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嘘つきレイラ 時をかける魔女と幼馴染の物語  作者: 織部
嘆きのレイラ

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リドリーの父

レイラ視点。 レイラの憂鬱をこちらにまとめました。既読の方すいません。

シシルナ島を傘下に収めたい理由は二つあった。


 一つは、この島のダンジョンや森に巣食う魔物が、スタンピードの起点となるからだ。

 

もう一つは、海賊船を擁するこの島の海軍力である。


 物資や人員の移動において、海路が持つ優位性は圧倒的だった。


 だが、これまでのループで、この島が一度でも王国に膝を屈したことはない。それには理由がある。


 今回は、シシルナ島への侵攻を諦め、王国に戻る道を選んだ。無駄な戦いは避けるべきだと判断したからだ。秘策はある。


 代わりに、これまで手紙で指示していた仕事を、直接現場で伝えるようになった。

 

そしてまた一年が過ぎ、私も彼も17歳になろうとしていた。


 彼への誕生日プレゼントとして贈った魔弓は、彼の行動範囲を広げた。だが、それに比例して危険も増してしまった。


 もっと良い贈り物を探そうと、武器庫を物色していると、国王が独りでやってきた。


 その顔には陰りがあり、体調が優れない様子だ。何か伝えたいことがあるのか、こちらを見ていた。


「そこにあるものは全て、お前にやろう」


 目の前には、高性能の鎧、長剣、盾が揃っていた。


「実はな、それらはすべてリドリーの父から預かったものだ」


「え?」


「お前と同じで、魔力も武力も無いから必要ないと言われた。いずれ現れる者に渡してほしいと託されたのだ。リドリーはその者ではないのか?」


「いいえ」

 

 私は彼を戦いに巻き込むつもりは無い。送り主を言い当てられ、内心動揺したが、平静を装った。


「まあ、本来の持ち主に返すだけだ。持っていけ」


 この機会を逃すまいと、私は意を決して質問を投げた。


「ところで、彼の父さんはどうして亡くなったんですか?」


「あいつは、何者かと一人で戦い、命を落とした。だが、亡くなる間際、こう言ったそうだ。『これが正解だ。やり直しはもうしない。後のことは頼む』と」


 その一言に、私は悟った。彼の父は、悪魔との一騎打ちの末に命を落としたのだと。


 冬が訪れると、国王の体調は急速に悪化した。全てを押し流す時の波に飲み込まれ、運命の変化は早く訪れていた。


 私は、この瞬間を逃すまいと第一王女アエラを呼び出した。



お忙しい中、拙著をお読み頂きありがとうございます。もしよろしければ、ご評価をいただけると幸いです。又、ご感想をお待ちしております。

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