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嘘つきレイラ 時をかける魔女と幼馴染の物語  作者: 織部
嘆きのレイラ

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襲撃

昨日投稿分です。前話が、抜けておりました。又、本日 20時にもう1話投稿致します。すいませんでした。

 凱旋パレードが終わり、城に入ろうとしたその瞬間——城門の上から、アレクセイ皇帝と彼女の馬車めがけて爆弾が投下された。


 一瞬で状況を把握し、俺は即座に剣を抜く。魔力を纏わせ、落ちてくる爆弾を軽く弾き飛ばした。その瞬間、空中で爆弾が次々に爆発し、耳をつんざくような轟音が鳴り響く。


 アレクセイの馬車には対魔法防御が施されていると聞いていたし、頑丈に作られているように見える。しかし、物理攻撃である爆弾が至近距離で直撃すれば、その耐久力も限界を迎える。


 ドンッ! バキッ! ドシャッ!

 馬車の天井が吹き飛び、次の瞬間、馬車は横転した。倒れた車両の中で、アレクセイ皇帝が身動きできずに転がっている。すぐに壮年の軍人が飛び出し、皇帝のもとへ駆け寄る。


「アレクセイ!」

 必死の声が響く。彼は血を流す皇帝の体を支え、懸命に起こそうとする。アレクセイは顔をしかめながらも、軍人に助け起こされると、自ら立ち上がった。そして、無事を知らせるように片手を挙げる。


 爆発音が収まると、警備兵たちが一斉に動き出した。城門へと走り、犯人を捕らえようとする。


「くそっ、敵はどこだ! 城内か!」


 慌ただしい怒声が飛び交う。しかし、俺の部下であるモルガンたちは城内へ入れず、周囲は厳重な警戒態勢に包まれている。緊張感が場を支配するなか、俺はその様子を一瞥した。


「リドリー、何があったの?」レイラが静かに問いかける。

「城内からの襲撃だ。アレクセイが負傷しているが軽症だろう」

 俺は淡々と答える。


「そう……」

 レイラは考え込むように目を伏せた。その肩に留まったティアは、まるで他人事のように欠伸をする。

「呑気なものだな……。でも、殺意がなかったってことか?  それに、死者もいない」


 俺は襲撃の違和感を覚えた。あれだけ派手に仕掛けながら、命を落とした者が一人もいないのは不自然だ。


 レイラはゆっくりと頷いた。その瞳は鋭く、冷静に状況を見極めている。


 俺たちは無言のまま城内へと向かう。向かう先はレイラの部屋だ。警備兵たちの慌ただしい足音が響く中、俺が先導し、レイラが後に続いた。


「皇帝は、重症だ」皇帝の侍従から、レイラに伝えられた。


「いや、そんなふうには見えなかったがな。いや、すまん」俺が思わず声を上げると、その侍従は不快感を露わにした。


「そうですか? 我が騎士団長のリドリーは、王国でも極めて優秀な癒しの手です。私も一緒に行って、皇帝の治癒の手伝いをさせて頂きたいのですが」


「それには及びません、アレクセイ皇帝殿下にも、優秀な癒し手がおりますので」にべもなく、確認もせず答えた。


「危険ですので、しばらくは外出はお控え頂きます」俺達は、その部屋に軟禁状態になった。


お忙しい中、拙著をお読み頂きありがとうございます。もしよろしければ、ご評価をいただけると幸いです。又、ご感想をお待ちしております。

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