第26話。ラーちゃん
「君はこんな所で何してるの?一人?」
「君じゃないもん。ラーちゃんは、ラーちゃんだもん」
身長が110センチ程だろうか。
金髪の髪をツインテールにして元気に一杯に答えるラーちゃんと名乗る少女。少女と言うより、幼女だった。
「ごめんね。ラーちゃんは一人でここまで来たの?
お父さんやお母さんは?」
「ラーちゃんはね、お姉ちゃんと一緒に来たの。
でもね。お姉ちゃんが迷子になったから探してるあげてるの」
なるほど。
お約束のパターンでしたか。
「どうする? 下手に保護したら、誘拐をうたがわれるかな?」
「最悪そうなるかと」
「でも放置出来ないよな……」
「放置すると後で、それがわかった場合、心証が悪いかと……」
だよな。
こんな見た目四歳~五歳ぐらいの子供を放置出来る程、俺も非情じゃない。
「ラーちゃんを家まで送ってくか」
「そうですね。じゃあ先に帰ってますね」
「みんなで送って行くぞ」
「……はい」
ルン悪いが一人だけ逃がすわけないだろう。
一蓮托生で行こうじゃないか。
「ラーちゃん、一度お家に帰ろうか。
お姉ちゃんも、帰ってるかもしれないし」
「うーん。でもラーちゃんお家どこかわからない」
「じゃあどっちの方から来たかわかる?」
「えーとね。えーとね。……上から来て
それからあっち?から来て下?」
……完全に迷子のようだ。