表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
嘘つきレイラ 時をかける魔女と幼馴染の物語  作者: 織部
嘆きのレイラ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

170/251

最後の戦い 魔力

 剣を構える。

 魔力が唸り、空気が震える。圧倒的な力がこちらに押し寄せる。


 火球が、雷が、氷刃が一斉に迫る。

 今までとは桁違いの威力。殺す気で放たれた全力の魔法が、容赦なく襲いかかってくる。


 けれど、俺は動じない。

 すぐ背後に、レイラの息遣いがある。

 その小さな存在が、俺のすべて――命より重いものだ。


「――来い。全部、受け止めてやるよッ!!」

 剣を振り抜いた瞬間、烈風が爆ぜ、空気が裂けた。

 光と音と魔力の奔流の中、俺は――ただ、立ち塞がった。


 魔術師たちから放たれる魔法を受けながら、剣で撃ち返す。だが、敵に与える損害は僅かだ。敵のかぶっている黒いマントの魔術防御が強力なのだ。やはり直接に剣で斬らなければ。


「くそ、これじゃあきりがないな」

 それは、敵も同じはずだ。だが、焦った方が負けだろう。

 俺たちを直接狙う攻撃の他に、いくつかの魔法が天井へ逸れているのに気がついた。

「まさか、天井の崩落を狙っているのか?」生き埋めにするつもりか?

「この地下遺跡を、お前たちの終焉の地として贈ってやろう」


 ダークウエルの皮肉に満ちた声が、フードの奥から響いてくる。

 あっという間に、俺の周りには、天井から落ちてきた岩場が積み上がり、包囲される。

 そして、その岩場の上には、砂漠との戦闘と同じような檻が出現した。

 俺たちを狙っていた魔法は止み、代わりに魔法の檻の数が増えていく。


 一重、二重、三重……。

 俺はその檻を斬り、紛失させるが、あっという間に再生される。

「ははは、魔力が無限なのはお前だけだと思ったのか!」

 奴は懐から、膨大な魔力の詰まった玉を取り出した。

「なんだそれは?」

「かなり減ってしまったがな。オロチを育てる中で完成した魔力玉だよ。素晴らしい研究の成果だろう」


 自慢げに、魔力玉を見つめて、奴は口元を歪める。

 だから、モルガンたちとの激しい戦闘を経ても、まだ魔力が尽きないのか……。


「種明かしはお終いだ。さすがのお前も、魔力がほとんど残っていないだろう。やれ!」


 ダークウエルが新たな指示を出すと、薬玉が次々に投げ込まれ、檻の外側に膜のような檻が形成されていく。


 薬玉の正体は、ノクスを眠らせた麻痺毒か、あるいは睡眠毒の類か? いずれにせよ危険なものだ。

 俺は剣で、見えない煙を吹き飛ばしている。だが、膜の檻が拡散を妨げているようで、毒が檻の内にこもってしまった。


「リド……っ」

 レイラの顔が青ざめ、がくりと膝をつく。目が虚ろで、手が震えている。


 薬玉の毒は、指輪では防げない。敵は、俺たちの装備を熟知しているのだ。

 俺は慌ててヒールをかけようとしたが――出ない。

 手が震え、喉が渇く。

 ……魔力が、ない。空だ。完全に、尽きた。


お忙しい中、拙著をお読み頂きありがとうございます。もしよろしければ、ご評価をいただけると幸いです。又、ご感想をお待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ