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天界の神々、実はちょっと本気です  作者: よむよみ
第三章

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第十二話 新しい生命への模索

二つ目の宇宙は、新しい生命の可能性を探る目的で構築された。


追加された法則はたった一つ。

電気によって核分裂を引き起こせるようにした。


従来は核分裂の自然発生を待つしかなかったが、この修正により、意図的に電気で核分裂を起こすことが可能になった。

核分裂の起こし方には複数の案があったが、今回は単純な手段として電気が採用されたようだ。


多くの場合、目立った変化は起こらなかった。

大量の小型宇宙を長期間観察し、ようやく一つ、特異な事象が確認された。

その珍しい宇宙が、今回の展示対象となっている。


それは、恒星から遠く離れた一つの星だった。

恒星からのエネルギー供給はなく、従来の生命は存在しない環境。

しかし、新たに加えられた仕組みによって、ある変化が起きていた。


最初の変化は、鉱石の核分裂によって生じたエネルギーを電気に変換する、目に見えない小さなバクテリアだった。

そのバクテリアは、核分裂によって生まれた電気で、さらに次の核分裂を引き起こし、再び電気を生み出し、連鎖的に電気を生成し続けていた。

しかし、過剰な電気を制御できず、核分裂をさらに促進してしまい、そのエネルギーによって自身が傷つき、安定性を保てなかった。

増殖は困難で、核分裂する鉱石にひっそりとこびりつくように生息していた。


ただ、このバクテリアが生息する場所は、エネルギーが豊富に集まり、生命活動に適した温度をほんのり保っていた。


この環境の中で、次世代の生命体が誕生した。

電気をエネルギー源とする生命体だ。


この生命体は、バクテリアを細胞に取り込むことで、核分裂のエネルギーから、電気を得るようになった。

長い年月をかけて進化を重ね、電流の強さを熱で調整する物質を核分裂の過程で獲得し、より安定的に核分裂を制御できるようになった。

核分裂では、通常最も安定している鉄が最終的に生成されるが、この生命体は核分裂を調整することで、鉄より重い原子を体内に取り込むことが可能になったのだ。

通常の生命体の遺伝子は、合成するたんぱく質の設計図とされているが、この生命体の遺伝子は、たんぱく質の設計図に加え、核分裂の制御方法まで記述されているようだった。


さらに、核分裂の調整によって生まれた誘電体や絶縁体を組み合わせ、電気を蓄えるコンデンサーや、電気による磁場を利用した記憶装置を体内に構築していった。

鋼でできた体を持つ、機械生命体の誕生だ。


紫外線を頼りに鉱石を探し、捕食する機械生命体たちは、地下帝国を築いていた。


「う~ん。今の生命体の方が優美に感じる…。今の生命体に慣れているからかな…。」

「いえ、私もそう思います。」

「もし、はじめに発見された生命体がこれだったら…、多分今の宇宙、こればっかりだったのかな?」

「おそらく、そうですね。今の宇宙でよかったです。」

ミカエルの返事に、私とミカエルは笑いあった。


ルミエルは、通常とは異なる生命に少し戸惑いを覚えているようだった。

「…。もしかしたら…、今の宇宙にも機械生命っているのかな…。」

メモリナのふとしたつぶやきに、私も共感した。

「確かに…、私も機械って作られるものだと思ってた…。」

観察の神としての私の探究心が、静かにくすぐられているのを感じた。


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