第25話。女の子
「ゾーマ様は幽霊を信じますか?」
「なんで幽霊なんだ?」
「だってこんな所に居るわけないじゃないですか?」
鬼族のメルに聞かれた。
確かにそんな死霊とかの魔物も居るが、目の前にいるのは違う。小さな女の子だ。
「なんでそんなに落ち着いてるんですか?」
「おれはメルで、一回経験してるからな。
それももっとハードな場面で」
「私は子供じゃないです!」
メルは少し背が低いのを気にしている。
ハイエルフの四人が高いからなのかな?
「不思議ですよね。鬼族なのに。
鬼族は大きい方が多いイメージですが」
確かにそうだな。
しかし、それを声に出してやるなよ。
ほら、落ち込んだ。
「ほら、メルもルンも行くぞ」
二人と少女の元に行く。
「ねえ、君。こんな所で何してるの?」
怖がらせないようになるべく優しく声をかける。
「ラーちゃん? ラーちゃんはね。角の虫捕まえてたの」
自分の事をラーちゃんと呼ぶ女の子は、右手にデスビートルを持っていた。
カブトムシと言っても、死の森昆虫だ。
こいつ一匹でも街に迷い混んだら重大な被害が出るくらいだ。
なんて言っても、勢いをつけてこの角で突進すれば鉄すら穴をあけるらしいからな。
そんなデスビートルが情けない顔で助けて下さいよ~って顔でこっちを見ている。
「見て~。ほらラーちゃんとお揃い」
ラーちゃんが自分の額にあるピョコンと可愛い一本の角を指指す。
よく見ると、ラーちゃんから尻尾が生えている。
あれかな?
最強種族のあれかな?