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出撃前日


 レイラの依頼は、マルスティア公爵家の偵察だ。近衛騎士団のことだが、彼女を守るのではなく、彼女の直属の特殊部隊らしい。


「簡単に、マリスティア公爵家の領内に入れないの」


「どうして?」


「マリスティア公爵家が、領地内の立ち入りを禁止してしまったの。人も物も」


「そんなこと許されるのか?」


「マリスティアは、四大公爵家の一つだから。昔から、大きな権力を持っているの」


「理由は何なんだ?」


「魔物発生による緊急対応だって。この大陸最大の魔物の森が、この王都から、マリスティア侯爵家に行く道の近くにあるわ。でも今までは、王国軍と共同で対処してきたの」


「本当なのか?」


「ええ、それは事実なの。偵察者を派遣したんだけど、森に魔物が多くて進めなかったって」


「早く対処しないとまずいな」


「そうなの。でも、マリスティア公爵家の当主に、王国の使者が会えないの。病気だって」


「じゃあ、どうにかして会ってくるよ」


 レイラは、くすりと笑った。


「おかしく事言ったか?」


「いいえ。共和国も内乱があちこちで起きてるらしいから、早く解決しないといけない。共和国へは、マリスティア経由の道しかないから。リドリーなら、早く解決してくれると思って」


「任せておけ。やることはわかった」俺は、さっそく移動を開始しようとした。


「待って、リドリー。何人か連れてって欲しいの」


 俺一人だと、また突撃してしまうことを考えて、彼女はその声をかけた。まあ、間違ってはいない。


「わかった。じゃあ、みんなの希望を聞こうか?」


「リドリーって、こういう時……」


「いや、個人のやる気が、大切だからな。やる気のない奴は、他の人間を危険に巻き込む」


 レイラは、セオに指示を出し、俺の騎士団員に招集をかけた。


「ナッシュ、ナナ、お前達には必ず来て欲しい。だが、無理にとは言わん」


 双子は、顔を見合わせてから少しだけ微笑み、「はい!」と声を揃えて返事をした。


「安心しろ。お前達は、デグよりは有能だ!」


 ナッシュは目を丸くして驚き、ナナもその言葉に満足そうに頷く。


「モルガンはどうだ? 交渉を任せたい」


「喜んで」モルガンは、やや冷静に答えた。背筋を伸ばし、視線を真剣にして「問題なく対応させていただきます」と付け加える。


「じゃあ、この布陣で行こう!」


「お待ち下さい。私は?」


 レジーナは、不満げに「いや、お前を連れていくと、レイラを守る者が手薄になる。二人とも指揮官がいなくなるのも……」


 それまで黙っていた彼女が、口を開いた。


「大丈夫よ、リドリー。お城からは出ないようにするわ」


「わかった。今回初めての仕事だ。戦力過剰な気もするが、それじゃあ、行くか」


 俺が告げると、レイラがほんの少しだけ頬を赤らめながら、俺の腕に軽く抱きついて、告げた。


「明日の早朝、出発よ」


 その仕草に、俺は少し驚きながらも、頷いた。


お忙しい中、拙著をお読み頂きありがとうございます。もしよろしければ、ご評価をいただけると幸いです。又、ご感想をお待ちしております。

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