表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
嘘つきレイラ 時をかける魔女と幼馴染の物語  作者: 織部
嘆きのレイラ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

93/251

マリスフィア侯爵の娘

 島の要塞化が決まり、海軍や商船、漁船までもが、この島にひっきりなしに出入りしている。

 もともと海賊島なので、船を停泊できる場所は多い。島が賑やかになってきた。


「それじゃあ、セーヴァスに戻ろう」

 レイラと俺は、ティアに乗って領都へ戻った。

 ドラムの家で作戦会議をする。食事をしながらの会議なので、レイラが会議を、俺が食事を担当する。


「リドも、何か意見はないの? 食べてばかりで」

「そうだな、もう少し味が濃い方が……」


 レイラが呆れた顔をし、レジーナが俺の目の前の皿を片付けようとする。

「こらこら、まだ食事中だよ。可愛いメイドさん。そう思うよな、モルガン?」

「はい、そう思います」

 モルガンは真顔で答える。会議中なので、態度を崩さない。


「はぁ! これは変装ですから。それとレイラ様のご指示で……」

 レジーナは恥ずかしそうに顔を押さえ、スカートの裾をそっと引っ張る。

 だが、その仕草が逆に可愛らしく、モルガンが一瞬目を伏せたのを俺は見逃さなかった。


 「それでは報告します」

 そんなやりとりを気にも留めず、ナッシュが話し始める。

 ナッシュとナナは、東方聖教会へ食料を提供している食堂の店主と仲良くなり、給仕係と共に何度か教会の中に入ったようだ。


「地下に部屋があり、そこにマリスファイアの領主が幽閉されているのは間違いありません。あの護衛たちなら、簡単に倒せますよ! なあ、妹君」

「ええ、やっと私たちの出番ですね、兄者」ナナはデザートのプリンを美味しそうに頬張りながら答えた。


「領主はやり手で強いんだろう? なんで簡単に捕まってるんだ? 助けは来ないのか?」

 ナッシュ兄妹が黙ったところで、モルガンが口を開いた。

「それなんですが、領主から救出はするなと言われているようです。マルコも、彼を殺せば反乱が起きるとわかっていますから」


「なぜ救出を望まない?」


 ナッシュがぽんと手を打って答えた。

「そういえば、『娘は無事なんだな?』という会話が聞こえてきました。領主の声っぽかったです」

「大人しくしていれば会わせてやる。なんか悪役みたいな台詞でしたぁ……ぁぁ」


 ナナはプリンのおかわりをしようとしたが、レジーナに取り上げられた。

「ひ、ひどい! 私の愛しきプリンが!」

 ナナは遠くへ連れ去られるデザートを、まるで最愛の者を失ったかのような悲痛な表情で見つめる。


「じゃあ、その領主の娘がどこにいるのかが問題ね」レイラは難しい顔をした。


「ああ、それならわかるぞ!」

 俺が何気なく答えると、全員の顔が一斉に俺に向いた。


「この伊勢海老はやらないぞ!」






お忙しい中、拙著をお読み頂きありがとうございます。もしよろしければ、ご評価をいただけると幸いです。又、ご感想をお待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ