表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/54

第3話。兄貴

「坊っちゃん、忘れ物はございませんか?

 一度魔王城を出ると、もう簡単には戻ってこれませんよ」


 意外と心配性なんだよな、セバスチャンは。


「聞いてますか?坊っちゃん。

 それと1日一回必ず魔神様にお祈りするのですよ」


 魔神とは俺達魔族の神だ。


 魔族は色んな種族の集まりだが、全ての種族の神は魔神様だ。

 こんな俺でも毎日お祈りしている。


「ああ、わかってるよ。セバスチャン」


 荷物と言ってもリュックサック一つだ。


 空間魔法の初級。【小物入れの魔法】で他の荷物を入れている。


 俺の魔力なら小物入れとは言っても、ロッカー一つ分位の量が収納できる。意外と便利な魔法だ。


 俺は基本的に初級の魔法ならなんでも使える。でも中級以上はほとんど使えない。


 上の兄姉たちは上級魔法も当たり前に使える。

 まあ、俺なんて次期魔王争いのライバルとすら思われてませんわ。


 まあ、なるつもりは鼻くそ程もないけどね。


 見送りのセバスチャンを引き連れて、魔王城の玄関ホールにやって来た。


 まあ、家出じゃないんだから玄関から出発しようと思った訳だが、失敗した。


「ゾーマ」


 会いたくない奴に出くわした。


 俺の一つ上の兄貴のゲマ。魔王の12番目の子供だ。


「お前なにしてんの?こんな所で」


「そっちこそなんでここにいんの?出てった筈だろ」



 一つ上の兄貴と仲が良い奴らなんてこの世に居るのだろうか?


 うん。居ないね。

 俺も散々いじめられた。


 まあ、それなりにやり返したけどね。


 こいつは俺と同じ位の能力だし、むしろこいつ以外の兄姉にやり返したら、俺なんて、骨すら残りませんわ。



「俺はこれから出発だよ」


「はっ、お前なんてすぐに諦めて親父に泣きつくだろうな」


「お前と一緒にするなよ」


「はっ!?俺はこの一年の報告に帰って来ただけだ」


「本当か~?」


「お前やるのか?」


「やってやるよ」



 そこから小一時間、こいつと口喧嘩していたら、


 兄貴のゲマは親父(魔王)に、俺はセバスチャンにしこたま怒られ、出発させられた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ