モヤモヤと事の経緯
どうしよう。
それから俺は、今日起きた出来事をできる限り伝えた。気付いたら2時間も恋敵と話をしていた。
悔しいことに、祐介は聞き上手だった。
「はぁ、やっぱり祐介ってモテるよなぁ。」
「……それはどういう意図で言ってる?」
「どういう意図ってそりゃ」
西原さんと付き合えるわけだわ。今は言ってもしょうがないし、こいつに嫉妬したって何にもならない。
「別にどういう意図でもいいだろ。」
「……友人としての客観的なアドバイスだ。お前は今生物学上女なんだから、あんまりビデオ通話で真夜中に思わせぶりなことをするなよ」
「はぁ?」
何を言っているんだこいつ。
「じゃあお前、男である……、お、男だった一友人を性的な目で見てしまう変態だってことか?」
「好きなように解釈してくれ」
悲報、親友に異性として扱われる。なんだかなぁ。あんないい彼女がいるのに、俺にも唾をつけようっていうのか?親友の浅ましさを見てしまったような気がして、モヤモヤした。
「あー、ちょ、ちょっと充電無くなりそうだし切るわ」
「おけ。また今度な」
一通り悶えた後で、時計を見ると十二時を回っていた。もう明日に備えて寝なければ。
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DNA鑑定は、戸籍登録をするのであれば負担するという申し出があったが、病院側の意向で、すでに無料だったので断っておいた。
市役所は問題なかったが、学校が問題だった。この大SNS時代に、子供たちが情報を秘匿する行為は不可能に近い。完璧に性転換して、子宮まで手に入れた男となっては、後の人生にどう影響するか全くわからない。学校側としては、転校してほしそうだったが、俺は転校したくなかった。
好きな人に告白したいし、ただでさえ友人が少ない人生なんだ。転校なんてしたらハブられて不登校になるに決まっている。
居心地の悪そうな母の前で、俺は自分の社交性の低さを校長先生に猛アピールし、何とか転校も引っ越しも避けることができた。
あれ、勝ったはずなのに涙が。
評価、ブックマーク、感想をもし頂けるなら、嬉しいです。あと誉め言葉ですね。誉め言葉はなんぼあってもええですからね。
私のキモさがこれ以上露呈しないように、今後後書きはテンプレートを用います。