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22/23

旅の終わりは幸せの定住

いよいよ最終回になりました

ここまでの読んでた頂いた方、ありがとうございます

夕陽が、海の果てに沈もうとしていた。

空は茜色に染まり、波間に浮かぶ船影が金色にきらめく。


アクア、紫苑、そしてメグの3人は船の甲板に並んで立ち、ゆっくりと風を浴びていた。


「……日が落ちるな。エスペランサ島が、もうあんなに小さく見える」


「とても綺麗ですね……。まるで、旅立つ私たちを見送ってくれているようです」


「ふふっ、なんかエモい〜!でも、ちょっと寂しいかも?」


アクアは微笑みながらも、この旅で多くの人と出会い、別れ、そして救いを与えたこの旅。


「……ありがとうな、二人とも。俺……この旅で、本当に大切なものが見つかった気がする」


「殿……」


「おっと、泣かせるじゃん♡」

風が三人の髪を揺らし、夕陽が甲板を金色に染めていた。



海風が頬を撫でる。赤く染まった空の下で、三人はこれまで歩んできた日々を語り合っていた。


「ここまで色んな事があったね〜、ティルダンの街救ったり」


「レグナスのクーデター鎮圧したり、ジャーマイエルでお祭り騒ぎしたり……」


「砂漠にオアシスも作りましたし…アステリアも綺麗でしたね」


「感慨深いねぇ〜」


アクアは遠くを見つめ、ゆっくりと息を吐いた。


「ほんとだな……こうして振り返ると、俺たち、ずいぶん遠くまで来たんだな」


旅の記憶が胸に蘇る。笑いあった日々も、涙を流した夜も、すべてが今の彼らを形作っていた。


「すべての旅路が、殿を今の殿にしてくれたのですね」


「うんうん、アクアきゅんもすっかり“立派な男”になっちゃって〜♡」


「やめろよ、そういう言い方」


「ふふ……私も、同意しますけどね」


波が静かに寄せては返す。夕陽の向こうには、まだ見ぬ世界が広がっていた。

アクアは静かに海を見つめながら、少し笑った。



「……始まりは俺の傷心旅行のはずだったのにな。気づけば世界中を回って……結果、最高の旅になったよ」


「うんうん、最初は元カノにフラれて泣いてたのにねぇ〜♡」


「おい、それ言うなって!」


「ふふ……でも本当に、殿の旅は“誰かを救う旅”になりましたね。

たとえ始まりが悲しみでも……今は希望でした」


風が頬をなで、夕陽が3人の影を長く伸ばした。


「……さて、次はどこに行こうか?」


「私もお供いたします。どこまでも」


「アタシも!温泉とスイーツ付きならね♡」


三人の笑い声が、穏やかな海に溶けていった

海面が金色に輝き、沈みかけの太陽が船の甲板を染めていた。

潮風に髪をなびかせながら、3人はのんびりと談笑──していたはずだった。


はずだったが、………


「あ!そう言えばなんだけどアクア!ちょっとお願いが!」


「お願い?なに?」


「実はアタシ結婚するんだけど、シーラントからクレイン王国に引っ越したいから、永住許可が欲しいんで女王様に掛け合ってくれない?」


「け、結婚!?いいけど……誰と?」

「ハーデスさん♡」


──その瞬間、時が止まった。

波が凪ぎ、風が凍る。空を飛んでいたカモメすら止まる


アクアと紫苑は1分程フリーズした


そして

「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?!?!?」


「ちょっ!?ハーデス兄さんって、俺の兄のハーデス兄!? 王宮魔術師のあの堅物一直線な!?」


「そ、そんな……! あの静寂の主とメグ殿が……!?!」


「いやぁ〜、最初はね、テレパスで冗談言い合ってただけなの。アタシと同等の魔力持ってる人なんて今まで会った事ないからさぁ〜♡

でもさ、気づいたら毎日話すようになって♡ なんか波長が合っちゃって♡」


「いやいやいや!? 何なのその遠距離恋愛!?!?」


「も、もはや次元を超えた愛……!」


「でね?一回デートしたらさ〜、“君と話してると生きてる気がする”とか言われて♡

その瞬間、押し倒した♡」


「押し倒したぁぁぁぁぁ!?!?!?!?」

「め、メグ殿ーーーー!!」


「言ってたよ♡ 

 『魔力が…抜けていく…が、悪くないな』 」


──船上はカオス。

穏やかな海も、まるで笑っているようにきらめいていた。


戦いのない世界。誰もが自由に、そして笑顔で生きられる時代。

それぞれの旅は終わり──けれど、物語は続いていく。

たとえであっても、恋は突然に。

笑い声が響く限り、この世界はきっと平和だ。


「じゃあ永住許可は宜しくね!──で、次どこ行く?」


「いや、国に帰るよ!!」


その瞬間、船はクレイン王国へ急旋回

大海原を切り裂き、波を巻き上げながら、凱旋の帰路へと舵を取った。


──そして、クレイン王国


城内の一室、ハーデスが待っていた。


メグの高らかな声が響いた。

「ハーデスさ〜ん♡ ただいま〜っ♡」

一直線に駆け出し、そのままハーデスの胸へダイブ


「っ……」

わずかに目を細め──微笑む。

周囲の家臣や大臣が戦慄する。


“あの”冥王の名を冠する大魔術師、

その男が怒れば世界が震え上がるとまで恐れられる………


「……おかえり、我が妻よ」


「えっ!?」「はっ!?」

「ハーデス様が“妻”って言った!?!?!?」


アクアと紫苑も認めざるを得なかった

「やっぱり本当だったーーーー!!」

「あのハーデス様と怠惰の化身のようなメグ殿が

婚姻成立……すごい時代になりましたね……」


メグは幸せそうにハーデスの胸に飛び込み、ハーデスは穏やかにその頭を撫でた。


ディアドラもその光景を見てほほえんだ。


「メグさん…これからは貴女も私の妹ね、これからはハーデスを宜しくお願いします」


「宜しくね♡姉さん♡」


──戦乱の時代を越え、魔の脅威を退け、ついには“愛”すら次元を超えた。

クレインの血脈は、再び平穏の時を取り戻す。


──夕陽が城壁を照らし、平和の鐘が鳴り響く。

クレイン王国の新しい時代が、今、幕を開けた


王都、聖光大聖堂。

百年に一度の晴れの日のように、街は純白の花々とリボンで飾られていた。

鐘楼からは祝福の鐘が鳴り響き、国中がこの瞬間を見届けようと息を呑む。


祭壇の中央には──

漆黒の礼装に身を包んだハーデス。

その隣には、純白のドレスを纏った大賢者メグ。

彼女の髪は淡い紫の花冠が輝き、笑顔は誰よりも幸せそうだった。


「……それでは、誓いの言葉を」


「生と死の狭間にあろうとも、君を想い、守り、愛し続けることを誓おう」


「……うん。アタシはこの世界がどうなっても、

ハーデスさんの隣にいる…

だって、アタシの居場所は──いつだって、あなたの隣だから」


二人の手が重なり、白金の指輪が交わされる。

光が大聖堂を満たし、ステンドグラスの天井から虹が差し込む。


「誓いのキスを──」


ハーデスが静かに腕を伸ばし、メグの頬を包む。

彼が唇を触れた瞬間、会場全体が爆発的な歓声に包まれた。


それを見ていたアクアと紫苑

「いや、世界史に残るぞこれ……」


「……二人とも、お幸せに」


花が舞い、鐘が鳴り、空を見上げると光が降り注ぐ。

冥府の神と大賢者の結婚式──それは“神話の終焉”であり、“平和の象徴”だった。


「ハーデスさん♡ これからもいっぱいイチャイチャしよ♡」

「……ああ、覚悟しておく」


こうして、長きに渡る旅と戦いの果てに──

大賢者と大魔術師の愛も一つになった。



そんな中に列席者たちの拍手が静まる頃、ゆっくりと歩み出る一人の女性。

艶やかな黒髪を後ろで結い、柔らかな笑みをたたえたその姿は――かつてワイアットと旅を共にした白魔道士、エトラ・クレイン。

年齢を重ねてもなお、穏やかな美しさは失われていなかった。


「ハーデス……おめでとう」

「母上……」

エトラは優しく微笑み、ゆっくりと息子の頬に手を添えた。


「立派になりましたね……。あなたが愛する人と共に歩む日を、ずっと夢見ていました」


メグはその場で姿勢を正し、これまでで一番真剣な瞳で頭を下げた。


「エトラさん……いえ、“お義母さん”。ハーデスさんを、永遠に愛します。

この命が尽きるまで……賢者の誇りにかけて」


「まぁ……」

瞳に光を宿しながら、そっと二人の手を握る。

「優しい方ね。あなたなら、あの子を幸せにしてくれる。……ありがとう、メグさん」


祭壇に立つ三人を照らすように、天井のステンドグラスから光が差し込む。

その光の中で、母・子・嫁の手がひとつに重なり、まるで“過去・現在・未来”が結ばれたようだった。


友人席の中央。

そこには、旅を共にしたかけがえのない仲間──

アクアと紫苑の姿があった。

白い花びらが舞い落ちる中、二人は誓いの言葉を交わすメグとハーデスを静かに見つめていた。


「……メグ、しおらしくしてるな……」

「ふふ……あんな顔、出来たんですね」


普段の賑やかさを知る二人だからこそ、その穏やかな笑顔に胸が温かくなる。

紫苑はそっと手を合わせ、目を細めて祈るように呟いた。


「メグ殿が、誰かの隣で幸せになれる日が来るなんて……本当に良かった」


「うん。メグはずっと世界の未来を見てたけど……やっと自分の未来を見つけたんだな」


二人は顔を見合わせ、思わず微笑む。

かつて世界を駆けた冒険の日々。

そのすべてを共に過ごした“仲間”が、いま幸せを掴んでいる。

それは、どんな戦いの勝利よりも誇らしい瞬間だった。


鐘が鳴る。

アクアと紫苑は静かに拍手を送った。

その笑顔には、深い友情と、心からの祝福が宿っていた。


式典の厳かな空気がひと段落し、夜風が心地よく吹き抜ける披露宴の庭。

灯されたランタンの光がゆらめき、テーブルの上には色とりどりの料理とワインのグラスが並ぶ。


メグは椅子にぐでんと腰掛け、ドレスの裾をゆるりとたくし上げながら、グラスを片手にご機嫌モード。

「ふあ〜……結婚式って疲れるね〜……♡ 

主役なのに、もう動けな〜い……」


その隣、ハーデスは静かにグラスを傾けていたが――

アクアが気づく。

「……兄さん、顔赤くない?」

「……少し、飲み過ぎたな」


珍しく頬を染めた神の横顔に、周囲の兵士や貴族たちがざわめく。


「ね〜ハーデスさん♡もうちょっと飲も〜よ〜♡」

「……やれやれ。君という存在は、酔いよりも強烈だな」


そう言いながらも、彼はメグの肩をそっと抱く。

夜風と笑い声が混ざり合いう…


夜も更け、祝宴の灯が少しずつ静まりゆく頃。

メグは月明かりに照らされたバルコニーに立ち、夜空を見上げていた。

潮風がドレスの裾を揺らし、手にはまだ飲みかけのワイン。

その横に、無言で寄り添うハーデス。


「……アタシ達の血はね、未来に繋がってる」

その声は、どこか遠い時代を見つめていた。


「未来の世界で、“楠エトラ”って名の子が生まれて……頑張ってるよ。エトラさんにそっくり…

ちゃんと優しくて、強い子」


ハーデスは静かに目を細め、隣のメグへと視線を向ける。


「……その魂を、お前が見つけたのなら──その未来、私も見たいと思う」


メグは微笑みながら、彼の手を握った。

「ハーデスさん……♡ うん、きっと見に行こうね。未来の子たちが笑って生きてる世界を」


夜空には満月。

海を照らすその光の下で、二人はそっと寄り添い、言葉よりも深く──心で誓い合う。


──その夜、

“魔術師”と“賢者”は静かに、永遠へと結ばれた。


そして朝の王都。

昨日の華やかな宴の余韻がまだ街中に残る中、アクアと紫苑は城の回廊を歩いていた。

柔らかな陽光が差し込み、白い大理石の床に二人の影が並ぶ。


「まさか俺達の知らない所で、メグと兄さんがそこまで進んでいたとはな……」


「魔術を扱う同士故の恋愛成就なんでしょう…

でも……お似合いでしたね。お二人とも、まるで長い時を越えて巡り会ったようで……」


「そうだな。あんな兄さん、初めて見たよ」


少し沈黙が流れる


紫苑はふと歩みを止め、頬をほんのり染めながらアクアを見上げた。


「……殿、実は……申し上げ難いのですが……」

「え?」


「父上と松容様が……勝手に……私達の式の日取りを……」


「えええぇぇぇ!!!???」


廊下に響くアクアの声。

その瞬間、すれ違った侍女たちは一斉に振り返り、

「え、次はアクア様!?」「おめでとうございます!」とざわめきが起こる。


「ま、待って紫苑!? まだ心の準備が──!」「わ、私だって同じですっ……!」


そのやり取りに、遠くの柱の影で見ていたディアドラが小さく笑う。


「ふふ…父上、貴方の血筋は本当に愛に正直ですね」


春の日ノ本、會桜は満開の桜に包まれていた。

社殿には、朝日が差し込み、紅白の花びらが舞う。

その中心に、白い羽織袴に身を包んだアクアと、

白無垢姿の紫苑が並び立っていた。


巫女たちが舞を奉じ、楽の音が静かに流れる。

日ノ本の伝統に則った厳かな式──それでいて、誰もが祝福の微笑を浮かべる温かな空気だった。


ディアドラとアズール

「先日のハーデスに続いて……今度はアクア結婚式か。早いものですね」

「まさか弟2人が先に結婚するとはな……」


祝福と焦りが入り混じる長姉と長兄


そして会場の誰もが終戦と救国の英雄、

アクアと紫苑の門出を祝福していた


「では──誓いの言葉を」

アクアは真っ直ぐに紫苑を見つめた。


「アクア・クレインは、紫苑スメラギを生涯の伴侶とし、どんな時も守り、共に笑い、歩むことを誓います」


紫苑の瞳が潤む。


「私、紫苑スメラギは、アクア・クレイン様を敬い、支え、心を捧げることを誓います……」


二人がそっと手を重ね、誓いの杯を交わす。

花吹雪のように桜が舞い、境内の誰もが思わず息を呑んだ。


メグとハーデスの席

「きゃ〜〜っ♡ 紫苑ちゃん、綺麗〜っ♡」

「……ふむ。実に良い式だ」


アクアは照れながらも笑い、紫苑の手をそっと握る。


「今ここに、アクア・クレイン、紫苑・スメラギの婚姻を成す──」


その声とともに、桜の花びらが風に舞い、

まるで天も二人の門出を祝うかのように、光が降り注いだ。


──そして日ノ本は再び、歓声と祝福に包まれる。

「アクア殿、ご結婚おめでとうございます!」

「紫苑様、末永くお幸せに!」


参列者たちの歓声と祝福の花吹雪が舞う中、

それぞれの仲間たちが、二人に想いを込めて言葉を贈っていった。


「アクア!紫苑!おめでとう!幸せになれよ!」

ジョンはいつもの笑顔で、だが少し涙ぐんでいた。

その隣で、紺のドレス姿のシーナが柔らかく微笑む。

「……ねぇジョン、こうして見てると、世界って案外優しいのかもね」

「だろ?…やっぱ…アクア達には教えられてばっかりだったな……」


そして、ゆっくりと歩み寄る女性がいた。

銀の髪が風に揺れ、どこか懐かしい海の香りを運んでくる。


「……ふふ、アクア……おめでとう……」

「母さん……」


「貴方が誰かを本当に愛して、その人と生きる日が来るなんて……母として、これ以上の喜びはありません」


「アイネス様……ありがとうございます」


アイネスは紫苑の手を取り、優しく微笑む。


「これからの未来、どんな波が来ても……二人で乗り越えてくださいね」


──空は晴れ渡り、桜吹雪が祝福のように降り注ぐ。

アクアと紫苑は、笑顔で手を取り合いながら皆に応えた。


かつてのヒロイン達も手を振る

ミレイナ、カレン、エトラ達

「アクア…本当に立派になりました」

「飲め飲め〜っ♡ 今日は祝いだよぉ!」

「本当によかったですね」


笑いと涙が入り混じる春の會桜。

その景色の中で、アクアと紫苑の新たな人生が、静かに、確かに動き出していた。


その日、會桜の都に響いた鐘の音は、

二人の新たな旅立ちを──そして、すべての物語の輪を繋ぐ音だった。


そこから少しだけの年月が流れた春。

會桜の村、風とともに桜の花びらが舞っていた。

山々の稜線が柔らかな陽光に包まれ、遠くから子どもたちの笑い声が聞こえる。


「殿……あの、ちょっと報告が……」

「ん? なにかあった?」


紫苑は少し俯き、指先を胸の前で重ねた。

そして小さく息を吸い、

柔らかに微笑みながら──その言葉を紡いだ。


「……お腹に、新しい命が宿りました」


「……えっ!?」

その瞳が驚きに見開かれ、次の瞬間には、

彼は言葉を失いながらも紫苑の肩を抱き寄せていた。


「貴方の子です……♡」


風が二人を包み、桜の花びらが舞い落ちる。

紫苑の頬を撫でた一枚の花びらが、そっとアクアの手の甲に触れた。


「……ありがとう、紫苑。俺……父さんに、また一歩近づけた気がするよ」


「ふふ……きっと、殿に似て優しい子になります」


縁側の下では、庭の池に映る桜が揺れていた。

遠くから聞こえる風鈴の音が、まるで祝福のように鳴り響く。


──こうして、ひとつの旅の終わりと、新しい時代が始まった。

それは、血が紡ぐ未来への祈り


ちょっとぶっ飛んだ終わり方にはしてみましたが 概ね予定通りです。後書き追加するかもしれませんのでその時は宜しくお願いします


次回作は構想程度で全く描いて無いのですが

お蔵入り状態だったノーザの物語をZERO的な感じでやるか、若しくは新主人公(カレンの息子)をやるかで考えてます。

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