亀と蛇と羊 「北の玄武」
ベリックにとっての初恋の話は、この作品の中では重要である。主人公ベリックという男の人格を形成する始まりとなるからである。ベリックは自分への自信がなかった。自分を信じると書いて自信と読むが、ベリックは自分を信じれなかったのだろう。その自信をルパンとルパン3世に援助してもらっていたのである。
ベリックは、恋に落ち、好きという感情が自分の中で生まれていく中で、理論的に考えるようにもなった。
自分は、女性のどこに惚れ、何が好きなのかということ。そして、ある致命的な欠点に気づいてしまう。初恋の女性のことを何も知らないということである。
知っているのは、名前とクラスの組ぐらいだったということである。これは恋なのか、好きという感情なのかという問いが頭をよぎった。なぜ恋に落ちたのか理由を説明していく。すべての始まりは、放課後の体育館、その女性はスポーツ部だった。名前も知らない女性の跳躍する姿を見て、一目惚れしてしまった。
まるで、はやぶさのような速さで、白鳥のような身のこなしだった。それだけだった。
ライバル出現の話に移っていくが、初恋の女性が付き合うこととなった男性についての人物像について説明していく。スネークもスポーツ部に所属し、身長も高く、数学分野が得意であり、狡猾な部分も露見される一面もあった。そして、絵に描いたような高校生デビュー失敗例のような男だった。
とにかくベリックは、嫌いなイメージを持っていた。
だから、交流をとることはなかった。勝手なイメージだけは膨らませていた。スネークという名のように「蛇」のような男だと。
ベリックは、自分のことを「亀」だとイメージをするようになる。かなり遅くなったが初恋女性の名前を公開する。その名は、「羊」である。先ほど、はやぶさと白鳥のようなイメージを持ったベリックだったが、名前は「羊」であった。
スネークと羊は、交際を始めた。すぐ校内の噂になり、ベリックの耳にも入ってきた。そのカップルは、どちらも身長が高くお似合いだと言われていた。好きな歌手などの趣味も同じだったみたいだ。色違いのリュックを背負い、学校にも通学していた。
ベリックは、体から炎が燃え上がるような感覚だった。男の嫉妬ほど残酷なものはないと思うが、嫉妬とルサンチマンの塊だったことは否定できない。
そして、スネークへの問いも生まれたのである。
スネークは羊のことをベリックが羊を想う以上に好きなのかということ。そして、スネークは羊の何に惚れ、羊の何を好きなのかということである。同級生とは言えど、はじめて赤の他人に興味を持つことになる。
そして、ベリックは文学の世界へ羊への恋心を昇華・変換しようとしたのである。太宰治の小説を読んだり、現代文の学業などにも励んだのである。
この時、ベリックは目移りというか次の恋へは進展しなかったのである。羊より心を動かされるような出会いやシチュエーションがなかったのである。
そして、ある日、スネークと羊のカップルの交際関係に終わりがきたのだった。ベリックは、「ラッキー」にしか思っていなかった。日が経つにつれて、なんであのカップルは別れたのだろう。どちらから別れを告げたのだろうという問いが生まれてきたのである。
その問いの謎は現在でも不明である。
色違いのリュックも互いに違うリュックを背負い、登校してきたのを見て、スネークと羊の恋愛関係は本当に終わったのだと確信できた。
それから、僕に神からのチャンスが恵まれたと思い、羊へのアプローチ再始動のエンジンをかけた。
しかし、ベリックの恋愛の果実は実らないのであった。
初めての告白から1年後の夏、高校生最後の夏の文化祭で、羊に最後の告白する。文化祭のステージで司会を務めたベリックは、カラオケ大会の企画のコーナーへ進行していた。そして、飛び入りでカラオケ大会に出場した。巡る恋の歌を歌い、その後だれもいない体育館の脇の外で、羊へ告白した。返事は、携帯電話ではなく、その場で告げられた。ごめんなさいと。少年の夏が終わったような気がした。去年より涼しく夏が感じた。
しかし、思いもよらない恋の歯車が新時代へと回る。
ファイヤーバードの出現とピーチ姫の出現である。
ファイヤーバードはベリックの2歳下の女性、ピーチ姫は、1歳下の女性である。ファイヤーバードは、この物語に重要な人物ではないが、ピーチ姫は話が変わってくるのである。「ピーチ姫と桃色の夏の思い出」は次話で書き記していきたい。
そして、スネークとの余談の話であり、蛇足のような話だが、スネークとは交じり合わない剣だと思っていたが、ベリックとスネークは友達という仲までいかないが、2人で映画を見たり、共通の話題をするようになるのである。その理由は、同じ大学への進学を希望しており、さらに学部も同じだったのである。
スネークとは、大学時代の初期は、つるむようになるが、スネークは違う友人を見つけ、そちらへシフトチェンジしていった感じである。そもそもベリックは最初の1ヶ月しか大学に行っていないので、当然の結果である。しかし、スネークとは高校も大学も一緒の「学友」となる。そう、これはベリックとスネーク、「亀」と「蛇」が交わる中国の四神・四獣である北の「玄武」のような姿であった。
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話は、過去の回想からストーリーに戻るが、主人公ベリックとゼアミの企画する音楽イベント「ドーパミン」の話に戻ろうと思う。彼らはまだ何も知らなかった闇の力について、闇の組織について………
この音楽イベントは、ベリック史において、大きな始まりでもあり、人生が大きく変わる運命の分かれ道であったのだった。ベリックは大きく2つについて大きな学びを得る。
音楽イベント「ドーパミン」では、才能あるアーティストや大物ラッパーが参加していく。そして、ベリックは収益も得るために、集客に力を入れていくこととなる。
今回のイベントの立役者ジャパニンジャと出会ったきっかけについて、明記していく。
※ジャパニンジャとは、イベント会場の手配・機材の貸出をしてくれた人物である。
ジャパニンジャとは、とある飲食店で出会った。ジャパニンジャは飲食店を経営しており、ベリックはそこの客として、その店を訪れたのである。
ジャパニンジャとは、いろいろ話をしたものである。
特に、ジャパニンジャを深く知ろうとも思わなかったし、あちらもそうだったと思う。
しかし、今後の人生においては、有益な話を聞けたと感じている。哲学的な思想など自分が考えれなかった思考の引き出しが増えたような気がしたのである。
また、ジャパニンジャは武道にも精通しており、地域の学生に、格闘技も教えたりしていた。ジャパニンジャなりの男の美学がベリックなりにプロファイリングできた感じがする。さらに、ジャパニンジャは、地元の大物議員の息子であり、親と比べられる苦悩もあるのではないかと感じたが、それを感じさせぬ野心というか野望があった。うまくは言えないが、かなり先を見ているビジョンなどが明確にも見えたような気もした。
音楽イベント「ドーパミン」は実質的に失敗に終わるのだが、人生においては経験していてプラスだと考えれる結果になったのである。先述した学ぶべきことが2つあるとしたが、1つ目は収益的な失敗からの学びである。
2つ目は自分の器量がないということ、つまりはリーダーシップの能力がないということを学べたのである。
では、音楽イベント「ドーパミン」開演である。
闇の旋律が聞こえてくる〜〜〜
次話は、「ピーチ姫と桃色の夏の思い出」「ドーパミン」ショーが開演します。