第七話 宇宙の観察の始まり
私たちは、一つ目の宇宙を見終わると、さっそく二つ目の宇宙へ向かった。
原始の宇宙が構成されたことで、宇宙を観測する神が現れた。
しかし、当初は観察がうまくできないことが多かったようだ。
物質の性質を受けて、宇宙は絶え間なく膨張していた。
時には、光速を超えるような物質も現れた。
動き回る物質の観測は、とても困難だった。
超高速で飛行する航空機から連射された弾丸は、航空機が接近してくる場合、後から発射された弾丸が先に到達する。
逆に、航空機が遠ざかる場合は、弾丸が届かないこともある。そんな事象が、光でも発生していた。
つまり、向かってくる物質を観測する場合、時間が過去にさかのぼるように見え、逆に離れていく物質を観測する場合、いつまでも観測できないという状況が起きていた。
そこで考案されたのが、“光速度不変の原理”だった。
次の宇宙では、原始の宇宙をアップデートする形で構成されることになる。
「どんな状況でも、誰が観測しても、光の速さは常に一定である」という法則が、原始の宇宙に追加された。
不思議なことに、この法則を適用すると、物質は光速に近づくにつれて時間や空間が歪み、光速を超えることが不可能になった。
これにより、物質を観測する際、どんな状況でも、過去から未来に向かって観測が可能となった。
また、波の性質を持つ光は、ドップラー効果の影響を受けて、光速で遠ざかる物質は赤く、近づく物質は青く観測されるようになった。
機能性を重んじる神々には観測の整合性を、芸術性を重んじる神々には色彩の喜びを提供し、この宇宙は多くの神々に受け入れられた。
この宇宙も最優秀賞となり、原始の宇宙のアップデートという形で、早速適用された。
ただし、後日、追加の修正が施されることになる。
神々にも同様の制約がかかり、光速を超える移動ができなくなった。
その結果、移動に時間がかかるようになり、遠くの物質に触れようとしても、移動では永遠に到達できないという事態が頻発した。
そこで、宇宙では神々がテレポートできるように、即座に修正が行われた。
このとき、宇宙の座標系も同時に設定された。
この座標系は、修正を行った神の独断で定められたが、今でも基準点をどこにするかについて天界では議論が続いている。
ただ、もうすでに多くの神々に受け入れられているため、この座標系の変更はもはや不可能だと、多くの神々は考えている。
「今は、当たり前のように宇宙に触れているけれど、多くの苦労があったのね…。」
「もうほぼ完成系ですよね…?他に何か修正されている箇所ってありましたっけ?」
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