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嘘つきレイラ 時をかける魔女と幼馴染の物語  作者: 織部
嘆きのレイラ

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177/251

セオリツヒメ 前


 モルガンとレジーナの間に、一人の女の子が生まれた。名前はセオリツヒメ。

 名付け親はもちろん、レイラだ。スサノオの四歳年下になる。

 モルガン夫妻は、短い夏の間だけ、氷雪島にある別邸で過ごしている。


 ……とはいえ、その別邸も俺の家と同じような小屋で、隣にちょっと頑丈な建物を建てただけだ。

 俺たちが目を離すと、スサノオはドラゴンと一緒に勝手にモルガン家に入り、籠に入ったセツリツヒメを見に行こうとする。


「スサノオさま、セツリツは、おもちゃじゃありません!」

 くっしーの時と同じように背負って、氷雪島に散歩に行こうとして、レジーナに止められていた。

 あっという間に成長したクシナダヒメは、エルダにもらった縮小のリングで小さくなり、スサノオの肩に乗っている。


 冬になり、モルガン夫妻は北方領の本邸へ戻った。スサノオは寂しがったが、大人しくレイラの教育を受けて過ごしていた。

 そして、次の夏。待ちに待ったセオリツヒメの再訪とともに、スサノオは勉強も練習もそっちのけでモルガンの家に入り浸るようになる。


 俺が怒ると、「はい、やります」と返事はするが、目を離すとすぐに姿がない。

 セオリツヒメが家の中を歩き始めると、転びそうになるたび、スサノオが身を投げ出して下敷きになっていた。

「スノウ、スノウ」

 スサノオの顔を見て、彼女はそう呼び、微笑んだ。

「スサノオだ。何かあったら俺を呼べ!」

 その姿を見て、思わず笑ってしまった。まるで、俺がレイラに言っていたようだった。


 その年の冬。レイラが王都へ戻ることになった。二人目を妊娠したからだ。俺も一緒に行こうか迷ったが――そろそろ親離れを促す時期でもある。

 六歳になったら大森林の魔女に預ける約束だった。

「俺とスサノオで過ごすよ。クシナダヒメもいるしな!」

 ティアには、レイラの護衛として王都へ同行してもらった。

 そんなある真夜中。



 嵐のような雪が降り注ぐ中、スサノオが忽然と姿を消した。


お忙しい中、拙著をお読み頂きありがとうございます。もしよろしければ、ご評価をいただけると幸いです。又、ご感想をお待ちしております。

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