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魔女


 その年は、住んでいる小屋の周囲を探索するのが、精一杯だった。


 16の誕生日には、ティオスが特別製の弓をくれた。


「空の敵を倒せんだろう?」


「ああ……困っていたところだ」よくわかっているな。


 少し山に向かって歩くと、氷魔鳥が空を旋回している場所があって、必ず俺は襲われ、逃げ出していたからだ。


「いつも、食糧も色々な道具や服も貰っているのに、更に貰うなんて」 


「あれは生活支援物資だ。気にするな。国から金も出ている」


「それならいいんだが。大切に使うよ。高かっただろう?」


「そうだな。まあ、気にするな」


 その弓は俺の魔力を吸収し、力に変える特別なものであった。使いこなすには、時間がかかりそうだ。


 有り余る時間を弓の練習に当てたが、本格的な冬が到来してしまい、小屋に籠る生活になった。


 ある日の夜、激しい雪風の中、戸を叩く音がした。俺は一瞬で眠気を覚ますと、剣を持ち、恐る恐る戸に近づいた。


「お前は?」


「……魔力を感じた……」


 そこに立っていたのは、氷雪の魔女と呼ばれる人の形をした魔物だった。敵意を感じなかったが、圧倒的な力を持つ存在であることはすぐにわかった。


「目的は何だ?」


「……お前の魔力をくれ……」


 話を聞けば、この小屋の主人は平和的に魔力を渡していたらしい。


 俺に選択肢はなかった。魔力を奪うには俺が生きている必要がある。命を取られることはないだろう。


 あっという間に手を取られ、体の隅々から何かが抜けていく感覚に襲われた。


「……お前の魔力、とても良い……褒美をやろう……」魔女は満足すると、立ち去っていった。


 そして俺は気を失った。


 次の日、目が覚めたが、体は重く、結局数日を寝込むことになったが、魔女はとんでもないものを置いていった。


 それは見たことのないくらい大きな卵だった。


「これは何だ?」卵に触れると、緑色に包まれて輝き出した。それは心臓の鼓動のようにも見えた。


「どうしよう?」


 相談したいが、ティオスもこの雪風では船も出せまい。去年の反省から、食糧は十分に備蓄してあった。


 放り出すわけにもいかず、卵と暮らすことにした。

お忙しい中、拙著をお読み頂きありがとうございます。もしよろしければ、ご評価をいただけると幸いです。又、ご感想をお待ちしております。

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