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眼鏡っ子女房の転生ゆるふわ宮廷生活~物語で成り上がっちゃいましたがこれもチートに入りますか?  作者: 斗南
邪悪なイケメン再び! 眼鏡巨乳萌え竜乱入! 忠子を巡る男たち
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怪異予防キャンペーンを企画しましょう

寝苦しい夜だった。


女房として仕えているとは言え織子は特別扱いで、他の女たちとは少し離れた徳子さとこに次ぐ場所に大きめの房を持っている。


一人で眠っているところに、小さな影が忍び込んできた。


「にゃぅおおおおん……」


小福だった。


だがいつもは好奇心に輝いている真ん丸な目を細め、頬の両側が上がった異様な顔つきをしている。

猫は仰向けに寝乱れた織子に近づくと、袷を前足で引っかけた。


膨らみかけた瑞々しいおっぱいが露わになる。


織子は目を覚まさないが、悪い夢を見ているように苦しそうに眉を寄せ、額には汗が浮いていた。


大きな猫が少女の薄い胸に圧し掛かり、なだらかな谷間を味見するように舐める。

可憐な乳房に押し当てた前足を交互に踏む。ピンク色の乳首を柔らかい肉球で握られる度に喘ぐような息が上がった。


後ろ足は少女の下腹部の中心に乗せられている。

やがてそちらも前足と同じ仕草を始めた。


「うぅん……、はあっ……」


敏感な個所への刺激を嫌がってか悪夢にうなされているのか、織子は苦しそうに寝返りを打とうとするが猫が重しになっていて身動きが取れない。


「あぁっ……、いやぁ、いやあ……」


眠りながら涙を流す犠牲者を見下ろし、猫は明らかに笑った。



 * * *



 ドーマンセーマン♪ ドーマンセーマン♪

 毎度お馴染み陰陽師♪

 

 じめじめ時期は陰気がこもり、怪異が元気になり申す♪

 こまめなお掃除♪ 魔除けの草木♪ 香を焚くのもいいですネ♪

 

 

陰陽寮からの迎えに赴いてみれば、いきなり加茂かも兼続かねつぐをはじめとする三人の陰陽師による珍妙な歌と踊りを見せられた。

 

「わ、わあ。ご自分で考えられたんですか?」

「はい! 陰陽寮からの怪異予防のお知らせっス! 梅雨時は小さい禍が多発します。全部潰してたら手が足りないんっスけど、放っておくと大事になる災禍の予兆だったりもするんで頭が痛い時期なんっスよ」


相変わらず晴天のような輝きを放つ体育会系の陰陽師だ。


彼だけではない。陰陽師は大体が健康そうである。

星を見て占いをするのが基礎だからまず視力が良いのが前提条件。

徹夜で天体観測をしてもバッと顔を洗ってビッと着替え、爽やかな顔で高貴な方に報告をするタフネスっぷりが要求されるそうだ。


有事の祈祷ともなれば三日三晩続くなどザラである。実は体力勝負の部署なのだ。


(知りたくなかった、そんな実態……)


陰陽師のイメージとかけ離れた兼続が実は凄腕の術師と聞いたときは失礼ながらちょっとビックリしたが、怪異の多くは呪力ではなく祭文を多少トチろうが呪文をド忘れしようが些細なことは一切構わずエンジン全開バリバリで突っ走る姿勢の前に退散したのではないだろうか。


陰キャに属する忠子も話しているだけで真夏の直射日光を浴び続けている気がする。

忠子の胸中など知らず、兼続はハキハキと続けた。


「弱い怪異がほとんどなんで、ちょっとした予防で防げるんっスよ。でも陰陽師が公に訪問するとあそこ何かあったんじゃないかって大袈裟になるんで、通りすがりを装って歌舞音曲で広報活動しようかと」


つまりゲリラライブである。根回し第一の宮中でそれはどうなのか。


「わあ、すごいです。陰陽師の方が行くと大事になるなら、小童こわらわ女童めのわらわに頼んだらどうでしょう? 売り出し前の舞師さんにお願いするのもいいかもしれませんね」


忌憚ない意見を述べればこの酷い振りつけ、素養がなくむさ苦しい大の大人が舞っても見向きもされないだろうが、小さな子なら別である。ちらりと部屋の隅を見ると、有為羽ういはが物凄く嫌そうな顔をしていた。


「ほら見ろ有為羽! 文車太夫様もこうおっしゃっておいでだぞ! やっぱりお前が適任だ!」


(あ……私、有為羽君の説得のために呼ばれたのか)


「やだよ、見世物じゃん」

「お前、人間界に修行に来てるんだろ? これもまた修行だぞ」

「うー……」

「そうね、注意喚起をするのは徳を積むことになるわね」

「文車太夫さんまで……」


恥ずかしそうな涙目で抗議されて苛めているような罪悪感を持たされるが、この子はカラス天狗だ。見た目通りの年齢ではない。

ランポは中身も子供だったが、有為羽は見た目は子供頭脳は大人のショタジジイだ。


「有為羽君は不本意かもしれないけど、小さい怪異でも人間にとっては凄く恐いことなの。ちょっとした気遣いで防げるなら有り難いことなんだよ。あなたは可愛いからどこの局に行っても歓迎してもらえるし。美少年が嫌いな女房はいないよ」


故人の感想である。ちょっと自尊心をくすぐったのか、有為羽は唇を尖らせて見せた。うん、可愛い。


「……そりゃあ、ね。術がお粗末な奴は不細工にしか化けられないのさ。人間観察がなってないと表情の作り方も下手だしね」

「決まり」


有為羽が乗り気になったのを確認して、兼続に向き直る。


「兼続様、いきなり庭園や廊下で踊り出したら皆驚いてしまいます。まずは飛香舎ひぎょうしゃで披露してはいかがですか? 女御様にお話してみます」

「もちろんっス! よろしくお願いしアス! 飛香舎でお見せした実績があれば、よそで突発的にやっても叱られないっス!」


ゲリラライブは絶対外せないらしい。何が彼を駆り立てるのか。


「有為羽君、よろしくね」

「まあ……竜の宝物をもらえるようなおねえさんの頼みなら、いいけど……」


眼鏡の贈り主の詮索を綺麗さっぱり忘れていたが仕方がない。


(みんな気候と寝不足で何となくどんよりしてるし、これで少しでも気晴らしになればいいな)

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