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天界の神々、実はちょっと本気です  作者: よむよみ
第三章

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第十五話 芸術こそ強さ

「こちらの宇宙は、より独創的な空間です。一度すべてを忘れる必要があるかもしれません。ご準備はよろしいですか?」

次の宇宙の案内人が話している。

案内人の言葉に、私はミカエルの手をぎゅっとつなぎなおした。

メモリナも、ルミエルも少し気持ちを入れ替えたようだ。


案内人の言う通り、次の宇宙は独創的な空間だった。


何もない空間。新しい何かが生まれる。

初めは白い球から始まった。

最初に生まれたその個体は、宇宙の中央を目指して進んでいく。

この宇宙は、初めから物体が何も用意されていない代わりに、宇宙の中央にエネルギーが少しずつ投入される仕組みになっていた。

その白い個体は、エネルギーが与えられる中央にたどり着くと、徐々に大きくなっていった。


周りに、また新しい個体が生まれる。

今度は薄い緑色の三角錐の形をしていた。

新しい個体も中央を目指す。

たどり着くと静かな競争が始まったようだった。

どうやら三角錐が勝ったらしい。

白い球は中央を明け渡し、少し自分の姿を変形する。

今度は薄い青で、少しくぼみのある球の形になった。

再び三角錐に挑むも、三角錐は強く、勝てなかった。


三角錐は、与えられるエネルギーによってどんどん大きくなる。

ある程度の大きさになると、白い個体に敗れ、周囲に分裂して散っていった。

どうやら、物体が大きくなりすぎると強さを失うようだった。

強さを保つためには、適切な大きさが必要らしい。


次第に、多くの個体が生まれ、青、赤、黄、紫、オレンジに、緑など、色とりどりの幻想的な空間となっていく。

「きれい…。」私は思わずつぶやいた。


どうやら、美しさを競っているようだった。

大きすぎる個体は、美しさを失う。

美しさを保つには、適切な大きさが必要だった。

どんなに美しい個体も、エネルギーを受けて大きくなりすぎると分裂し、中央を離れていく。


まるで、無限に続くお絵描きの世界。

赤が勝っては青が勝ち、混ざって緑になっては白に戻る。

複雑怪奇な形が生まれては、シンプルな形が勝ち、より美しい形へと洗練されていく。

不思議な世界だった。


私は、近くにいた何もしていないだらけた個体に、ちょっと意地悪して指でつつこうとした。

ピピピという警告音と共に、機械音声が私の頭の中に響く。

「この宇宙では、物理攻撃は無効です。」


この宇宙の真理はただ一つ。

「芸術がこの宇宙を支配する。」

そんな単純な法則だけで、この宇宙は構成されているようだった。


こんな宇宙も創造できるのか…。

私はただ黙って、見守ることにした。


手をつないでいたルミエルが、うずいている。

「この宇宙…、とても心地いい…。」

精霊のルミエルはそうつぶやくと、私の手を離れ、姿を変えて中央へ向かって歩き出した。


子供の姿のルミエルにどことなく似ている…けれど、今まで見たことのないルミエルの姿。

薄い緑色に包まれたルミエルは、とても神秘的で、とても美しい…と私は思った。


世にも美しい姿のルミエルは、圧倒的な芸術性で他を圧倒し、神の力の祝福を得られる場所に到達した。


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