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天界の神々、実はちょっと本気です  作者: よむよみ
第六章

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第二十八話 エクスペリオと魔王

ブラックホールが解体されてもなお、強い引力を持つ魔王。

その強い引力にも負けずあふれ出す魔力。

星の大きさをはるかに超える肉体。

その体を支える太く鍛えられた足。

すべてを破壊せんとする腕。

頭には強い威厳を放つ角――。


その姿は、ただ巨大なだけでなく、鍛え抜かれた力の象徴だった。

その様子に、周囲の神々は戦々恐々とし始めた。


「その神の力、懐かしい。

エクスペリオよ。ずいぶん老いぼれたではないか…。」


「ほっほっほっ。やはり生きておったか。

まさかそんなところに隠れておるとは…。

長生きしてみるもんじゃ…。」


突然現れた魔王の会話に、周囲の神々はざわついていた。

圧倒的な魔力を持つ魔王と、普段の言動は戯言と思われていたよぼよぼの神様が、対等に、そしてどこか懐かしそうに会話しているのだ。


神々が驚くのも無理はなかった。


「エクスペリオさんって……冗談だと笑っていたけれど……もしかして、本当の事だったのか?」

「あの爺さん、本当に元祖研究を司る神だったのか…?」

「俺たち、とんでもない人と、会話していたのか…?」


周囲のざわつきとは無関係に、魔王とエクスペリオさんの会話は続いていた。


「貴様に敗れた記憶、忘れはせんぞ。」


「わしも覚えておる。

他の悪魔をすべて倒し、お主のみとなり、それでもなお戦おうとする姿……。

力のある限り戦おうとする姿……。そう簡単に忘れられるものではない。

あの時は我々が、かろうじて勝たせてもらったが……強くなったかの?

そんなにも大きくなりおって……。思う通りの強さを手に入れられたかの?」


「もう何物にも負けはしない。我は最強の強さを手に入れた。

もはや老いぼれた貴様をやってもつまらん。先に他の神々を殲滅してくれる……。」


「ほっほっほっ。想像以上の強さを手に入れておるの。困ったものじゃわい。

ただ、我々とて、ただ安定の生活を送っていたわけではないぞ…。あなどるなかれ…。」

エクスペリオさんはどこか楽しそうに会話している様子だ。


突然、静かな会話は終わりを告げた。

魔王は腕を広げ、足を広げ、咆哮を轟かす。

「我こそが、魔王、ヴァルグレアなり!!」


ただの咆哮にすぎなかった。

ただ、それだけで強い衝撃波となって神々を襲う。

多くの神々は、防衛姿勢を取るだけで精いっぱいだった。


ヴァルグレアは、準備運動とばかりに腕を振る。

軽く、腕を振ったに過ぎない。誰にもあたることは無かったが、たったそれだけでも周囲に衝撃波が発生し、多くの神々をおびえさせていた。


私は、ミカエルやメモリナ、ルミエルと一緒に、この様子を見守ることしかできなかった。

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