第30話。滅茶苦茶な姉
俺のダンジョンが出来た朝。
怒号と共に目が覚める。
「おいっ! 私の可愛い妹を誘拐したのはわかっている。
10秒以内に出てこないと、すべてを燃やしつくすぞ」
玄関の前で、金髪の女性が仁王立ちで両腕を組んでいる。
すぐにラーちゃんの姉とわかる姿だ。
年齢は20を少し過ぎたぐらいの見た目だ。
折角作った家を燃やされては、堪らないので急いで出る。
「俺はここの支配者のゾーマ。 ラーちゃんだけど昨日迷子になってたみたいだか……っっておい!」
俺が説明しようとすると、ラーちゃんの姉はブレスを貯めている。
ドラゴンの最大の攻撃は自慢のブレスで、ブレスを吐くときは一瞬のためがある。
俺の言うことを一切聞く気がない。
好戦的過ぎるだろ!!
というか、ラーちゃんに被害が出るとか考えないのか?
俺は風魔法の初級。
『衝撃波』をラーちゃんの姉に放つ。
少しでも体勢を崩せればと思ったが……
凄い威力の『衝撃波』が出た。
ラーちゃんの姉が遥か後方に飛んでいった……大丈夫か?
「あれ?今お姉ちゃんの声が聞こえた気がする~」
ピョコンと寝癖をつけた、ラーちゃんが三匹の子犬と一緒に起きてきた。
「ラーちゃん、おはよう。
顔洗ったらご飯にしよう」
「は~い」
まあ、大丈夫だろう。