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宣言

レイラ視点。 レイラの憂鬱をこちらにまとめました。既読の方すいません。

王都にも、ちらちらと雪が降り出した。新年になった。


 彼女は窓から雪を見つめ、「彼のいる地は、氷雪の嵐だろうな」と遠くの地にいる彼に思いを馳せた。


「王女様、お時間です」


 執事から声がかかる。父である国王との二人だけの密談の時間だ。このような形で、国王と話すのは、七回のループで、初めてだった。今回は、進行が早いからだ。


「私は異世界転生者です」――王に告白した。しかし、彼は少しも驚かなかった。


「なぜ驚かないのですか?」


「レイラ、小さい時から言ってたじゃないか。それと、我が友リドリーの父親も、そうだった」


 初めて聞く名前だった。詳しく聞こうとしたが、答えは返ってこなかった。


「それと、お前の好きにするといい。お前には、知識もあるし、見えているんだろう?」


「はい。それではお願いが……」


 午後になり、新年の挨拶会が大々的に開かれた。


 整列している大臣や侯爵、属国にした帝国、そして姉のいる同盟国の大使たち。


「東の帝国は、さらに東へ。西の共和国は、さらに西へ。我が王国は、南の自由都市連合を傘下に収める戦いを始める」


 国王がそう宣言する。私の献策だと、みな気がついているはずだったが、誰もそれを口にはしなかった。


「さらに、王国憲法を改正する……また、各法令も……」


 絶対王政による権力の集中。既得権益の破壊。軍事力増強。


 きっとこう映るだろう――『独裁軍事国家』と。


 それでも構わない。私は献策を実現するために、動き出した。目まぐるしく時間が過ぎていく。


 春になった。「魔物が出没する季節」だ。


 彼のいる島には、特に強い魔物が現れる――ティオスにそう聞いていた。


「彼は無事だろうか?」

 彼が魔法をマスターしたと、老人からの手紙には書かれていた。


「魔法か……良かった」


 私が強ければ、敵をすべて倒せる。だが、過去のループの中で何度挑んでも、私に魔力はなかった。体質らしいが、彼にはあるのか……


 さらに手紙には、「彼は女には興味がないらしい」とも書かれていた。


「あっそぅ」


 手紙をしまいながら、なぜか微笑みがこぼれた。

お忙しい中、拙著をお読み頂きありがとうございます。もしよろしければ、ご評価をいただけると幸いです。又、ご感想をお待ちしております。

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