合言葉は婚約破棄ですわ!
なろうラジオ大賞7応募作品です。
ギャグ要素を少し混ぜて楽しめる作品にしてみました。
「フィオナ嬢! 君とは婚約破棄だ!」
ビックリしましたわ! アーサー様がこんな大勢の前で、そんなことを言うなんて……ですわ!
唖然としている私を観ながら、不敵な笑みを浮かべている男爵令嬢のクララが彼の腕を組んで猫撫で声で耳打ちをしていますわ。なんで貴女が彼の横にいるのかしら?
「えーと……もう一度よろしゅうございますか?」
ちょっと間の抜けた質問の仕方でしたが、私にとっては大問題ですわ。アーサー・アレキサンドロス皇太子と公爵令嬢の私フィオナ・ウェールズは親が決めた婚約だけど……
「クララに対する嫌がらせは聞いている。お前のような非道な女とは婚約破棄をする!」
やっぱり婚約破棄ですわ! どうしましょう! でも、やっぱり……
「恥ずかしいですわ~!!!」
私は両手を上げると、その手からは大量の聖水が噴き出した。
◇
「アーサー様、私は水魔法が使えるみたいですわ?」
実はアーサー様と私は、幼い頃からずっと仲良しですわ。私達が魔法について話をしていた時に、彼は私の手から溢れる水をそっと舐めると優しく微笑んでくれた。
「これは聖水だね。でも、僕は君を教会に渡したくないから、この事は二人の内緒にしよう。僕と結婚をしてから、このことを発表しよう」
「でも、魔法の練習は大切ですわ……」
アーサー様は少し考えた仕草をして、私に向かって話し出しましたわ。
「君が聖魔法を使うのは僕の前だけにしよう。それまでは水魔法を極めてくれ。僕が君が嫌に思う言葉を言ったときに聖魔法を使う練習をしよう」
「私が嫌と思う言葉ですか?」
結婚という言葉を聞いたときにワクワクしたのは内緒ですわ! でも……嫌な言葉って怖いのですわ……
「婚約破棄とか……」
その瞬間にアーサー様に聖水をぶちまけたのは仕方がないですわ!それから二人きりの時以外は聖魔法は使いませんでしたし、周りからみたら淡々とした関係にみえていたかもしれませんわ。でも、条件反射で婚約破棄って言われると……
◇
それからは意味がわかりませんでしたわ? クララは私の聖水を浴びて悶え苦しみましたわ。アーサー様は剣を抜いてクララを切りつけましたわ。彼女は悪魔に操られて魅了とやらを使っていたらしいですわ。
聖水放出事件で、アーサー様とは実は仲良しなのが周りにバレて大変でしたわ!あれよあれよと結婚の日取りが決まりましたわ。彼は予想通りだといっていたけど、何を言っているのでしょうか?
まあ、私は幸せだからよいのですわ!
読んで下さりありがとうございました。
あなたにとって素敵な作品にであれることを。




