言うものだと思う。
「濡れ衣もいいところですねぇ。上質なルビーとサファイアの原石が敷地から奇跡的に見つかったから販売した。それだけで犯罪になるんですかぁ。驚きです、はい。その論法なら石油王は全員捕まっていないといけませんねぇ、ふひひ」
今のが癪に障ったのか警官は職務質問を始めた。どうやら粗を探しているようだ。まぁ、それはお互い様だが。
「普段の仕事?以前は植物の研究が私の専門でしたが、今は無職、親の残した財産を食いつぶしているだけですよ。彼女との関係?家政婦と雇い主、程度の関係ですよ。うっひ。どうやら昔の私のファンのようでひっひっひ、冗談でもそんなことを言うと後で怒られるので止めておきましょう。ひひ」
心なしか壁の向こうから殺気が飛んできた気がした。末恐ろしいのでこの話題はさっさと終わりにしよう。
「単に科学界から締め出しを食らった私を憐れんで家政婦をしてくれているだけですよ。もちろんお金は支払していますよ。ええ、毎月手取りで30万円。もちろん税金は納めていますよ?税務署に入っていただいてもかまいませんよ。ふひひひ。その不気味な笑いを止めろ?残念ながら人の癖というのは1日2日では治せないんですよ。はい。ふひっ」
私は見事言いくるめに成功し、無事釈放と相成った。
「木南さんはまだですか?まだカッティングしている?なら待たせていただいても?私は彼女がいなければ飯ひとつまともに作れないもので、うひひ」
私は廊下にあった長椅子に腰かけ、彼女を待った。
「失礼します」
1時間の後、彼女が部屋から出てきた。
「終わったかね?」
「ええ、綺麗に磨けましたよ」
「そうか。ではそちらの刑事さんにお渡ししてあげなさい。ご迷惑をおかけしたお詫びとしてね。ひひ」
もちろん刑事は断った。そんなものを受け取った日にはマスコミに何を言われるかわからないからだろう。
「では私たちはこれで失礼させていただきます。では田淵警部、白取警視によろしくお伝えいただけますかね。ひっひ。何、大学の同期で友人だったんですよ。ふひっひっ」
そういうと私を怒鳴り散らしていた警部の顔面が真っ青になっていくのを見てスッとした気持ちで警察署を出た。
「博士。最後のあれはいったい何だったんですか?博士って友達いたんですか?ね、ね?」
「さて、次は金剛石畑だよ、助手」
「博士、少しは懲りてください!」
「まあ、まぁ、いいじゃないか、木南君」
「きゃああ!苗字で呼ばないでください!気持ち悪い!」
「気持ち悪いって。人を害虫のように」
「鳥肌マックスですよ!」
「しかし、まさか警察が押し入ってくるとは思わなかったよ。念のために宝石畑を改良したものを埋めておいて正解だったね、利里ちゃん」
「ぎゃああああああああああああじぬううううううううううう」
彼女は何故か私が名前で呼ぶと身もだえする。面白いのでたまにやる。
「ふひひ、根菜型宝石畑。大成功といったところですねぇ」
そう言いながら庭の畑を見る。実はあの畑の地下にルビーとサファイアの原石が生えている。こっそりとその下にダイヤも混ぜているのでいつでも採掘可能だ。
ちなみに依然作った畑はもう一層下の地下室で育てている。警察もそこまで疑う余地はなかったようだ。
「ふひひ。あ、ところで今日の夕飯は?私は君がいないと生きていけないので」
「今日は博士の嫌いなレバニラ炒めです」
ばっちり仕返しされた。
4話にしてやっと自己紹介。
これを書いた時一応年表も作ったので年齢等間違いがないようにできていると思います。




