表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
嘘つきレイラ 時をかける魔女と幼馴染の物語  作者: 織部
嘆きのレイラ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

172/251

最後の戦い 決着

形勢は逆転した。


 俺はレイラを背負いながら、いや――情けないが、生まれていない我が子から、わずかずつ魔力を分け与えられ、温存している。


 逃げようと浮遊する魔術師を、ノクスが呪術で撃ち落とした。魔術師は死者たちの餌食となる。


「魔術師若きが、わしと勝負したいのか」

「魔女と手を組むとは、卑怯な奴らめ!」


 ダークウエルは、部下たちを囮に使い、自分だけ逃げ出した。

「決着をつけてくる」

「そうじゃな。わしは王国宰相レイラ殿と、報奨と西方教会の支援について話があるからのう」


 レイラは苦笑した。

「現金な魔女様だな」

 俺は大魔術師を追って、地上へ出る。


 そこは、晴れた日の氷雪島そのものだった。

 悠々と氷雪のドラゴンが空を舞い、島のすべてが息を潜め、音ひとつない静寂に包まれていた。


 ダークウエルは森を抜け、凍りついた湖の上空へと浮かび上がろうとする。

 ドラゴンは人間に干渉しない。だが――

「ティア!」


 俺の叫びに応え、ドラゴンが大きく羽ばたく。

 その風圧で、大魔術師は吹き飛ばされ、氷上に叩きつけられた。転がるように起き上がった彼の目に、砕けたヤワタノオロチの亡骸が映る。


 ティアは悪戯が成功したかのように――いや、威信を示すかのように、咆哮をあげた。

「くそが……!」


 ダークウエルの顔が青ざめる。懐から転がり落ちた魔力玉が氷上で割れ、魔力が四散していく。震える指で拾おうとするが、もう手遅れだった。

 俺は、静かに氷上に降り立った。


「――終わりだ」

 氷雪島での修行を思い出す。我が子にもらった魔力で、大魔術師とその魔法を、一刀のもとに断った。


 斬られた彼は信じられぬように目を見開き、凍てついた湖面に崩れ落ちる。全てが、終わった。

 湖の対岸では、王国や帝国の兵、アレクセイやセオたちがその様子を見守っている。島ではモルガンたちが。


 そして――姿を隠していた多くの魔女たちも、静かに最後の一瞬を見届けていた。


 ティアが静かに俺の隣に降り立つ。鼻息を鳴らしながら、満足げに空を見上げた。

 遠く、レイラが手を振っていた。

 静かな湖に、歓声が響き渡った。


お忙しい中、拙著をお読み頂きありがとうございます。もしよろしければ、ご評価をいただけると幸いです。又、ご感想をお待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ