第41話。奴隷のエルフ。
勇者パーティーの奴隷になり半年。
この半年間は思い出したくもない事ばかりでした。
そして、今は死の森です。
死の森は、森の民と呼ばれている私達エルフですら、けして入ってはいけないと、小さなころから教えられました。
そんな死の森に入って3日目。
私達は寝ていません。ずっと見張り役をしてます。
いざとなったら捨てられるのでしょう。
逃げたしたいと何度も思いましたが、首に付けられた奴隷の首輪。
この首輪のせいで逃げれません。
少しでもミスをするとバツとして、首輪を締め付けられ、窒息させられます。
何もなくても、暇潰しや気分次第で締め付けられたりもします。
死にたいと何度も思いましたが、どうしても姉にもう一度会いたいという気持ちで死ねません。
姉とはエルフの里が襲われた時にはぐれてしまいました。
元気にしてるのでしょうか?
死ぬ前にもう一度会いたいです。
これまで魔物となるべく接触しないように勇者達を導いてきましたが、3日目にして大型の魔物と接触してしまいました。
キングベアーやアイアンタートルなど伝説級の魔物。
連戦により、勇者達は瀕死の重症です。
私達の命も今日まででしょうか?
アイアンタートルから距離をとるために逃げていると、目を疑う光景が。
なんと死の森に、小さな集落があったのです。
家が三軒と数面の畑ですが。
死の森に住んでいる人間が居るなんて聞いた事がありません。
敵なのでしょうか?
勇者達が扉をノックします。
返事がありません。
鍵はかかっていないようです。
勇者達に先に中に入るように、促されます。
「動くな! 両手を頭の後ろにくみ、床にふせろ!」
中で待ち構えられてたようです。
私はそれに従います。
「ゆっくりと顔をあげろ」
指示に従います。
声の主の姿をまだ確認出来ません。
「ルウ?」
私の名前を呼びます。
その聞き覚えのある声に、鼓動がはやくなります。
死ぬ前に聞きたかったその声。