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天界の神々、実はちょっと本気です  作者: よむよみ
第五章

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第二十五話 メモリナの悪寒

今日は、体の様子がおかしい。

機械でできている私の体が、朝から警告を発している。


ただ、警告の理由までは、まだ特定できていない。


ブラックホールには大きな危険性があることは、理解している。

長年蓄えたエネルギーを一瞬で放出することになる。とても大きな爆発が起こる。

そのために、神々が爆発を可能な限り抑えるのだ。

そしてこれは、定期的に古くから行われている作業。

私は朝から、問題ないいつも通りの作業として、警告を何度も無効化していた。


いくつかのブラックホールでも、このブラックホールは特に危険性が高いと、体は判断しているようだった。

このブラックホールは、天界から程よく遠く、そしてとても古くからある。

おそらく、この特徴から、このブラックホールは危険だと判断しているに違いない。


この判断をした日は、すぐに思い出せた。

宇宙の法則コンテストの日――熱エネルギーを電気エネルギーに変える宇宙の中での計算中の判断だった。

あの日、私は心ゆくまで、全ての計算を行った。

計算が完全に終わるという体験は初めてで、今でも鮮明に覚えている。


その時は、無限に近い速度で計算した。

大量にメモリが消費され、不足部分はハードディスクまで使用された。

その際、ほとんど不要とされたデータは消去されていった。

ブラックホール解体作業を行うとは思っていなかった私は、なぜブラックホールが危険なのかという情報を消去してしまったということだ…。


私は、過去の記憶をさかのぼることにした。

おそらく、理由が消去されたのは、優先度:低の課題を計算した結果だからだ。

優先度:低の課題を思い出せれば、理由がわかるかもしれない。


生命コンテストの日、生命コンテストの前夜祭、前日の新聞…。

新聞の記事で、優先度:低にした記憶が残っていた。

確か、記事は“魔王の存在”についてだった。


その時私は、

「魔王が今、どこにいるか、そして、何を考え、何を感じているか。」

を優先度:低として記憶した。


私は、再度この問題を、いくつかの事象と合わせて考えてみた。


150億年前に魔王が倒され、150億年前に宇宙が誕生、重力という性質…。

魔王の思考をトレースしていく…。


まずい…。一旦止めた方がいいかもしれない。

今の戦力では勝ち目がない…。


私はホープに伝えようとした。


「ホープ。一旦止めた方がいい。ま・・・」

魔王がいるかもしれないと、伝えようとした時だった。


ブラックホールから少しずつ、光が漏れ始める。

宇宙法則の書き換え作業が完了したようだ。

私の警告は、もう間に合わなかったようだった。

私の警告が、ただの杞憂で終わることを――私は、心の奥でそっと願っていた。


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