第三十九話 新世界
精霊のルミエルが、大人の姿になって、大きくなった私の肩に乗って、話しかけてくる。
「その強大すぎる力、あなたには不要でしょう。私が受け取りましょう。」
ルミエルが問題をだしてきた。
「あなたが、初めて私にかけた言葉は何?」
魔王に勝ち、安心しきっていた私は、不意を突かれ、すぐには答えられなかった。
「正解は、『これからは、お友達ね』よ。私はずっと覚えていましたよ。」
この空間では、納得が答えになるようだった。なぞなぞでなくても、心が動けば成立する。
魔王から受け取ることになって、まだ私の体に定着していない過剰すぎるエネルギーは、この空間の管理者権限と共に、ルミエルに移っていった。
過剰なエネルギーで少しつらそうだったけれど、ルミエルは精霊の威厳を保っている。
「私は、意地悪してばっかりだったけど、嬉しかったし、とても楽しかったよ。
私の精霊としての目的は大きな樹を見つけ、その樹にやどること。
私はこの力で、この空間に住もうと思います。
なんだかここ、懐かしい気がするの。絶対に来たことが無いのにね。
だから私、ここで母にならなくちゃ。
ホープ、今までありがとう。」
ルミエルは優しくそうささやくと、空間の法則を元の宇宙と同じに戻した。
地面が崩れ、明るさも消え、静かに、そしてダイナミックに、暗い宇宙空間になっていく。
もう、いつもの宇宙空間だ。
続けて、ルミエルは手慣れた手つきで作業を進めていく。
エネルギーで星を作り、大きくし、そして緑を生み出す。
どの所作をとっても、優美で優雅で美しかった。
これは、コンテストの時見た光景だ。
幻想的で神秘的な世界…。
私は、感動的な場面に、再び巡り合えた…。
最後にルミエルは、種を植え、大きな樹に育てあげると、姿を消した。
この大きな樹に、ルミエルは宿ることにしたようだ。
「一人では退屈だろう。私も残ることにしよう。
今まで本当にありがとう。私もとても楽しかった。たまには遊びに来て欲しい。」
メモリナも残ることにしたようだ。
「うん、わかった。」
私は、納得することにした。
少し寂しく思ったが、どうしようもない時は、ここに来れば済む話のはずだ。
神々は、この様子にどうすればいいか、まだ戸惑っているようだった。
それに、私が少し注目されているみたい…。
私は観察するのは好きだけど、注目されるのは苦手だ…。
ミカエルと帰ることにした。
その前に、少しだけ、挨拶したい人がいた。
「エクスペリオさん、地上戦に持ち込ませたから、新しい空間での戦いになりました。
それが、勝ちにつながった気がします。ありがとうございました!」
「何をいうか。お主の頑張りで勝てたのじゃ。みんなそう思っておるよ。
天界を代表して伝えさせてもらうよ。ありがとう!」
お礼を言われて、私はとても恥ずかしくなって、少しお辞儀して、すぐにミカエルと家に戻った。
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