日常 (釣り)
快星が来る前
「家を少し早く出過ぎたな。でも遅刻するよりかはマシか」
集合時間の25分前に着くと既に篠原さんがいた。いつから待っているのだろうか
「おはよう、篠原さん。今日は来てくれてありがとう」
「いいえ私こそ誘ってくれてありがとう」
快星と最近、親しくしていたみたいだが俺はあまり接点がない。この場で2人きりはお互い気まづいな…篠原さんはあまり話すのが得意そうではないしこちらから話を振るか。
「快星とはいつから仲良くなったんだ?」
ありきたりの話でいい。わかっていても知らないフリこれがコミュニケーションの基礎だ。
「…日高君と仲良くなったのは体育祭で話した時からよ…」
嘘だな、いや事実か…
篠原さんが過去のちょっとしたことなんて覚えているとも思えないし、そもそも仲良くなるどころかお互いのことも知らないはずだ。
じゃあ体育祭の件は俺が勝手に勘違いして勝手にキレてただけか。悪いことしたかもな、
「大丈夫?真剣な顔して黙ってしまったけど…」
「あー、ごめん。そっか二人三脚とかでも一緒だったしね。」
「そうね、二人三脚…最初は良かったけど…」
咄嗟に答えたから選択肢をミスったな。快星が足くじいて、低い順位になったんだっけ…少し表情が暗くなってしまった気がする。
「体育祭と言えば篠原さん足速いよね。100m走ダントツの1位だったじゃん。勉強もできて運動もできるとか尊敬するよ」
「体を動かすのは好きだから。神田くんは得意なことはなに?」
勉強に触れなかったってことはそこまで好きじゃないかもな。俺に話を振ってくれたの嬉しいが得意なことなんだ…快星に比べれば得意だが篠原さんと比べたらそこまでだ…中学の時にやっていたサッカーにするか。リフティングなどの初心者にマウントが取れる系はそこそこ自信があるしこれだな。
「中学の時、サッカーやってたしサッカーかなぁ」
「どうして高校ではやめたの?」
やめた理由…まぁ色々あったが1番は
「高校では遊びたかったからさ、部活とかは入らないことにしたんだ。そっちは部活とか入らなくてよかったの?どこに行っても歓迎されそうなのに」
「私は勉強しないとだから…」
表情がまた暗くなったな。おそらく勉強は禁句だ。さっき俺に話を振ったのは勉強から逸らすためだったか…家庭事情で勉強させらているのか?いやこれ以上この話題を深堀するのは良くないな…
まずいこれ以上黙ると相手に不信感を与えてしまう。なにか言え俺!頭を回せ
「好きな食べ物なに?」
咄嗟すぎる。小学生の質問ランキング1位みたいな質問だ。まずい話を一気に変えすぎた。篠原さんが暗い表情から首を傾げて不思議な表情になっている。
「ソフトクリーム?」
ハテナがついてる気がするが会話は続けらそうだ。ここから話を広げるか
「好きな味とかある?バニラとかチョコとか」
悩んでいる。そこまで真剣に考えられるとは…珍しい味が来そうだなマスカットとか巨峰とかか?
「グレープフルーツかな」
「あーグレープフルーツね…ん?珍しいね」
珍しすぎだろ…食べたことも見たこともないわ。
「どんな味がするの?」
この発言は後悔することになった。ソフトクリームの下にかき氷がどうたらあたりは聞いてたけどその後は覚えていない。ただひたすら暑く語られた。篠原さんこんなよく喋る子だったのか…
その後もしばらく雑談をしていると快星が来た。
今現在
「あんたは篠原さんと美乃里どっちが好きなの」
「え?」真奈は何言ってんだ。どっちもただの友達だし
「いや別に好きとかはないよ」
「はぁ、そういうとこほんと嫌い。あんたのどこがいいのかしら?」
「何言ってんだ?」
「もういいわよ、今度美乃里と二人で遊んであげなよ」
「美乃里は拓真と遊びたいだろ、俺は別にいいや」
真奈どうしたんだ…俺を睨みつけた後に床を強く何度も蹴ってる。
「なぁ、篠原がなんで1年の時誰とも喋らなかったと思う?」
「喋るのが苦手なんでしょ。別に篠原さん以外にも人と余り関わらない人いたでしょ」
「でも話してみたらさ、意外とおしゃべりって言うか面白いやつだったぜ?」
「そういう人もいるでしょ」
まぁ確かにそうか…もっと早く仲良くなれた気がするんだけどな
「話戻るけど、お前引きすぎな拓真にもうちょいなんかしろよ。」
確信をつかれたような顔をして少しだまる。その後モジモジしだす。
「一回引いたら話しかけるタイミングなくなっちゃった」テヘって顔でそんなことを言う
「なら今日拓真とペア組ませたのにもっと早く言えよ」
「いきなり2人きりはきついでしょ。軽くアップしてからよ」
アップねぇ、美乃里に騙されなきゃ卒業まで何も起こらなかったのではないか…
「このあと四人でご飯行こうと思ってたけど、二人で行きたい?」
小さくこくりと頷いたような気がする。
「拓真には4人で行くって言っといて土壇場で俺と篠原は抜けるよ」
「…アリガトウ」
「なんか言った?」
「うるさい!糸引いてるわよ」
「きたきたきたー」
釣り上げるとちっこいのが付いてた…
それからしばらくすると放送がかかった。昼ごはんのお弁当が配られるらしい...3時までだからあと3時間か…結構長いな…
「そういえば椎名は最近どうなんだ?」
「蝶ちゃんはまぁぼちぼち。テストの結果見たけどあんたの一個うえね…」
「最近全然会ってないからなぁ」
あっちも恐らく退学の危機に陥っているのであろう。ざまぁみろ。あ、俺もか
「補習で会うでしょ。どうせ。この学年上二人と下二人は飛び抜けてるからね」
「優秀な学年だな」
「いい感じに平均になってるわね…優秀ではないような…」
それからしばらく雑談をしながら釣りをし3時間が経過した。