第43話。勇者達を引き渡す
魔王城に戻った私。
主の指令によって捕らえた勇者達を魔王城まで連れて来た。
全員眠らせて、拘束し空間魔法で閉じ込めている。
目的の部屋に向かう。
部屋の前に着いた私を、部屋の前に立つ配下の魔物が止める。
来訪した理由を告げ、部屋の主と対面を望む。
配下の魔物が部屋に入り、数秒後。中に通される。
中に居たのは、ゲマ。
私の主ゾーマの兄だ。
「何しに来た?」
ダンジョンを破壊され、落ち込むゲマ。
憔悴している様子が伝わってくる。
「ゾーマからの命令でね」
「主人? ハイジ。お前はゾーマの配下に入ったのか?」
「そうよ」
「そうか。俺がどれだけ誘っても駄目だったのにな……」
「気まぐれよ。それより、本題に入っていい?」
「ああ」
私は、空間魔法で閉じ込めていた勇者達をゲマの前に出す。
ゲマは驚いたようで立ち上がる。
「こいつらは! どうしてここに? 」
「ゾーマのダンジョンに侵入してきたから、撃退したわ」
驚くゲマに詳細を教えてあげる。
ゾーマのダンジョンが死の森にあること。
ゾーマがゲマの為にこいつらを殺さずに捕らえた事を。
「こいつらを殺せば、あんたのダンジョンコアも再生するでしょ?
だから、ゾーマはあんたにこいつらを譲ったのよ」
「くそっ!弟の癖に」
「いらないの?」
「いるよ」
悔しがりながらも、勇者達を引き取る。
「あ、そうそう。私達のダンジョンは森にあるから、新しいダンジョンは海の近くに作ってくれると助かるわ」
「……検討しとく」