表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
嘘つきレイラ 時をかける魔女と幼馴染の物語  作者: 織部
サクナヒメ・ノクスフォードのリベリオン

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

199/251

ミナグロスの喫茶店

「こういう奴だったのか……」

 イズモは、レオナールの行動力と発言に驚いていた。大人しい優男だと思っていたからだ。


「それでは、農政局の購入品の件は、どうにかしましょう」

 グランは、恥ずかしげもなく口にした。

 見つかった隠していた予備費のこと、まるで最初から拠出するような口ぶりだ。


 呆れる。これが官僚というやつだろう。

「ありがとうございます!」

 レオナールは、その態度を気にしている様子も無く、満面の笑みだ。


「ですが、農政システムの改革については、執政官会議の結果次第ですから。賛成者が多数になりますかね?」

「もちろん、みんな賛成してくれますよ!」

「おいおい、俺とお前以外に、最低一人の賛成が必要だぞ! 可決するなら、二人だ」


 到底、賛成者が出るとは思えない。エンジ子爵の意見は、今までは、オダニ男爵に従っていただけだ。本人には、考えがないように思える。


 もちろん、現行の体制派の二人と侯爵は反対するような気がする。

「働きかけをしますから、大丈夫ですよ。それで、貸して欲しい資料なのですが……」

 レオナールは、グランの嫌がる顔も、気にした様子が無く、大量の資料を俺の馬車に運ばせた。


「後で、取りに来させたらいいだろう?」

 グランの発言に、彼は首を振った。

 財務局を出るなり、二人は足並みを外した。


「たいしたことじゃないが、ここにも部下がいるんだ。ちょっと寄っていくよ」

 グランは肩をすくめて内務局の分所へ。

 レオナールは「俺は別の用事がある」と手をひらひらさせ、そのまま背を向けた。



 ミナグロス城を出ると、指定された場所にレオナールは急いだ。

 ある男と密会をする予定なのだ。待ち合わせの時間から、かなり遅れている。


「遅くなるかも、と伝言はしておいたが……」

 ミナグロスの街は、古い文化の香りと、新しい店舗が調和した綺麗な街だ。

 時代のある町屋を改装した、花壇の新しい喫茶店に目を止める。


「ここだ」

 だが、店には、支度中の看板がかかっていた。

 気にせず、店内に入る。


「いらっしゃい、何にしますか?」

 いきなり若い女性店員に声をかけられた。カウンタには、中年の男。マスターだろうか。コーヒーの香ばしい匂いが漂う。


「いえ、カルマさんと待ち合わせでして……」

 だが、テーブルの席を引いて、注文を待つように、促してくる店員。

「それでは、コーヒーを」


 レオナールが仕方なく、注文をする。店員はその言葉を聞くと嬉しそうに微笑んで、マスターに伝えた。

 マスターは手慣れた様子で、サイフォンを使い、コーヒーを淹れる。


「お待たせしました。どうぞ」女性店員がテーブルにコーヒーを置いた。

 マスターが向かいの席に腰を下ろした。


「美味しいです。カルマさん」

 レオナールが口を開いた。 

 にやりと、マスターが微笑んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ