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2078年。
人類の技術はさらなる進歩を遂げ、文字通り"人工知能との共存"が現実となっていた。
4月、俺は国立大和青藍学園の門をくぐった。
この学園では、条件を満たしたものに"聖杯"と呼ばれる特権が与えられる。聖杯を手にした者は一つだけ願いを叶えることができるのだ。
しかし、その聖杯を入手するための条件は一切情報が出ていない。
国が直々に運営している学園だからか、情報統制は完璧なものだ。
土地、権力、財力、望めばなんでも手に入れることができる。
この学園に入学してくる者たちは、皆その聖杯を求めて入学してくる。
俺もその一人だ。
入学式。
現生徒会長の九重 健の挨拶。
「新入生のみなさん。ご入学おめでとうございます。この学園では、他にはない唯一の"聖杯"という特権が得られます。今年は優秀な生徒が多く、皆さんのたくさんの活躍をお祈りしています。そして...
―――以上で挨拶を終わりとさせていただきます。」
そして、学園長によって聖杯を得るための条件に付いての説明がされた。
「一つ目に、皆さんに配布された端末兼学生証にはランクシステムというものが存在します。このランクは0から10000までのポイントでランク分けされています。このポイントは譲渡することが可能です。詳細は端末にてご確認ください。このランクでAランクを獲得する事。これが一つ目です。
二つ目に、国家課題と呼ばれる、生徒一人ひとりに出される国からの課題を3つ達成していただきます。どんな内容だったとしても、これを達成できない場合、聖杯獲得の資格は得られません。
三つ目に、この学園へ投資している4つの名家、一ノ瀬家、九条家、相良家、そして大和家。この名家の党首一名に推薦をもらうこと。これが三つ目です。
この三つを達成することで、聖杯試練の資格が得られます。
聖杯試練は、聖杯があなたに出す試練となっています。そのため、私たちは介入することができません。聖杯試練に合格した者が聖杯、すなわち特権を手にすることができます。
聖杯獲得には学年は関係ありません。優秀な生徒であれば、一年目で聖杯試練に挑む人も現れるでしょう。
みなさん、期待しています。以上で説明を終わります。」
長い式が終わり聖杯をかけた学園生活が始まりを告げた。