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月夜譚 【No.101~No.200】

殺人の理由 【月夜譚No.136】

作者: 夏月七葉

 どんなものでも使いようによっては、凶器になり得る。生活をする中で探してみれば、判り易いもので包丁、カッター。ロープは首に巻けば窒息させられるし、風呂だって水を張って中に抑え込めば溺死させられる。

 使い方によって、便利な道具は殺人の道具になり兼ねない。

 ベランダに出た男は、手摺りに身体を凭せ掛けた。胸ポケットから煙草の箱を取り出そうとして、やめる。その手を顔の前に持ってきて広げると、赤黒い色と共に鉄の匂いが鼻についた。

 別に、殺そうと思って殺したのではない。――いや、それは言い訳だ。以前から僅かなりとも殺意はあったし、心の内で恨み言を吐いたのは一度や二度では済まない。

 ほんの一言だった。彼女のその言葉が引き金となって、秘めていた思いが爆発し、気づいた時には既に手をかけていた。

 傍にあったビール瓶。それで頭を殴って、割れた切り口で腹を刺したらしい。殺した時の記憶はない癖に、その時の感覚だけが手に残って、気持ちが悪い。

 しかし、ここまで冷静でいられるのは、彼女がいなくなってほっとしているからなのだろうか。

 それとも――自殺をする口実が見つかったからなのだろうか。

 男の昏い瞳が、闇に沈む道路に落ちた。

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