表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
嘘つきレイラ 時をかける魔女と幼馴染の物語  作者: 織部
嘆きのレイラ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

85/251

島の探索


 ドラム達も、船の積み荷を降ろすと、セーヴァスの港に帰って行った。


「それじゃあ、船着場の修繕と、家を二軒住めるようにしましょう」レイラが提案する。


「そうだな、お前に任せる。俺は島の探索に行く」

 例の騎士風の海賊に話しかける。


「エーリヒです。承りました」手慣れた様子で、他の海賊達と作業を始めた。


「では、行ってくる」

「私も行くわ」レイラが、俺の腕を掴んだ。

「危ないぞ」俺が警告すると、


「守ってくれないの?  私、リドリーの隣が一番安全だと思ってるのに」


「当たり前だ」俺が胸を張って答えた。

 歩き出した頃には、いつの間にかティアが彼女の肩にとまっていた。見た目は、綺麗な鳥にしか見えない。


「魔物相手なら、ティアに敵うもの無いわね」鳥になりすましたドラゴンを撫でながら、レイラはとても気持ち良さそうな顔をしている。


 俺がその様子を凝視していると、「あら、リドリーも撫でて欲しいの?」と彼女が揶揄ってきた。

「ふざけるな」俺は歩幅を広げ、さっさと先へ進んだ。


 数時間、森を捜索した。多くの魔物に遭遇したが、俺が剣を抜くまでもなく、ティアによって処分され、食糧になっていた。


「もう、疲れた。リドリー帰ろう」

「ああ、俺も腹が減った。ここ迄にして帰ろう」

 レイラが俺の前に立ち、じっと見上げる。

 少しの沈黙の後、彼女は当たり前のように腕を広げた。


 俺はため息をつきながらしゃがみ込む。昔と同じだ。「探検に行こう」と言って、結局俺が背負って帰ってくる。周りには隠れて護衛の騎士達がいたものの、それでも彼女は俺に負ぶさることを選んだ。


 ティアが、乗せて帰るかと翼を開いたが、「ありがとう、ティア、これは俺の役目だから、譲れない」


 彼女が揺れないように、しっかりと背負って歩き出す。すぐに、レイラは俺の肩に額を乗せ、安心したように寝息を立てていた。


 「また、繰り返しているのか……」

 その事を、彼女は決して言わないし、俺も聞かない。彼女のシナリオに従って、全力を出すだけだ。迷いはない。


 俺の背中の上で、彼女の寝息が静かに響く。少しの間でも安らぎを与えたい。


 俺は、起こさないように、ただ歩いた。

 深夜になり、船着場に着くと、見慣れない船影があった。


 スネアの第一弾の船が、もう到着していたらしい。


 エーリヒ達とスネア、それとスネアが連れてきた料理人や給仕係が並んで待っていた。彼らは、俺達が帰ってくるのを待っていたようだ。


「リドリー様、お待ちしていました。お食事を準備しております」

「何だ。喰ってれば良いのに」

「それは出来ません。すいませんが、さっそく……」


 レイラは、するりと俺から降りると、自分の席だろう場所に座り、早く隣に座るようにと、椅子を叩いた。


「お腹減った!」 傍若無人な子だ……


お忙しい中、拙著をお読み頂きありがとうございます。もしよろしければ、ご評価をいただけると幸いです。又、ご感想をお待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ