別荘地 番外編
嘘つきレイラ番外編です。
完結していますが、多くの方に、ご覧いただき、感謝の気持ちをこめて、前後編、二話投稿します。
「どこに行きたい?」
俺はどこに行けばいいのか、わからず困った。
「じゃあ、氷の島」彼女が答えた。
「でも、その服装じゃ厳しいな」
彼女の悪魔対策のマントもドレスも、ぼろぼろになっていた。
彼女は少し考え込んでから、やがて言った。
「別荘に行きましょう。誰もいないし」
「わかった。ティア、こっちだ」
王都から少し離れた、海辺に近い場所。
「子供の頃、よく来たね」
「そうだな」
別荘のある森に降り立つ。
「ティア、後で食事持ってくるよ」
彼女とティアは、いつの間にか仲良くなっていた。
「少し、海でも見に行こうか」
二人で手を繋いで、散歩していた、あの頃。俺はなんとか、彼女の手を取ったが、今は恥ずかしくて顔を見れない。
海の向こうには、太陽が最後の残光を残していた。
海面が泡立ち、魔物の大群が現れた。海の魔物の巣が、海底にあった。
「まずい、俺一人じゃ、全ての魔物を相手にできない」
異変に気がついたティアが、空から飛んできた。
周囲の魔物を次々に蹴散らす。
「レイラを別荘に!」
「リドリー!」
「これくらい、大したことない」俺は笑いながら、魔力を全身に回した。
俺の周りに、魔物の死骸が積み上がるが、上陸した魔物たちは、まだ止まらない。
「一緒に、戦わせてください!」
振り向くと、騎士団の精鋭たちが現れた。
「なぜ?」
「ドラゴンを追って来たんです」
別荘の彼女の元に、王女近衛隊が到着し、軍旗があがっている。
ティアもまた、海に向かって飛行してくる。
「よし、全滅させるぞ!」
「リドリーより、魔物を倒したら、姫様は返してもらうぞ!」
「何だと、そんなの余裕だ」俺は、笑いながら近くの魔物を片付けていく。
「俺たち全員とリドリーとの勝負だぞ! 騎士団の意地を見せろ!」
俺はそんな約束はしていない…
必死だ。さっき倒した悪魔よりも。
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レイラの憂鬱が、レイラ視点(答え合わせ)です。そちらも、ご覧下さい。




