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最後の戦い 1

 孤島の高台に立つ俺の耳を、爆音が切り裂いた。地鳴りのような衝撃が全身を貫く。視線を向けると、黒煙が空を突き上げていた。


 その先で、モルガンとレジーナが魔術師と死闘を繰り広げている。

魔術師は宙に浮かんでいたが、ふらりと傾き、力尽きたように地に降り立つ。


 その一瞬を逃さず、モルガンが地を蹴った。背後からレジーナの魔弾が飛ぶ中、彼は剣を構え、全力で駆け抜ける。


「――罠だッ!」

 魔術師は、まるで待っていたかのように跳躍し、再び空へと舞い上がる。手のひらに光が収束し、空中に幾重もの魔法陣が咲き乱れる。


 閃光が放たれた。狙いは――レジーナ。

 最初から彼女が標的だった。モルガンは、全身でその危険を感じ、叫び声と共に踵を返す。


「間に合わないッ!」

 地を蹴り、飛び、伸ばした手が届くか――

 だが、四方から魔法が降り注いだ。光の矢は何物も切り裂き、穿つ。瞬時に放たれた魔法の雨が、二人を容赦なく撃ち抜こうと迫る。


 その瞬間、何もかもが静止したかのように感じた。モルガンとレジーナの姿が倒れ込み、動かなくなった。

 魔術師はそのまま、戦場を後にした。とどめを刺すこともなく、ただ背を向け、急いでその場を去っていった。


「やばい……やばいって……!」

「お願い、生きてて……!」


 ナッシュ兄妹が声を震わせて呟く。だが、俺は見逃さなかった。魔法が命中する瞬間、二人を包んだ薄い膜の魔法防御が発動しているのを。


――それは、俺がレイラに渡した魔道具の指輪と同じ効果だ。


 その魔法の無効化により、その矢は一筋も二人には届かなかった。レイラが氷雪の魔女と交渉し、準備したものだろう。


「大丈夫だ。ナッシュ、ナナ。救助に向かえ! 俺はノクスとレイラを探す」

俺はすぐに二人に任せ、急いで彼女の元へと駆け出す。


「了解!」

 暗殺者兄妹はすでに走り出しており、風を切りながら、速やかに返事が返ってきた。


「場所がわかるのか?」ノクスが、俺の背におぶさりながら尋ねる。

「もちろん。指輪でだいたいの位置がわかるからな」それは、俺が渡した指輪のもう一つの機能だ。


 しばらく進んだ先に、古代遺跡の入り口が見つかった。だが、そこには明らかに広範囲で破壊された跡があった。


「魔術師の気配はないが、魔法の跡が残っている。器用な使い方だ」ノクスは感心しきりだ。


「敵を甘く見ていたようだ。先を越されたかもしれん」


 すぐに地下への入り口が破壊された扉を発見した。


 俺は、レイラの自分を囮にしたがる悪い癖は治してもらう必要があるな。そう考えながら、地下へと飛び込んでいく。


お忙しい中、拙著をお読み頂きありがとうございます。もしよろしければ、ご評価をいただけると幸いです。又、ご感想をお待ちしております。

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