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訓練所

 俺は攻撃を受け止めることすらしなかった。その双子は、寸止めするのがわかっていたからだ。


「ふん、こいつ、見かけ倒しだな! 兄者」


「そうだな、妹君」


瓜二つの双子は、どうやら兄妹らしい。


 俺を馬鹿にしているのは明らかだが、まあ別に構わない。


「こらこら、レイラ様の大切なお方だぞ! 口の聞き方に気をつけろ!」


 デグが双子を注意するが、内心俺は思った――お前も似たようなものだ、と。


「でも、反応できなかったぞ、デグ副ギルド長」


「おいおい、デグ如きが副ギルド長なのか……」


「はぁ、失礼だな。妹君」


「そうですね、兄者」


 その掛け合いがあまりに滑稽で、思わず俺は笑い声を上げた。


「副騎士団長候補を紹介したいのですが」


 セオが苛立ちを隠さず、前に出て促す。


「ああ、そうだな」


「こちらです」


 俺たちはセオの案内で廊下を進み始める。


 すると、双子が再び俺に攻撃を仕掛けてきた。今度は飛び道具だ。


 俺は仕方なく、軽く魔力を巡らせた。飛んできた武器は俺に触れることなく、その場に落ちる。


「なんだ! 物理防壁を持ってるぞ、兄者!」


「鎧に仕込んでるのかな、妹君」


「こら、デグ。不敬にも程があるぞ。これは暴力事件だ!」セオが怒りを露わにすると、双子は慌ててデグの後ろに隠れた。


「別に構わないよ、セオ。後でまとめて試験をするから、それまで大人しくしてろ」


 俺が双子を鋭く睨むと、ようやく静かになった。


 辿り着いたのは訓練所だ。


「おお、ここが訓練所か!」


 俺は声を上げ、周囲を見回す。訓練中の騎士団員たちが一斉にこちらを振り返った。


「すまんすまん、訓練を続けてくれ!」


「リドリー殿ではありませんか?」


「本当だ! 英雄様だ!」


 海の魔物退治で共に戦った騎士団員と王女近衛隊員たちが、次々に俺に声をかけてくる。


「げっ、寄るな!」


 こいつら、前に無理やり酒を飲ませてきた連中だ。

「リドリー様、私を近衛騎士団に!」


「何言ってんだ! 王女近衛隊がそのまま近衛騎士団になるだろ!」


 騎士団員たちは言い争いを始め、口々に俺に意見してくる。困り果てた俺は、セオを見た。


「リドリー様、みんなレイラ様を支えたいんですよ。でも……」


「軍に入った時点で支えてるだろう?」


「それは違います。俺だって……本当は近衛副騎士団長になりたいですよ……」


 セオは少し視線を伏せた。真面目な男だが、思うところがあるのだろう。彼には、国全体の防衛を任されているので、自分のやりたいことが出来ないのだろう。


 俺は大きく息を吐きつつ、彼を見た。


「はぁ、でもわかるよ。あんなに良い女はいないからな」


「さすが、リドリー様! まずは、副騎士団長候補を選びましょう」


「そうだな。それじゃあ、俺に一撃でも当てられたら団員に採用しよう」 俺は、鎧を脱ぎ、防具を外して、訓練所にあった木刀を手に持った。


「さあ、早い者勝ちだ。始めるぞ!」


お忙しい中、拙著をお読み頂きありがとうございます。もしよろしければ、ご評価をいただけると幸いです。又、ご感想をお待ちしております。

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