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嘘つきレイラ 時をかける魔女と幼馴染の物語  作者: 織部
サクナヒメ・ノクスフォードのリベリオン

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金のブレスレットと密談


「ふうん。オダニーだけずるい! 見せて!」

 エンジは笑いながら言った。

「エンジ、遊びじゃないんだ! これは、大王様から直々のご命令なんだ!」

「オダニーったら、スサノオ様のこととなると真剣なんだから……」


「俺はいつだって本気だ!」

 二人のやりとりは、見ていて微笑ましい。

「エンジさんには、サクナから、これを渡してと頼まれてた」

 レオナールは、光沢のある臙脂色の布袋を丁寧に彼女に差し出した。


 その手触りや重みから、高級な布であることがひと目でわかる。

「え! え! どうして、私?」

「はい。サクナは知ってましたよ、エンジさんのこと。気高い人だと。近いうちに遊びに行くから、仲良くして欲しいって」

 エンジは頬を赤くして下を向いた。


「開けて見て下さい」

 彼女は恐る恐る布袋を開き、取り出した。

 小さな美しい花柄の金のブレスレットが入っていた。

「可愛い!」

「サクナの手作りですよ!」

「手作りなんですか? とても綺麗! オダニーつけて!」


 彼女は興奮しながら、ブレスレットを袋に戻してオダニに手渡した。

「こう言うの苦手なんだよ」

 だが、オダニは言葉とは裏腹に器用に、エンジの腕につけた。


「ありがと! じゃ、お茶にしましょう!」

 つけられた腕輪をうっとりと眺めながら、歩き出した。


 内務省の応接室。エンジの城だ。

 彼女が帰るとメイドがお茶を出して下がった。密談の開始だ。


「そういうことね。オダニはどう思う?」

「ああ、賛成だな。しかし、奴らは反対するだろうな」

「そう。じゃあいつもの引き分けね……」

 農政改革について、レオナールの説得は上手くいった。これで、賛成者は自分を入れて三人。きっと反対は、体制派の三人。


「同数ならば、国王の判断になるだろう?」

「そうなんだが、本当に、大王様に上がっているのかはわからん。奴ら、誤魔化して、廃案に持ち込む」

「そんなことはさせないよ!」

 レオナールは、笑って言った。


「そうだな。レオ執政官なら、俺たちと違ってしつこそうだしな!」

「それしか、優れたものが無いからな」

「じゃあ、引越しの準備をしないとな。少しだけ時間をもらうよ」


 オダニは、辞令を受ける前に動こうとしている。

「正式に辞令が出てからゆっくり来れれば……」

「何を言ってるんだ。その間に貴殿に何かあったら、まずいじゃないか!」

 エンジは寂しそうな顔をしたが、何かを閃いたようだ。


「じゃあ、オダニ、準備の手伝いに行ってあげる。レオナール、明日ね!」

「おい、話の途中だぞ!」

「レオナール執政官も忙しいのよ。オダニ、最初は、ホテル暮らしだけど、最低限のものは揃えないとね!」


 エンジはオダニの手を引っ張って部屋を出て行った。

「いや、内務局の仕事とか、エンジに色々聞きたかったのに」

レオナールは、諦めて、内務局の職員を代わりに呼び出した。


お忙しい中、拙著をお読み頂きありがとうございます。もしよろしければ、ご評価をいただけると幸いです。又、ご感想をお待ちしております。

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