流刑地
レイラ視点。 レイラの憂鬱をこちらにまとめました。既読の方すいません。
彼が、最果ての流刑地に送られる道中、私たちは十五歳になった。それは、大人と認められる年齢だ。
「彼は今頃、長い旅の途中だろう」
そう思うと、胸の奥に悲しみがじわりと広がった。
流刑執行人の老人、ティオスには特別な指示を与えている。かつて、疫病から孫を救ったことで、彼は私の信奉者の一人となった。
うまく誕生日プレゼントを渡してくれるといいのだけれど。
ティオスに旅立つ前、我が王国に伝わる宝剣を手渡した。
彼は氷の島に彼を連れて行き、その後は近くの街に住むという。
「妻の眠る場所ですから。しかし、あの島はとても美しく、魔物も強いですぞ」
「島の街でもいいのよ。そうしましょう」私は慌てて提案した。
「大丈夫ですよ。私が毎週、食糧と必要な道具を持って様子を見に行きます。伝書鳥を使って報告も致しますよ」
「危ないと思ったら、ティオスを必ず助けてね」私は思わず彼の手を取った。
老人は一瞬目を見開き、静かに言った。
「命に代えても必ず」と。
しばらくして、「氷の島に着いた」との連絡があった。氷の島は、雪と氷に覆われる静かな場所。
彼はその地で剣の練習と読書に励み、老人とともに武術の鍛錬をしているという。
私は、最期の日までにやるべきことを始めていた。
まずは国王に上申し、飢饉が発生している帝国を属国化した。
次に、第一王子を失脚させることだ。彼こそが黒幕。王位継承者でありながら、兄弟姉妹すら手にかけ、罪なき民衆に圧政を敷くその姿を見て、私は「手を下さなければならない」と思い定めた。
しかし、彼は大軍に奢り、敵国の寡兵に不意を突かれて戦死した。焦りもあったのだろう。
これは時の流れのうねりだ。飲み込まれるわけにはいかない。他人事ではないのだから。
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