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07 新米冒険者の誕生

 0年12月28日


 冒険者ギルドに入ると空いていた。

 昼過ぎだから一番空いている時間帯なのかもしれない。

 新人だからと絡まれるイベントも無く安心して窓口へと向かった。

 受付には若い女性の職員が座っている。


「すみません、冒険者の登録をしたいんですがこちらでよろしいですか?」


「はい大丈夫です。字は書けますか?」


「はい、書けます」


「では、こちらの用紙に記入をお願いします」


 僕は用紙を受け取りペンを手にして書こうとして止まった。


「すみません。遠くの国から来たんですが姓と名どちらを先に書いたほうが良いでしょうか?」


「なるほど…それでしたら名が先で姓が後でお願いします」


「分かりました」


 僕は次々と用紙の項目を記載していった。

 性別:男性。年齢:20歳。職種:魔法使い。特技:魔法。パーティー希望有無:無し。


「タカナシさんですね。それではギルドの登録料として銀貨5枚をお願いします」


 僕は銀貨5枚を職員に渡した。


「ありがとうございます。それではこの後、ランク評価試験を受けていただきます。冒険者の能力を評価するためのものです。試験の結果によってランクが決まります。ランクについて説明させていただいてもよろしいですか?」


「はい、お手数ですがお願いします」


「冒険者ギルドに来る依頼は様々です。魔物の討伐や素材の入手、護衛依頼などです。我々ギルドはそれらの依頼の内容を基に依頼の難易度によって依頼にランクを付けています。これらの依頼の達成率を上げ、冒険者の死亡率を下げるために冒険者にもランクを付けさせていただき、ランクに応じた依頼を受けていただくようにしています。依頼は冒険者ランクのひとつ上のランクの依頼まで受けることが出来ます。ランクはFからSまでの6段階です。ランクについてはご理解いただけたでしょうか?」


「はい、問題ないです」


「では次は依頼について説明させていただいてもよろしいですか?」


「引き続きお願いします」


「……珍しいです。大抵の方は話を聞かずに問題を起こし、後から文句を言ってくる方が多いので」


 えぇ…ゲームのチュートリアルもそうだけど飛ばさずに最後まで聞いた方が結果的に効率良く出来ると思うんだけどなぁ。


「それでは依頼について説明しますね。通常の依頼は壁に張り出されています。あちらの依頼の中から希望する依頼を伝えていただければ依頼を受けることが出来ます。依頼は早い者順ですのでそこはご注意ください。依頼に失敗した場合は違約金の支払いや罰則、命を失う危険もあります。また、依頼人が冒険者を指名する指名依頼というものがあります。これは受けるかどうかは冒険者の自由です。最後に強制依頼というものがあります。災害時等にギルドにより依頼されるものでこれは正当な理由なく断ることは出来ません。以上ですが質問等はありますでしょうか?」


「いえ、特に質問もなく問題ありません」


「分かりました。それではランク評価試験の準備をしますので少々お待ちください」


 う~ん…どんな試験なんだろう?本気を出すべきか悩むなぁ


「お待たせしました。準備ができましたのでこちらへどうぞ」


 案内されたのはギルドの裏にある訓練場のような場所だ。


「それでは、あの奥にある10枚の的に向かって魔法を撃ってください。評価内容は全ての的を撃ち終わるまでの時間と的の中心までの距離です。時間は始めと言ってから計測します。準備は良いですか?」


「はい、大丈夫です」


「それでは…始め」


 氷の弾丸を10発出すことをイメージして全ターゲットをロックオン…発射!(パンッ)

 うん、全弾、的の中心を貫通しているな…あれ?職員さん固まっちゃってるよ…やりすぎたかな?


「あのぉ?」


「あ、は、はい!す、すみませんが付いてきてもらえますか」


 ギルド2階の奥にある部屋まで着くと少し待つように言われて職員さんは部屋に入っていった。

 あー、やっぱりやりすぎちゃったっぽいなぁ

 少し待つと部屋に入ってくるように言われたので入った。

 いかにもギルドマスターって感じの屈強なおじさんがいるよ…どうすんべ


「俺はギルドマスターのザヴィンだ。うちの職員がランク評価試験で無詠唱かつ同時に10発の氷の弾を出して一瞬で的に命中。それも全弾が的の中心だって言うんだが本当か?」


 いや僕に本当かと聞かれてもねぇ…


「僕はコウイチ・タカナシと申します。全て本当ですよ。なんでしたら的を確認してきていただいても、もう一回やっても構いませんが」


 なんかギルマスが頭を抱えて天を仰ぎだしたんだが。


「俺も長年ギルドマスターやっているがお前みたいなのは初めてだよ…本来ならランク評価試験はCまでなんだが特別にBランクにする。この街で活躍してくれることを期待している。そんじゃギルド受付の近くで少し待っていてくれ」


「あ、ありがとうございます。それでは失礼致します」


 良くてもCランクだろうなと思っていたらBランクになっちゃったよ。

 ギルド受付の近くで10分程待っていたら先程の受付職員が来た。


「こちらがタカナシさんのギルド証です。無くさないように注意してください。紛失すると罰金になるので…以上で登録は終了ですが何か質問等はありますか?」


「いえ、特に質問等はないです。本日はありがとうございました」



 あ、そうだせっかくだし門番さんのところに行ってこよう。


「すみません、少し良いですか?」


「おーさっきの兄ちゃんどうした?」


「冒険者ギルドに登録してギルド証を発行してもらったので返金をお願いします」


 門番さんに仮の証書とギルド証を渡した。


「おいおい、登録した直後でBランクってマジかよ…お、おう返金だな。銀貨4枚だ」


「ありがとうございます!それでは失礼します」


 ギルド証と銀貨4枚を受け取り宿へ戻る。

 日も傾いてきたし疲れもあるから今日はゆっくりと休むとする。

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