表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天界の神々、実はちょっと本気です  作者: よむよみ
第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/23

第八話 生命の誕生

次の宇宙は、本当に偶然生まれたらしい。

神のきまぐれともいえるほどの微細な変化が、この宇宙に劇的な転換をもたらした。


次の宇宙では、とある物質に“向き”を与えた。


その“向き”により、固体が液体より軽くなった。

その“向き”により、その物質が液体でいられる温度の幅が広くなった。

その“向き”により、液体に物質が溶けやすくなった。


与えられた“向き”はごく些細な調整に過ぎないはずだった。


“向き”が固体になる際、整列を阻害し体積が増え、液体より軽くなるという性質をもたらした。

“向き”が液体に張力を与え、気体化を抑制し、液体の存在を安定させた。

“向き”が液体に物質を引き寄せる力を与え、物質と一緒に流れることを可能にした。


ここまででも十分大きな変化だと思われたが、さらなる展開が神々を唸らせた。

それが、生命の誕生だった。


研究の神は、水という物質に、偏向性、極性を与えただけに過ぎない。


ただそれだけの変化によって、氷は水より軽くなり、水として存在しやすくなり、水に物が溶けやすくなった。

水によるエネルギーの循環が容易になったのだ。


それまでの宇宙では、例えエネルギーを生み出しても、蓄積や消費が困難だった。

水が液体として安定し、さらにエネルギーを液体として溶かすことが可能になったことで、

エネルギーを運び、蓄え、必要に応じて別の場所へ移動させ、消費することができるようになった。


水を基準とした生命が、爆発的に増え、進化することになった。


当時、これを見た神々は、新しい生命の誕生に驚愕したという。

生命の誕生なんて、この宇宙を創った神でさえ、想像していなかった。


「こんな修正…、思いつく?

本当に地道に修正と観察をたくさん繰り返して、たまたま発見したとしか思えない…。

研究の神々って、すごいのね…。」

私の言葉に、ミカエルは、もう、ただ黙って宇宙を眺めるだけだった。


たった一つの微細な修正が、宇宙の可能性を無限に広げた。

今、私が星の観察を楽しめていられるのも、間違いなくこの発見のおかげだった。


地道な研究の尊さを、これでもかというほど、見せつけられた気がした。


ルミエルもこの宇宙の偉大さにポカーンとしている。

すぐに動きたい衝動を抑えるかのように、私の手をしっかりつかんでいる。

私は手に少し痛みを感じたが、この痛みが私には少しうれしく感じられた。


「まだ前夜祭なのに、すごく興味深いわね…。」

私のつぶやきに、ミカエルもメモリナもルミエルも皆、黙って頷いた。


よかったら、コメント、感想、ブックマーク、評価をぜひお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ