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作戦会議

 

 俺はセーヴァスのドラムの屋敷にある食事をする特別室へと案内された。


「リドリー様、お目覚めです。兄様」


 いち早く気づいたナナが、ナッシュをつついて教える。


「おはようございます、リドリー様」


 ナッシュとナナの兄妹は、すでに食事を取っていた。


 俺はレイラの席の隣に座らされた。


「駄目よ、リドリー。貴方はこれ」


 セーヴァスで獲れる海鮮の美味しそうな料理が並ぶのを横目に見ながら、俺の前にお粥が取り分けられた。


「いや、レイラ、普通に食べられるぞ!」


「駄目よ!」と、レイラが鋭く睨む。


「わかったよ……」


 俺はしぶしぶ、目の前のお粥を口に運んだ。何も具の入っていないお粥だったが、海鮮の旨味がしっかりと染みている。


 思わず「これは、絶品だな」と口にしてしまい、レイラは勝ち誇った顔をしていた。彼女が作ったのだろう。


「それじゃあ、食べながらみんなの集めた情報を共有しましょう。レジーナ、モルガンも席について食事を!」


 レイラの後ろに控えていた彼らも席についた。

 そのとき、ふと目を移すと、レジーナが嬉しそうに、わずかに目を伏せながら静かに魚を口に運んでいた。


 その様子を俺は見逃さなかった。


「それでは、まず私から報告します」


 モルガンは知り合いの貴族を訪ねたらしい。権力者に集まる情報の担当だという。


「マリスフィア侯爵は行方不明。後継者のマルコが指示を出しているようです。侯爵とマルコは元々仲が悪かったらしく、傘下の貴族の間でも派閥争いが起きています」


 続いて、ナッシュ兄妹を代表して兄が報告する。セーヴァスの町の人々にあたり、町の噂から情報収集しているらしい。


「町外れの小さな東方聖教会に、マリスフィアの兵士たちが頻繁に出入りしているそうです。入り口には警備兵が立っていて、内部には誰も入れません。何があるのかは、教えてもらえませんでした」


「怪しいにもほどがあるわね」


「じゃあ、俺が行こうか!」


 俺の発言に、レイラはジト目でじっと俺を見つめ、軽くため息をつくと、音を立ててお粥のお代わりを俺の前にどんと置いた。


「王都からウエストグランまで、王国の軍隊と騎士団も派遣しました。数日後には到着するはずだけど、内戦は避けたいのよ」


「だから、俺が……」


「リドリー、休憩よ。貴方抜きでも大丈夫よね?」


「ああ、大丈夫だな」


 胸を張って答えると、レイラは一瞬だけ安堵の表情を浮かべ、すぐに冷静さを取り戻して指示を続けた。


「リドリーの感は、間違わないもの。東方聖教会の調査はモルガンに任せるわ。レジーナは別任務よ」


「え?」


 レジーナの顔に、思い切りがっかりした表情が浮かぶ。


「モルガンと一緒じゃなくてごめんね」


 悪戯少女は、くすっと微笑んだ。


お忙しい中、拙著をお読み頂きありがとうございます。もしよろしければ、ご評価をいただけると幸いです。又、ご感想をお待ちしております。

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