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天界の神々、実はちょっと本気です  作者: よむよみ
第三章

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第十一話 宇宙の法則コンテスト

今日は、いよいよ待ちに待った宇宙の法則コンテスト。

今日もルミエルと手をつなぎ、その後ろにミカエルとメモリナが並んで歩いている。

皆、心なしか無口で、普段よりも少し足早な様子だった。

皆も楽しみにしているみたい。

私は、はやる気持ちを抑えながら、会場へ向かった。


会場中央の球形モニターを見ると、昨日と同じ司会者が今日もインタビューを続けているようだった。

今日は研究者ではなく、審査員の神々を壇上に呼んでいるらしい。

私には馴染みのない神々だったこともあり、私たちは早速、一つ目の宇宙に向かった。


展示された宇宙には、案内役の神様がいて、時折、対象の宇宙の説明をしてくれるみたい。


一つ目の宇宙は「経済編」というタイトル。天界の経済をテーマにしているようだった。

宇宙の法則コンテストとはいえ、研究の対象は、宇宙の法則だけではない。


天界では、仕事の種類に応じて支給される貨幣が異なる仕組みが採用されている。

そして、消費された貨幣は、少し上乗せされて再び皆に分配されることになっている。

上乗せ分は、貨幣を蓄える神々の存在を考慮した調整らしい。

皆がお金を消費すれば消費するほど、皆の給与は上がり、特に仕事のために多くの資金を必要とする職業は、自然と給与も上がりやすくなる仕組みになっている。

ここまでは、私も知っている天界の経済の基本だった。


従来の仕組みでも十分に機能していたが、研究者たちはそれだけでは不十分だと感じていたようだ。

最近の天界では、基本の仕事とは別に、さらに別の仕事を持つ神が増えてきている。

働く神が増えているということは欲しいものが増えているということ。

それは天界の生産性が想像以上に拡大していて、流通している通貨が不足しているのではないか――この宇宙の展示者はそう考えているようだった。


その思考のもとに、一つ目の宇宙は構築されていた。

従来の天界の経済の仕組みに加えて、生産性の向上に応じて給与を増やすという試みだ。

ただし、生産性の向上は単純には測れないため、まずは労働者の増加に伴って全体の給与を上げるという仕組みが追加されたらしい。

この仕組みによって、労働者が増えればその分皆の給与が増え、新しい職業が誕生すれば、その分また給与が増える。


結果として、新しい商品やサービスが天界に生まれやすくなった。

天界の市場は、より活発に、より効率的に動いているように感じられる。

例えば、誰かが外食店を開けば、その分皆の給与が少し増え、多くの神々が外食店に通えるようになる。

個別に別々に食事を用意していた手間を外食店が一手に引き受けることで、社会全体が少しずつ効率化されていく。

そんなふうに、専門職が増えていった。


ミカエルは黙って頷いていた。

私には、パンフレットの詳細を読んでも経済は難しくてよくわからなかったけれど、ミカエルには納得の内容だったようだ。

ただ、労働者や仕事の種類が増えたら、私の給料も増える――それがとてもうれしい事であることは間違いなかった。

働く神が増え、多くのものが生産され、欲しいものが増えるから、給与も増える。

働きたい神にも、利用する神にも嬉しい仕組みだった。

少なくとも、私にはとても魅力的に見えた。


「この法則は、ぜひ取り入れてもらえないかな…。」

私のつぶやきに、ミカエルは力強く頷いた。


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