第14話。 鬼族のメル
苦しそうにしてる少女。
白に近い銀髪のの髪を左右に流して、濡らしたタオルを乗せる。
その時に気付いた。
二つの小さな角がある。
この子。鬼族だ。
鬼族、確か魔法は一切使えないが筋力が発達した種族だったな。
それにしても、なんでこの子はあんな所に一人で居たんだろう?
…………俺も少し休もう。
いくらこの子が小さいといえ、背負って数時間歩いて疲れた。
体力も鍛えておくべきだった。
「…………あの」
うとうとしていると、小さな声が聞こえた。
目が覚めたようだ。
「大丈夫か?」
「……ここは?」
「ここは、俺の臨時の家だ。 偶然に君がキングベアーに襲われている所に出くわして、助けたんだよ」
「……ありがとうございます。 私もう死んでしまったと」
彼女は泣きながらお礼を言う。
俺はどうして良いのかわからず、今日拾ったリンガの皮を剥き、すりおろす。
何か食べて体力を戻させよう。
ポーションで傷口がふさがったとはいえ、まだ固形物は難しいだろうと思いすりおろした。
「これ食べれる? リンガをすりおろしたものだよ」
彼女は小さく頷く。
そして、少しずつ食べていく。
良かった。
「あの……私はメルと言います」
メルと名乗る女の子。
血塗れで、内臓こんにちわ状態の初対面だったけど、改めてみるとかなり可愛い。
前世を含めてもトップクラスじゃないだろうか。
そして、今は目のやり場に困る。
キングベアーにやられたせいで、見えちゃいけないものが、いや、見たいものが、見えてしまっている。
Cいや、Dぐらいだろうか?
そんな事を考えてると、メルがびっくりした顔をする。
「このリンガ……とても甘いです」
俺も残りの1つを食べてみよう。
うん?これはリンガじゃない。
林檎だ。
林檎はこの世界で無かった筈だがどうして?