第三十三話 虚無空間
神々が、魔王の作った次元の狭間より虚無空間に入っていく。
私たちも続いて入っていった。
そこは、白くて広い空間だった。
石畳のような地面があり、六方から光が差し込んでいるようだった。
地面に立つと、六方向に影が伸びている。
光が差し、影ができているが、まぶしいわけでも暗いわけでもない。
空はどこまでも白くて、とても不思議な空間だった。
ところどころ、石畳がすり減っている。
本当に長い間、この空間は使われていたのかもしれない。
見渡すと、遠くまで見渡せる。
どこまでも広がる空間。
その中央に、魔力を放つ魔王ヴァルグレアの姿があった。
宇宙では、星を超える大きさであったが、ここでは小さい子供の姿をしている。
星を超える大きさのヴァルグレアは、他を圧倒する威圧感を放っていたが、子供の姿になってその威圧感は抑えられているようだった。
ただ、それでも圧倒的強者の放つオーラをまとっているように見える。
小さいながらとても不気味な存在だ。
そもそも立ち振る舞いが、洗練されているように見える。
立ち方一つとっても、無駄がない。
悠久の時間、特訓を繰り返してきた、その結果かもしれない…。
小さいからといって、侮れない…。
戦闘部隊は、そのヴァルグレアを遠巻きに取り囲むように移動していた。
とても危険であることを認識しているようで、不用意に近づいたりしない。
かなり距離をとって囲んでいる。
私たちは、その戦闘部隊からさらに距離を置いて、ついていくことにした。
戦闘部隊は、思い思いの武器を神の力で生成していく。
剣、盾、大剣、槍、斧、杖、こん棒、ハンマー、弓、ボーガン、…。
神の力で生成された武器は、魔王に特別に効果があるはずという話だった。
神々が一通りそろったことを確認したようだ。
ヴァルグレアがしゃべりだす。
子供の姿ではあるが、精悍な大人を想像させる声だった。
「ようこそ我が虚無空間へ。
逃げずによく来た。勇気は誉めてやろう。
力が大きさになってしまう空間では、少々戦いづらいのでな。
我が魔力を若さに変換する空間とさせてもらった。
大きさが同じぐらいの方が、そちらも戦いやすいであろう。」
武器を作らずそのまま構え始めた。
魔王は、素手で戦うようだ。
「準備は整ったか?さぁ、ここで思う存分戦おうではないか。」
戦いが始まる緊張が、空間に漂い始めた。
私たちもその様子を見て、それぞれ武器を持った。
私とルミエルは杖、ミカエルは魔力を増幅する本、メモリナは銃を手にした。
ミカエルが、メモリナの銃の弾丸を神の力で用意している。
皆それぞれ、神の力が込められた武器を手にしているが、私たちは非戦闘員だ。
念のため所持しているに過ぎない。
戦いが始まったら、回復に専念する心づもりだ。
よかったら、コメント、感想、ブックマーク、評価をぜひお願いします。




